フランスを代表する映画作家フランソワ・オゾンの心理サスペンス『2重螺旋(らせん)の恋人』(8/4(土)公開/キノフィルムズ配給)のフランス映画祭 2018(開催期間 6/21~24)出品を記念して、この度フランソワ・オゾン監督が来日、ティーチインイベントを開催致しました。

今回は 5 年ぶりの来日となったオゾン監督。日常と妄想を行き来する本作に関して、もともと〝双子〟というテーマにずっと興味を持っていたが、ジョイス・キャロル・オーツの原作に出会ったことで今回の作品が生まれたこと、映画の登場人物のキャラクターの作り方の過程や、本作で混乱を引き起こす要因となるセクシュアリティに関しての考え方など、満席の観客からの好奇心旺盛で多様な質問に次々と回答。「次は団長で!」とお願いされたオゾン監督が、笑顔で「もっと歳を取ったらね!」とユーモアたっぷりにかわす場面も見られました。

「2重螺旋の恋人」上映後ティーチイン
6/22(金)17:45 の回、上映後・ティーチイン 会場:イオンシネマ みなとみらい スクリーン8
登壇者:フランソワ・オゾン(監督/下写真)
モデレーター:矢田部吉彦(東京国際映画祭 プログラミング・ディレクター)

Q:発想の源は?
■出発点は私が双子に興味があったことですね。そこで原作(ジョイス・キャロル・オーツ)に出会いました。

Q: 2 人とも精神分析医にするというのは、監督の発想ですか?
■それはもともと原作にありました。変えたのは、精神分析のシーンですね。
原作はアメリカ風の精神分析でしたが、フランス式に変えました。
アメリカとフランスの違い?フランスの方が精神分析医と患者が寝る可能性が高いのかどうか、それは私にはわかりません笑。でもやらないようがいいと思うよ!あと、ラストを変えました。原作は文学としては成立しますが、映画には向かなかったので変えました。

Q: ジェンダーを超越したような映画ですね?
■奇妙な意見だ。でも、私はこの映画でのセクシュアリティというのは「不満足」がテーマになってると思ってる。この映画の主人公も恋人に対して愛情はあるんだけど、何かが足りない。でも、性と心の乖離はよくある話だよね。どんな恋人でも満たされないものはあるし、その解決法は日本人の方が長けているのではないかな?

Q: マリーヌ・ヴァクトをキャスティングした決め手は?
■脚本を執筆した後に決めたよ。『17 歳』の時もヌードだったから、受けてくれるか不安だったけど、
みごとに勤めてくれた。

Q:なぜ猫が出てくるの?
原作に出てくるからね。あとは、犬と違って、映画映えするんだよ、猫は。
あと、猫は英語でプッシーというし、女性器の意味でもあるよね。でも、僕は猫が苦手、昔襲われたからさ笑

監督・脚本:フランソワ・オゾン 原作:ジョイス・キャロル・オーツ「Lives of the Twins」 音楽:フィリップ・ロンビ
出演:マリーヌ・ヴァクト、ジェレミー・レニエ、ジャクリーン・ビセット、ミリアム・ボワイエ、ドミニク・レイモン
2017 年/フランス/1 時間 47 分/カラー/スコープ/5.1ch/原題:L’amant Double/ 日本語字幕:松浦美奈 ©2017 – MANDARIN
PRODUCTION – FOZ – MARS FILMS – FILMS DISTRIBUTION – FRANCE 2 CINÉMA – SCOPE PICTURES / JEAN-CLAUDE MOIREAU 配給:キノフィルムズ
www.nijurasen-koibito.com R-18