新井英樹原作の熱狂的なファンを持つ漫画の実写映画化作品『愛しのアイリーン』が、9月14日(金)に公開したことを記念して、本日15日(土)に都内で公開記念舞台挨拶が実施された。イベントには主演の安田顕(44)、木野花(70)、伊勢谷友介(42)、𠮷田恵輔監督(※吉は土よし)(43)、原作者の新井英樹(54)が割れんばかりの拍手に迎えられ登壇した。

まずMCから安田へ、舞台挨拶や取材などで「自身の代表作となった」と発言したことについて聞かれると「撮影現場の雰囲気や熱量から、代表作になる“かも”という手ごたえはあったが、完成してみないと何とも言えませんので、映画を観た皆様にご判断して頂きたいです」と、安田演じる岩男に似た謙虚な姿勢を見せた。そんな息子を溺愛する母ツルを演じた木野は今までのイメージからはかけ離れたキャラクターを演じたことについて「最近は優しい母やおばあちゃん役が多かったが、“鬼になれ”との監督からの要望に応えました」と会場を沸かせた。岩男とアイリーンの間を引き裂こうとする塩崎を演じた伊勢谷は「こういう役回りばかりなので慣れています」とユーモラスに語り、「昨今のドラマ作品には無い緊張感の中、全員で気持ちを高めあっていたのでその場にいることができて幸せだった」と真剣な面持ちに切り替え語った。そんな作品を手がけた𠮷田監督は、初めて原作漫画に出会ってから20年の構想を経て完成したことについて「初めて原作に出会った時にはそれまでで一番衝撃が走り、10年間どこに持ち込んでも映画化は実現できなかった。それは原作の新井先生が20年先を行く漫画を描いたからであり、やっと時代が追いつき、映画化できたのだと思う」と長年の思いをかみしめた。それを受け原作者の新井は「いい映画の感想で一番の条件は観客が“圧倒された”と感じることだと思う。この映画はそれをクリアする素晴らしい作品です」と満足げな表情を見せた。

そこでMCから「愛なんて誰がみたことあるの?」という新井の疑問から生まれた本作にちなみ登壇者へ<愛>を見たことがあるか?またご自身の愛に対する定義のようなものはあるか?というお題が出されると、木野は「愛とはエゴだと思います。今回ツルの役を演じてこういう愛もあるんだなと勉強になりました」と語り、「この映画のテーマにも通じる欲望や執着だと思います」と𠮷田監督が続けた。新井英樹は「難しい質問だが、昔から男と女はキスをしたら結婚するものだという考えがあり、原作漫画を描きました」と思いを述べ、「いくつもの愛があったからこそ今の人類がいるのだと思います」と伊勢谷は熱く語り、まじめなコメントが続いたが安田は「先日、北海道で停電が続いた際、風俗店が無料でお風呂を貸し出したことを聞いて、無償の愛を感じました」と会場を笑いにつつみ、安田節を炸裂させた。
最後のあいさつとして𠮷田監督は「ぜひ多くの方に観て頂きたいです。できれば新井先生の原作も読んで頂き、映画との違いも楽しんでいただけたら嬉しいです」と語り、安田は「初めて完成作品を観たときに“すごいな”と感じたが、昨日の公開初日に自分の父親も北海道の劇場で観てくれて“すごかった”と同じ感想で驚きました。これからいろいろな人に観てほしいですし、みなさんがどう思うのか楽しみです」と、安田家の“家族愛”エピソードを交えながら、映画のヒットを願い、締めくくった。


出演:安田顕 ナッツ・シトイ 河井青葉 ディオンヌ・モンサント/福士誠治 品川徹 田中要次/伊勢谷友介/木野花
監督・脚本:吉田恵輔(※吉は土よし)
原作:新井英樹「愛しのアイリーン」(太田出版刊)
音楽:ウォン・ウィンツァン
主題歌:奇妙礼太郎「水面の」 (WARNER MUSIC JAPAN/HIP LAND MUSIC CORPORATION)
企画・製作:河村光庸 製作:瀬井哲也 宮崎伸夫 エグゼクティヴ・プロデューサー:河村光庸 岡本東郎 プロデューサー:佐藤順子 行実良 飯田雅裕
製作幹事:VAP 企画・制作・配給:スターサンズ 制作協力プロダクション:SS工房
2018「愛しのアイリーン」フィルムパートナーズ(VAP/スターサンズ/朝日新聞社)レイティング:R15+