8月21日(火)、東京・インターコンチネンタル東京ベイにて、中島貞夫 監督最新作『多十郎殉愛記』制作発表会見が行われ、中島貞夫監督を始め、キャスト陣の高良健吾さん、多部未華子さん、木村了さんが登壇しました。

『木枯し紋次郎』『新・極道の妻たち』などで知られる“邦画界の重鎮”中島貞夫監督(84歳)の20年ぶり長編劇映画『多十郎殉愛記』が、無事にクランクアップを迎え、2019年春公開予定。

本作は「殺陣の魅力を存分に見てもらうこと」をコンセプトに、時代劇映画における殺陣の魅力の根源を改めて探り、生身の人間が見せる極限のパフォーマンスや、1本の日本刀に込めた「男の情念」、すなわち「殉愛」を描いています。
また、10月11日から京都で開かれる京都国際映画祭2018で、ワールドプレミア上映されることが決定しました。

会見では、京都府宇治市出身の清水圭が司会進行を担当。
まずは撮影中の様子を収めた特別映像が上映され、迫真のちゃんばらを演出する中島監督の姿もありました。
続いて、中島貞夫監督を始め、キャスト陣は劇中衣装の姿で、清川多十郎役の高良健吾さん、おとよ役の多部未華子さん、数馬役の木村了さんが登壇。

最初に中島監督は20年前に監督した『極道の妻たち 決着(けじめ)』を振り返り、「これでケジメだな」という思いでタイトルをつけたとするも、劇映画を監督する機会を伺っていたそうです。
そして、京都の撮影所や時代劇への思い入れ、そして日本映画の父とも称される牧野省三とちゃんばらの関係、系譜などを語り、「ちゃんばらが消えようとしているんですよ。それをなんとかしたい」といった思いで、本作を企画したとのこと。

キャスティングについて、中島監督はプロデューサーに一任したものの、「大変いい動きをしてくれました」「脚本の理解が深い」と太鼓判を押します。

続いて、キャスト陣が撮影を振り返ると、細かい指導や立ちふるまい口々に「監督ためにがんばりたい」といった気持ち湧いてきたそうで、「それは恋かもしれませんね?」という清水からの質問に、「一種の恋だよねって、高良くんと話していました(笑)」と多部さん。高良さんも「(中島監督から)高良ちゃんと言われるとキュンとします」と同調します。

また木村さんは、クランクイン前、武士の心構えなどを訊く機会があり、「人の心は普遍的なもの。今も昔も変わらない部分で、(木村さん演じる)数馬は広い世界へ行きたい青年なので、その気持を持って演じて欲しい」と中島監督から受けた言葉を述懐。

こうした中島監督が慕われ、敬われるエピソードから、清水が「『スター・ウォーズ』でいうと、ヨーダみたいな方ですね」と例えると、高良さんは中島監督が殺陣をつける際、杖が刀になるとし、さらには「たまにライトセーバーにもなります(笑)」と続けて笑いを誘います。

これを受けて、多部さんからは、舗装されていない山道でも、誰よりも早く中島監督がスタスタ歩く様子から「杖、いらないんじゃない?」とスタッフと会話していたとのエピソードも。

質疑応答では、ちゃんばらの継承についての質問があり、中島監督はテレビの時代劇を例に挙げつつ、「生きるか死ぬかの戦いをしているわけだから、ふんどしが見えるような立ち回りをやろうや」と高良さんと話し、かっこよく、臨場感あふれるちゃんばらに自信をのぞかせます。

本作は、今年10月11日~14日に開催される『京都国際映画祭2018』にてワールドプレミア上映が決定。京都国際映画祭実行委員長の中村伊知哉さんも登壇し、前身の京都映画祭の実行委員長を中島監督が務めていたといった関係性や、本作の舞台が幕末の京都と触れ、「私自身も心待ちにしております」と期待を込めます。

フォトセッションを挟み、最後に高良さんは「自分たちが役者の限界、肉体の限界に挑戦した時代劇です」「現場みんなでこだわりぬいて作りました。時代劇がはじめての方は感覚的に面白いなと思っていただけると思いますし、時代劇が好きな方は、こんなところまで細かいなって思ってもらえる時代劇だと思っています」と自信のほどをアピール。

中島監督は「時代劇をあまり意識せずに作ったつもりです。カッティングでも、現代劇のなかでも早いものを意識していますし、若い人たちに、時代劇の面白さ、ちゃんばらの面白さがぜひ伝わって欲しい」と熱いメッセージ。
さらには本作がヒットすることで、「こういうタッチの時代劇が作っていける状況を作っていければ」と時代劇、ちゃんばらへの展望を語り、会見はお開きとなりました。

『多十郎殉愛記』は、今年10月11日~14日に開催される『京都国際映画祭2018』にてワールドプレミア上映、2019年春公開予定です。

配給:東映 よしもとクリエイティブ・エージェンシー
公式サイト:http://tajurou.official-movie.com/

©『多十郎殉愛記』製作委員会