堤幸彦(映画監督・演出家)を筆頭に大根仁(演出家)、平川雄一朗(演出家)、小原信治(作家)といった、気鋭のクリエイターを輩出する映像制作会社オフィスクレッシェンドが次代を担うクリエイターの発掘・育成をめざして立ち上げた映像コン テスト「未完成映画予告編大賞」=「MI-CAN」。その第1回グランプリを受賞した「高崎グラフィティ。」が8月18(土)より シネマテークたかさき、イオンシネマ高崎にて先行公開、8月25日(土)よりアップリンク渋谷、イオンシネマ シアタス調布ほか全国順次公開となります。

公開に先立ち、8月9日(木)に東京・渋谷のユーロライブにて完成披露試写会が開催! 主演の佐藤玲をはじめ、萩原利久、岡野真也、中島広稀、三河悠冴、川島直人監督が舞台挨拶に登壇した。

もともと、佐藤さんと川島監督が同じ日本大学芸術学部の出身であり、企画のきっかけを作ったのは佐藤さん。「卒業間近に何かやりたいと思い、それまでほとんどしゃべったことなかったんですけど、Twitterのダイレクトメッセージで『何かやりませんか?』と連絡しました」と明かす。

川島監督は「(佐藤さんは)学内でも有名だったので『新手の詐欺か? マズいな』と思った(笑)」と振り返りつつ「文面に熱いものがあり、一緒に何かやりたいと思いました。卒業式の前日くらいに連絡をもらったんですけど嬉しかったです」と語る。

その企画が、見事に「未完成映画予告編大賞」のグランプリを受賞し、こうして長編映画に。佐藤さんは「グランプリのときも『ホントに?』と思ったけど、こうして作ることができて、ここまでこぎつけて嬉しいです」と喜びをかみしめた。

萩原さんらは、グランプリ受賞後の本編制作に際し、オーディションを受けてそれぞれの役を勝ちとったが、萩原さんと中島さんは、オーディション当初、異なる役で応募していたのを、川島監督が会って話をする中で、適材適所を見極め、現在の役を演じることに決まったという。

萩原さんは、本編で演じている優斗という役について「最初は自分の中に(優斗の要素が)ないんじゃないかと思ってたんですが、監督と話をして、オーディションのときに僕が話した高校時代の話に優斗と近いものがあるんじゃないかと感じたと聞いて、そこから役を広げていきました」と述懐。

一方、当初は優斗役でオーディションを受け、本編では直樹役を演じることになった中島さんは「最初は優斗の気持ちがわかる部分が多い気がしてたんですが、高校生活を思い返す中で直樹のバカっぽい感じを思い出して、監督と話し合いながら作っていきました」と語る。

岡野さんは、舞台となった高崎と地理的にも近い栃木出身で「街の雰囲気や人柄が(栃木と)似ていると感じました。普段、地方に行くと、休みの日はひとりで遊びに行くんですが、今回は、あまりに地元と似ているせいで仕事に来ている感じがせず、だらけちゃうと思って、あえて休みの日は東京に戻ったりしました」と振り返る。年の近い5人での共演について「下の名前で呼び合うのも新鮮でしたし、短期間でギュッと仲良くなりました。今日の控室でもワチャワチャしてて、毎日がお祭りのようで楽しかったです」と笑顔で語る。

そんな5人の中でムードメーカーになっていたのが三河さん。女性陣と距離を縮めるために、休みの日にゲームセンターで獲った宝石(?)を岡野さんと佐藤さんにプレゼントしたそうだが、岡野さんは「『目つぶって』と仰々しく渡されました(笑)。撮影中は肌身離さず持ってたんですけど、打ち上げのときに丁重にお返ししました」と明かす。これに三河さんは「返されてない! 床に転がってた(苦笑)!」とせっかくのプレゼントを捨てられたと反論。一方の佐藤さんは「私のは(部屋の)本棚にあると思います…たぶん(笑)」とぼそり。女性陣の仕打ちに三河さんは傷心のよう…。

この若い5人に対し、大人たちの役には渋川清彦、川瀬陽太ら演技派のベテランが配されているが、川島監督は「大人には“壁”として存在してほしかった」と意図を説明。渋川さんと父娘を演じた佐藤さんは「ご一緒したのは1シーンだけでしたけど、ほぼアドリブで、私は渋川さんに合わせて反応するだけでよくて、感動しました」と振り返る。

萩原さんは社長と下っ端社員という関係で川瀬さんと共演したが「怖かったです(笑)! 反応は作ったものじゃなく、リアルにそのまま出ていると思います。5人でいるときの僕とは違う顔が見られると思います」とベテラン俳優の存在感に圧倒され、ナチュラルな反応が引き出されたと明かした。川島監督はこうしたシーンの演出について「最初は緊張しましたが、こちらがひとつ言えば、3つ、4つ返ってくる感じで楽しかったです」と充実した表情を見せた。

また、映画にちなんで高校時代にやり残したことを尋ねると、三河さんは「男女数人でみんなで泳ぎに行ったりしてみたかった」と語り、中島さんは「昔から小さくて線が細いので、10代の頃にもっと食べておけば…」と語る。岡野さんは「制服で他校の文化祭に行ってみたかった!」、萩原さんは「あり余るエネルギーを部活にぶつけたかった」と明かし、佐藤さんは「女子高だったので、男子と登下校したかった。映画みたいに自転車で2人乗りとかしてみたかったです」とそれぞれに果たせなかった青春の願望を口にしていた。

最後に川島監督はキャスト、スタッフ、そして協力してくれた高碕の人々への感謝を述べ「みんなの熱い気持ちを全てスクリーンにぶつけたつもりです。完成した映画の5人を見ると、大人でも子どもでもない、18歳のあの頃の気持ちを思い出しました。みなさんも思い出していただけると嬉しいです」と語り、会場は温かい拍手に包まれた。

「高崎グラフィティ。」は8月18日(土)シネマテークたかさき、イオンシネマ高崎にて先行公開 8月25日(土)より アップリンク渋谷、イオンシネマ シアタス調布ほか全国順次公開。