『泣き虫しょったんの奇跡』 松田龍平、野田洋次郎、渋川清彦、駒木根隆介、新井浩文、 松たか子、小林薫、國村隼、瀬川晶司(原作者)、豊田利晃監督 登壇! 完成披露舞台挨拶
この度、将棋界に奇跡をもたらした異色の棋士・瀬川晶司五段の自伝的作品「泣き虫しょったんの奇跡」(講談社文庫刊)が、豊田利晃監督により映画化。松田龍平が『青い春』以来16年ぶりに豊田作品で単独主演を務めるほか、野田洋次郎、永山絢斗、染谷将太、妻夫木聡、松たか子、國村隼といった<主役級>の豪華キャストが集結した本作は、9月7日(金)より全国公開となる。
幼い頃から将棋一筋で生きてきた“しょったん”こと瀬川晶司(松田)は、「26歳の誕生日を迎えるまでに四段昇段できないものは退会」というプロ棋士養成機関・奨励会の規定により、26歳にして人生の目標を失い社会の荒波に放り出されてしまう―。一度は夢破れた“しょったん”が、周囲の人々に支えられながら、史上初めて奨励会退会からのプロ編入という偉業を成し遂げた奇跡の実話を描く。
この度、TOHOシネマズ新宿にて完成披露舞台挨拶が行われ、主演の松田龍平、野田洋次郎、渋川清彦、駒木根隆介、新井浩文、松たか子、小林薫、國村隼ら豪華キャスト、そして瀬川晶司(原作者)、豊田利晃監督ら総勢10名のゲストが出席した。
豪華キャストらが登場し、盛大な拍手が沸き起こる中、まずは主演の松田龍平が「今日は映画が完成して、みなさんが初めてのお客さんということで嬉しいです。楽しんでもらえる作品になったと思います」と挨拶。今回、史上初めて、プロ棋士養成機関である「奨励会」を退会後に、プロ編入という前人未踏の“奇跡”を成し遂げた“しょったん”こと瀬川晶司を演じた松田は「瀬川さんは現場にもよく来てくださっていたので、いろんなことを教えていただきました。その分、監督に演出されたときも、『瀬川さんはそんなことしない!』と、ちょっと思ったりすることもありました(笑)」と明かし、場内の笑いを誘った。
そんな“しょったん”の親友であり、最大のライバル・鈴木悠野役を演じたのは、松田とは公私ともに仲の良い間柄である、人気ロックバンド RADWIMPSの野田洋次郎。「龍平と監督の愛がつまった作品。最後まで楽しんでください。」と本作をアピールしつつ、今回役者としてオファーを受けた時の心境について、「台詞をちゃんと言えるかどうか心配したりして、『僕、出来ない気がします』と監督に言ってしまったこともありました。ですが監督は『出来るよ』って背中を押してくれて。撮影中は10回以上撮り直しされたこともあって、一瞬オファーを受けたことを後悔することもありましたが(笑)、とても貴重な体験が出来ました」と、当時の心境を吐露しながら振り返った。
“しょったん”の良き先輩棋士である山川孝役には、渋川清彦。若き日の“しょったん”がプロ棋士を目指す「奨励会」時代からの、唯一のプロ棋士という役どころを演じた渋川は、「豊田監督とは1998年から20年間、一緒に歩んできました。ここにいられることがすごく嬉しいです」と、感無量な様子で語った。
一方、“しょったん”と苦楽を共にする奨励会員には、駒木根隆介(畑中良一役)、新井浩文(清又勝役)という面々。大好きな将棋の映画に出演することができて嬉しいと語る駒木根は、「撮影中も対局シーンがあるとみんな控室で将棋を指していて、幸せな現場でした」とニッコリ。控え室では、彼らと共に同じく奨励会員を演じた永山絢斗、染谷将太らと将棋を指す機会も多く、新井は「最弱なのは、ブッキー(妻夫木聡/冬木渡役)と染谷将太くん(村田康平役)でしたね」と暴露。さらに、「昔、龍平の家でたまたま将棋を指したことがあって。そのときはめちゃくちゃ弱かったというか、龍平の打つ駒がルール上出来ない動きをしていて(笑)。そんな龍平が将棋の映画やるって聞いたときに心配していたんですが、本当に強くなっていましたね。後半、龍平に勝てなくなってました」とエピソードを明かした。
