映画『ゆずりは』初日舞台挨拶、コロッケさんムチャぶりをされ、丁寧に応えるサービス精神を発揮!
多彩なものまねレパートリーで知られるエンターテイナーのコロッケが、本名の滝川広志として初主演を務める映画『ゆずりは』が6月16日(土)についに公開を迎え、東京・新宿のK’sシネマにて、初回の上映を前に舞台挨拶が開催。滝川さんに加えて、共演の柾木玲弥、加門幾生監督が登壇した。
この日、コロッケさんは、あくまでも“俳優・滝川広志”として舞台挨拶に登壇……のはずが、いきなり司会者から「美川憲一さん」「福山雅治さん」「志村けんさん」などとムチャぶりをされ、それにひとつひとつ、丁寧に応えるサービス精神を発揮! 会場は冒頭から笑いに包まれる。
続いて挨拶に立った柾木さんにも、その流れで司会者から「志村けんさん、ご挨拶をお願いします」とフリがなされ、このムチャぶりには柾木さんも「それは聞いてない(苦笑)!」と本気で困惑した様子を見せていた。
改めて、真面目な葬儀屋の部長という、従来のイメージを覆す役柄での映画初主演について、滝川さんは「最初はドッキリかと思いました。監督の話を聞きながらもカメラが隠れてるんじゃないかとソワソワしていました」と述懐。「監督に言われたのは、『ふざけないでください』ということ。38年間、ふざけてきた男に…正直、意味が分からなかったです(笑)。現場では、緊張しながら、一切ふざけることなく、(ロケ地の)千葉県の八千代市のビジネスホテルに3週間ほど泊まって、シングルの一番狭い部屋で、(役柄の)水島になりきっていました。その間、コロッケは捨てて、普段の生活の中でもふざけずに一生懸命やりました」と振り返った。
役作りの過程で滝川さんは、7キロ体重を落とし、もみあげをいつもより短くし、トレードマークのメガネも外した。演技に関しても、普段のものまねや舞台の公演でとは全く異なるアプローチが要求されたそうで「38年間、足し算の芸をやってきましたが、今回は削ぎ落して、引き算の演技をさせていただきました」と明かす。
加門監督はこの滝川さんの演技について「(大げさな演技が必要な舞台と比べて)大きなスクリーンだと、ちょっとした目の動きで何を考えているかわかるんです。それをぜひ見ていただきたいんです!」と観客に強く訴える。自身、原作小説と2年半に出会い、この日、ようやく公開を迎えたが「私事ですが、準備中に母を亡くし、その1年後に父も亡くし、自分の中でこの映画は生涯のテーマ、やるべくしてやってきたんだなという気持ちで臨みました」と感慨深げだった。
この日は、本作に出演している11歳の新進女優・武田ココナがサプライズで来場し、滝川さんに花束を贈呈。滝川さんはココナちゃんについて「これから大活躍します。現場で話しかけられないくらい、鬼気迫る演技を見せてくれました。有望株です!」と太鼓判。ココナちゃんは現場での滝川さんについて「グッズをくれたり、面白い話をしてくれたり、お父さんみたいに優しかったです!」と笑顔で語っていた。
また、翌17日(日)が「父の日」ということで、お父さんに関するエピソードや思い出を尋ねたが、滝川さんは「小さい頃に離婚して、ほとんど会っておりません!」と即答。滝川さんから「明日はお父さんに何かあげるの?」と尋ねられたココナちゃんも「特にないです」とバッサリ。柾木さんにいたっては、緊張のせいもあってか、なかなか思いが言葉にならないようで、質問とは関係なく「ココナちゃん、前フリをちゃんと受け取って素晴らしいですね」とココナちゃんの堂々たる受け答えに感嘆。司会者や監督から「台本読みました?」「やる気あります?」などと厳しいツッコミが…。とはいえ、柾木さんは劇中では素晴らしい演技を見せており、滝川さんは「(柾木さんが演じた)高梨の移り変わりを見ていただきたい」と語り、加門監督も「ジュノンボーイのカッコいい男がいい味を出してくれています」と称賛を送っていた。
最後に改めて滝川さんは「お葬式を扱った映画はいろいろありますが、類を見ない等身大の物語で、これから皆さんが経験しうることが描かれており、生と死、成長や葛藤について考えていただけると思います」とアピール。「命がけでやりました。滝川広志、58歳にしてデビューでございます」と晴れ晴れとした表情で映画の船出を見送った。
『ゆずりは』は全国公開中。