『片腕マシンガール』『電人ザボーガー』の鬼才・井口昇監督が育てたアイドルグループ・ノーメイクス。『キネマ純情』続くノーメイクス主演第二作目『ゴーストスクワッド』の関西公開が3月24日より始まった。

凶悪事件被害者へのレクイエムとしてゴースト少女の復讐と救済を描いた本作。大阪/シネ・ヌーヴォの舞台挨拶後、京都/出町座に登壇した井口昇監督とノーメイクスの3人(神門実里さん、上埜すみれさん、柳杏奈さん)。

 

開口一番「わたしくノーメイクスの『ゴーストスクワッド』の司会をしております、司会じゃなかった!監督をしております。井口昇と申します!」
井口監督の慌て者ぶりに会場の空気が和む。

元々京都が好きというすーちゃんこと上埜すみれさんは、
「毎年夏にお墓参りを兼ねて来ていて、出町柳はよくうろうろしていました。今日はさっそく“出町ふたば”の豆大福を並んで食べて来ました。遊んだり鴨川でパンとか食べてた土地で自分たちの映画を流していただいて感慨深いです」と語った。

 

井口監督念願の企画である『ゴーストスクワッド』


出町座は昨年クラウドファンディングにてオープンされた劇場だが、『ゴーストスクワッド』も『キネマ純情』に続いてクラウドファンディングで作られた映画だと紹介した井口監督。

「ノーメイクスは僕がオーディションで選んだ女の子たち5人で始めたユニットで、今3人なりました(笑)」
「これ以上いなくなった困っちゃう(笑)」と、みのりんこと神門実里さん。

 

ゆんゆんこと洪潤梨さんが脱退し、『ゴーストスクワッド』は4人のノーメイクスが出演する最後の映画となった。

「この映画は念願の企画で、現実の嫌な事件に対する決着、社会的な啓蒙をやりたいと思っていました。ノーメイクスで映画が出来てこうやって上映できることを幸せだと思っております」と井口監督。

 

プレッシャーのあまり、逃亡未遂?ロケ弁三食一気食い?

 本作で自殺願望がありゴーストたちの復讐の手助けをする少女という難しい役に取り組んだあむこと柳杏奈さんは、実際にあった事件にインスパイアされた作品だけに相当なプレッシャーがあったという。セリフを覚えるのがあまり得意ではないにもかかわらず膨大なセリフを覚えることになった。
「もう逃走しようかと思いました。穴に隠れようかと(笑)」と回想する。

みのりんは網走の映画祭に行った時、“このまま網走の街に逃げ出そうか”というあむに、
「落ち着いてやろう」と励まし、二人で台本を読んで練習したと当時を振り返った。

 

7日間合宿生活で撮り上げた本作。合宿は本編の中に出てくる一軒家で行われ、あむとみのりん、ゆんゆんとすーちゃんが相部屋になった。きれい好きのゆんゆんとすーちゃんの部屋は、お香を焚いたりきちんと掃除され清潔に保たれていたというが、対照的だったのがあむとみのりんの部屋だった。


「ロケ弁を朝昼晩の分を取って置いて、夜落ち着いて3食分いっぺんに食べてました」という驚きの食生活を語ったのはみのりんだ。
「プレッシャーが凄くて集中したかったから。昼休憩を挟んだらもう無理だと思って。本当に凄い緊張していて」

と尋常ならぬプレッシャーを抱えていたことを告白した。おかげで部屋は常に弁当のニオイが充満することに。
途中から同室になった中村瑠美衣さんがたこ焼き持って来たり、更に部屋のニオイが凄いことになったという。

「3人ともそういう性格だったから(笑)」
「食べ切れなくて“いいや、明日で”って置いたまま寝たっていう(笑)」と振り返るあむ。
「運動部の男の部室みたいな感じだったんですね。そうやって作られた映画ですか(笑)」

井口監督もその実態に驚きと笑いが隠せない様子だった。
ノーメイクスの苦闘の末、完成した『ゴーストスクワッド』。この魂震える作品は井口監督の新境地と言える。

 

過激な撮影現場には何かが来る….??

すーちゃんから、
「私達の幽霊復讐部隊以外にもモノホンの幽霊が写ってるらしいんですよね」と、映画にふさわしいエピソードが。

リピーターが多く、20回以上見た観客もいるという『ゴーストスクワッド』だが、渋谷アップリンクで上映した際に、あのモジャモジャは何?おじさんが写っている!といった色々な目撃情報がツイッターなどで寄せられ、メンバーも騒然としたという。


井口監督は、「確実にそうだと思えるものが1つだけあるんですが。繰り返し観てるから変なものが見えて来ちゃうのかもしれないですね」と、冷静な意見を述べつつも、

「ゆんゆんが元の恋人の家に行って窓の外から観ているシーンで、実はゆんゆんの顎の下に俺の顔らしきものが写ってるんですよ。
俺が撮影もやってたから編集してる時に気づいて、自分かなと思ったんだけど、よく考えたらモニターを覗きながら撮ってるのに、ゆんゆんの顔をじっと見つめてる目なんですね」と、語る。

「角度的に変だなと思って。やめないでゆんゆん!って、俺の生き霊が写ってたかもしれませんね(笑)」
と、ゆんゆんへの思いがこもったエピソードが披露された。

 

 

ゴースク、出町座ならではの特典とは


最後にとって置きのエピソードを披露するよう井口監督から振られたみのりん。

出町座のスクリーンに関して、
「ゴースク史上最も大きく私のお尻が映ったスクリーンだと思います。皆さん、どうでした?」

観客から大きな拍手が起こる。
「ありがとー!」

井口監督は、「あのシーンを取るためにクラウドファンディングしたと言っても過言ではない(笑)」と、言い切る。
最初は長過ぎるんじゃないかと反対されていたが、上映するたびに賛同者が増えたという。

「しかもイケメンのゲストの方が、あのお尻は倍以上あってもいいと思います!みたいに真面目に言うんですよ。だから自信を持っていいと思いますよ」という井口監督に「良かった!」と、笑顔で答えるみのりんだった。

 

『ゴーストスクワッドのテーマ』のライブも行われ、三人のパフォーマンスや撮影タイムを堪能した観客たち。


恒例の「感謝の気持ちでハイ、敬礼!」の掛け声ととともに敬礼ポーズで一体となった場内。サイン会は出町座の外で行われ、観客と井口監督、ノーメイクスで笑顔の交流が行われた。

 

ゴーストスクワッド』の関西上映は出町座が3月30日まで、シネ・ヌーヴォは、4月6日まで。3月31日からは新たに横浜シネマリンでの公開予定となっている。

(レポート:デューイ松田)