。BD 書店賞、ACBD 批評グランプリを受賞したバスティアン・ヴィヴェスによる話題のフランス・グラフィックノベルを映像化した、『ポリーナ、私を踊る』が 10 月 28 日(土)よりヒューマントラストシネマ有楽町、ヒューマントラストシネマ渋谷他にて全国公開となります。
本日、バレエファンを集めた“バレエ試写会”が行われ、上映後に漫画家でバレエにも造詣が深い桜沢エリカさんと現役バレエダンサーの上野水香さんが登壇しスペシャルトークショーが開催されました。

■日程■ 10月13日(金)
■会場■ ポニーキャニオン 1Fイベントスペース (港区虎ノ門2-5-10)
■登壇者■ 桜沢エリカ (漫画家)、上野水香(バレエダンサー)

映画の上映後、MCの呼びかけにより登壇した桜沢と上野。バレエファンばかりが集まった試写会とあり、バレエファンにはおなじみの面々の登場に割れんばかりの拍手が沸き起こった。
はじめに映画についての感想を聞かれると、桜沢は「最初にポスターを見たときはガチガチなクラシックバレエの映画かと思ったのですが、コンテンポラリーに魅了されていくお話なんですよね。一人の女の子がダンスを通して成長していくという、素晴らしい成長譚だったと思います」と率直な感想を述べ、上野は「私もバレエダンサーとして同じ目線で見ていたのですが、主人公のポリーナは貧しい家庭出身ながらも名門のバレエ学校に通っていたり、いつも新しい方向に向かっていくハングリー精神がすごいなと思いました。やはりアーティストにはそういう気持ちが大事になるので、彼女のそういった姿勢が強く印象に残りました」とバレエダンサーならではの視点で映画を語った。
主人公のポリーナ役を演じたアナスタシア・シェフツォワは、実際にロシアの名門マリインスキーバレエ団で活躍していたバレエダンサー。
今回オーディションで監督に見染められ女優デビューを果たした彼女について桜沢は「やっぱり初演技とあってフレッシュな演技が魅力。リアリティのある表情がすごくよかった。そしてなにより可愛いよね」、上野は「目力がすごかったですね。セリフが少なくて、表情だけでいろんなことを感じさせてくれました」とどちらもアナスタシアの演技力に太鼓判を押した。そんな彼女が本作に出演したことをきっかけに、女優業やコンテンポラリーダンスに興味を持ちバレエ団を辞めてしまったという事実を聞くと桜沢は「名門なのに、もったいないよね~!」と思わず本音がぽろり。
上野が過去に共演した、元パリ・オペラ座のエトワールであるジェレミー・ベランガールについて話が及ぶと「彼とはたまに公演で会うと話をする仲なんです。以前から彼は“常に新しい表現を求めている”という印象がありました。本作でも新しいコンテンポラリーをポリーナに教える大事な役を担っていますが、まさに彼にぴったりだなと思いました」と、ジェレミーとの交流について語ると「私も以前見た公演で同じことを感じました。振付家が演出した舞台だったんだけれど、1つだけ彼オリジナルの振り付けで踊っていて。“自分の作品を作りたい”って気持ちのある人だったんでしょうね」と語った。

名女優ジュリエット・ビノシュが演じるコンテンポラリーダンスカンパニーの先生役については、「もう本物の先生にしか見えなかったよね!」と桜沢は大絶賛し、上野は「あの場面はダンスレッスンでのあるあるがいっぱいでとても面白かったです!男性が女性をリフトするときにうまくいかずにお互いを責め合っていると、先生が『どちらも悪いのよ』と一喝するシーンは必ず練習中に起こる出来事で、思わず共感してしまいました」とリアリティたっぷりのシーンの魅力を語った。
最後にそれぞれが1番好きなシーンについて「やっぱりポリーナの語らない演技が魅力だと思います。一言もセリフがないまま湖に入っていく、頭まですっぽり水の中に入るシーンがあるのですがそこが大好き」(桜沢)、「物語の比喩としてでてくるトナカイがとても印象的。神秘的な雰囲気が好きでした」と映画の魅力をアピールし、イベントは幕を閉じた。