また、本作のキーパーソンでもある、幼い頃内気だった“しょったん”の背中を押し、その後も温かく見守り続けた恩師・鹿島澤澤佳子役を演じたのは、豊田作品への出演は『ナイン・ソウルズ』(03)以来15年振りとなった松たか子。「しょったんの目を見て、その向こうにいるであろう龍平くんを想像して、その姿を熱く観ている瀬川さんを想像し、さらに『私に“ビッグラブ”で!』と演出された監督を思い出しながら演じました」と語り、微笑んだ。さらに、一度は挫折しながらも、再びプロ棋士の夢を追うことを決意した“しょったん”を応援する藤田守役には、小林薫。「僕はプロ棋士を目指す瀬川さんを支援する役なんですが、今考えると、僕が演じる藤田がいなければ、この映画が完成しなかったということですね。そう思うとすごく重要な役だったんだなと実感しました。」と、想い想いに語った。また、“しょったん”の一番の理解者となって支え続けた父親役を演じた國村隼は、「この原作本を読んだときに、すごく面白いお話だなと思って読み終えたんですが、現場に行ってから初めてこの物語が実話だと知って。タイトルにも“奇跡”とありますが、こんな出来事が奨励会で本当にあったんだと。本当に起きたことだからこそ、すごいものが詰まっている作品だと思います」と、本作の魅力をアピールした。
「26歳の誕生日を迎えるまでに四段昇段できないものは退会」というプロ棋士養成機関・奨励会の“鉄の掟”により、一度は夢に破れた“しょったん”が、個性豊かで温かな周囲に支えられながら、大好きな将棋への想いを胸に、再び“プロ棋士”という夢を追いかける姿を描いた本作。自身の半生を描いた原作者の瀬川晶司五段は、本作が初お披露目のときを迎え、「ついにこの日が来たか、と思いました。豪華なキャスト、素晴らしいスタッフのみなさんにより、とても爽やかで素敵な作品に仕上げていただきました。原作者としても大満足です!」と、感無量の様子で語った。また、メガホンを取った豊田監督もまた、9歳から17歳まで奨励会に在籍していた過去を持つ。「僕が奨励会にいたのは40年くらい前の話。僕も奨励会をやめて、将棋を憎んでいたこともありました。ですが、瀬川さんが書かれた本を8年前くらいに読んだとき、もう一度将棋を指したくなったんです。そして、映画を撮りたくなりました。」と、本作が長編映画10作目で映画監督としても20年目という区切りに、“将棋”を題材に選んだその想いを語った。そして「素晴らしい原作と、素晴らしいキャスト、最強のスタッフのおかげで、最高の映画になりました!」と本作への自信をのぞかせた。
一人の男の「夢」への再挑戦を軸とした熱い人間ドラマが描かれる本作。松田や野田らも、ワールドカップ(W杯)ロシア大会を観戦していたといい、野田は「龍平と僕の家で『一緒に観よう』って話をしていたのに、試合開始してからも全然来なくて。試合開始してからしばらくしてやってきたんですが、試合も見逃したくないので、玄関まで迎えに行くのも嫌で(笑)」と、劇中の関係性同様に、プライベートでも仲睦まじい様子が垣間見えた。
イベントの最後には代表して松田、監督がそれぞれ挨拶。「本当に良い映画だと思います。瀬川さんがおっしゃっていましたが、諦めないことが何かに繋がる、勇気を貰える作品だと思います。将棋という世界で奮闘する瀬川さんを含め、周りを取り巻く人々たちの熱い人間ドラマを、ぜひスクリーンで楽しんでいただけたら嬉しいです」(松田)、「この映画は、夢を追い続けている男の物語です。好きなことをやってると、それが上手くいかなかったり、好きという気持ちが憎しみに変わったりすることもありますが、それを愛に変えて、瀬川さんは成功されました。沈んで行く夕日をずっと追いかけているみたいで、バカみたいに思えることもあるかもしれませんが、僕はそういう人が好きです。今日はありがとうございました!」(監督)と、それぞれ会場に集まった観客らにメッセージを送った。その後、煌びやかな金屏風をバックに、『泣き虫しょったんの奇跡』とあしらわれた巻物風の手持ち看板をキャスト陣がかかえ、フォトセッションが行われるとイベントは幕を閉じた。