11 月3日(欽・祝)公開の萩本欽一、最初で最後のドキュメンタリー映画『We Love Television?』が 10 月 12 日に開幕した「京都国際映画祭 2017 -映画もアートもその他もぜんぶ-」に特別招待され、河本準一(次長課長)さんと土屋敏男監督が登壇されました。河本準一さんが本作について語るのは今回が初めて。芸人が流した涙の意味、撮影秘話をお話し頂きました。

【 日 時 】 10 月14日(土)
【 場 所 】 TOHOシネマズ二条 (京都市)
【 登壇者 】 河本準一、土屋敏男監督

≪レポート≫
河本準一「全否定からのスタートだった」
萩本欽一にしごかれた日々、もらい泣き必至の撮影秘話を明かす “視聴率 100%男”萩本欽一を追いかけたドキュメンタリー映画『We Love Television?』が 10 月 12 日に開幕した「京都国際映画祭 2017 -映画もアートもその他もぜんぶ-」に特別招待され、河本準一(次長課長)氏と土屋敏男監督が登壇した。河本が本作について語るのは今回が初めて。芸人が流した涙の意味、撮影秘話を語った。
河本の出演のきっかけは、ある日いきなり土屋がおしかけ、自身と萩本によるコント番組「新欽グ show」の出演をオファー。ほとんど説明のないなか番組作りに参加することになった河本は、萩本欽一流の稽古でしごかれ、本番収録後には号泣してしまうほどの大変な経験をしたという。登壇するやいなや河本が「今日は上映後の舞台挨拶でネタバレなど気にしなくて良いので、すごくうれしいです。土屋さんにはいっぱい言いたいことがあるので!」話す。

「出来上がった作品を見て、土屋さんが僕のところに来るまでの経緯を知りました。欽ちゃんをよく知る土屋さんが、キャスティングの会議で『河本と欽ちゃんは合う気がする』と言っていたのを見て、うれしかったですね。さらにその後それを聞いた欽ちゃんが、『それなら他に芸人を出すのはやめよう。そっちのほうが河本君ががんばるから』と言っていたのがすごく印象に残っています」、とまずは映画の感想を語る。「映画で出ていたようなコントの稽古って、よしもとの先輩とでも今まで経験がなかったのですごく緊張していたんです。勝俣(州和)さんとかから欽ちゃんの稽古の噂は聞いていたし。映画では少ししか映っていないけど、もう本当に過酷でした!(笑)。僕以外の人と稽古しているので見ていたら、僕のほうを振り返りもせず『ちょっと河本君やってみてよ』っていきなり球が飛んできたり…。欽ちゃんは判断がとても早くて、ダメなものはすぐ“はい、それダメ”って言うんですよね。それでも何度もやっているうちに僕がたまにヒットを出すと、今度は“それは絶対に本番で出さないでね”、と言うんです。僕が今までやってきたことが全て否定されたところからのスタートでした。欽ちゃんは稽古では毎日のちがうことをやるべきだと思っているんです。それで最高潮になったものを本番で出せばいいっていう考えなんですよね」と語る。

土屋監督は「ドキュメントをステージでやっていた人が萩本欽一なんです。映画のなかにも入れましたけど、コンマ何秒の世界をひたすら探求し続けるほど稽古を重ねるんです。そのうえで本番でアドリブでやってしまう。だから共演者たちはびっくりしてあわあわするんです。それを面白く見せるという。このドキュメントの精神は、自分が後にやる電波少年に繋がっていきます」と語った。MCよりタイトルの最後が「?」になっているのはなぜなのか、という質問があると「We Love Tekevision? の『We』は僕たち作り手たちのことです。欽ちゃんはテレビを通じて人を笑わせるのがものすごく好きな人で、彼の熱量をこの映画には込められたと思っています。僕たち作り手ももちろん日々面白いものをつくろうと思っていて、『We Love Television』、“僕たち作り手はテレビを愛している”。ですが果たして萩本欽一ほど愛しているだろうか、ということを自分ふくめて全ての作り手たちに問う、そういう意味で?マークをつけました」と作品に込めた想いを語りました。

また“思わずもらい泣きしてしまった”という感想が続出している、作中の河本の涙のシーンについて本人は「収録本番まで本当に苦しかったんです。特に本番2日前に大きなアクシデントがあり、全く新しいことを考えないといけない状況にあったので、大丈夫なのか、大丈夫なのかとずっと丌安でした。そういうプレッシャーが本番まで続いたので、収録後に舞台袖で欽ちゃんに『河本、お前すごい良かったよ』って言われたとき全部肩の荷が下りた感覚で。
今まできつかった気持ちが全部吹っ飛びましたね。欽ちゃんにはガッツリ成長させてもらいました。あれができれば何でもできると思います(笑)」と話し、何かをやりきった後の涙に共感できる観客はうなずいていた。
最後に土屋監督から「この作品は昔すごかった欽ちゃんではなく、今も闘い続けている欽ちゃんが自身の生き方で教えてくれている映画です。それはエンドロールが終わってからの映像まで見てもらうことでよくわかると思います。

ぜひ最後まで見てください」とコメントがあり、河本から「テレビ関係や、お笑い芸人に限らずみんなが共感できる映画になっていると思います。欽ちゃんの人生や、モノづくりに対する熱量が詰まっていると思うのでぜひパワフルな欽ちゃんを見てほしいなと思います」とコメントがあり舞台挨拶は終了した。