漫画家・魚喃キリコの代表作「南瓜とマヨネーズ」。脆く壊れやすい日常が、あたりまえに続いていくことの大切さを説くこの恋愛漫画の金字塔を、『乱暴と待機』『ローリング』で知られる鬼才・富永監督が実写映画化。11月11日(土)より全国公開されます。

この度、10月10日(火)に、新宿武蔵野館にて映画『南瓜とマヨネーズ』の完成披露上映会舞台あいさつを実施いたしました。
主人公ツチダ役を演じた臼田あさ美、曲が書けないスランプに陥ったツチダの恋人・せいいちを演じた太賀、ツチダの忘れられない元彼・ハギオを演じたオダギリジョー、そして監督の冨永昌敬が登壇。撮影秘話や作品に込めた想いなど語りました。

映画『南瓜とマヨネーズ』完成披露上映会舞台あいさつ 詳細

■日程:10月10日(火)
■場所:新宿武蔵野館(東京都新宿区新宿3-27-10 武蔵野ビル3F)
■登壇:臼田あさ美 太賀 オダギリジョー 冨永昌敬監督 (順不同)

曲が書けないスランプに陥った恋人せいいちと、忘れられない昔の男ハギオとの間で揺れる女性ツチダの繊細な心情を痛々しいほどリアルに描いた漫画家・魚喃キリコの代表作『南瓜とマヨネーズ』。1998年から1999年にかけて発表され、90年代の感度の高いユース・カルチャーのバイブル的存在となり、以降も愛され続けてきました。脆く壊れやすい日常が、あたりまえに続いていくことの大切さを説くこの恋愛漫画の金字塔を、『パビリオン山椒魚』、『乱暴と待機』『ローリング』で知られる鬼才・富永昌敬が実写映画化。

ミュージシャンを目指す恋人の夢を叶えるため、ひそかにキャバクラで働く主人公ツチダを演じるのは臼田あさ美、ツチダの現在の恋人せいいち役には太賀、自由奔放で女好きな昔の恋人・ハギオ役にはオダギリジョーと原作ファンの期待を裏切らない、絶妙すぎる豪華キャスティングも話題となりました。

撮影が昨年10月ということで、約1年の時を経て一般のお客様に初めてご覧いただく機会となった完成披露舞台あいさつには、主演の臼田あさ美のほか、太賀、オダギリジョー、冨永監督が登場!割れんばかりの拍手で迎えられました。

はじめは原作者の魚喃キリコと冨永監督の口約束から始まった本作。いろんな都合で実現するまでかなりの時間がかかった作品だが、ついに完成披露という日を迎えて、感無量といった出演者たちの様子でした。

<舞台挨拶詳細>

MC:それでは、早速お一人ずつご挨拶をいただきましょう。

臼田:こんばんは臼田あさ美です。連休明けの平日の夕方でみなさんお忙しい中、ありがとうございます。この後上映がありますが最後まで楽しんでいってもらえたら嬉しいです。

太賀: こんばんは。せいいち役を演じました太賀です。今日は完成披露上映会に来てくださってありがとうございます。

オダギリ: オダギリです。今日はよろしくお願いします。

冨永監督: ご来場ありがとうございます冨永です。本当は上映後に挨拶がしたかったのですが。ご覧になった後、皆さんで話していただければと思います。

MC:撮影が昨年10月ということですので、約1年を経て、この後初めて一般のお客様にご覧いただくわけですが、今どんなお気持ちでしょうか?

臼田: 監督から最初に映画化するというお話を頂いたのは、今から3年以上前になると思うんですけど、そこから映画をやっと撮れたというのがあって、そして今やっと完成した。そして皆さんに見ていただけるっていう機会が、本当に信じられないというか。まだこれも本当に公開されるの?という気持ちなんですけど、やっとここにたどり着いたという気持ちです。

太賀:撮影が1年前。1年前に行った撮影でしたが、今でも鮮明に覚えていて。あの時過ごしていた時間が作品となって皆さんの前に届けられるようになったんだなと思って、すごく感慨深いというか。それがどういうふうに皆さんに届くのか、受け止められるかも、楽しみです。ようやくここまできたかという感じです。

冨永監督:3年前、かなりフライングぎみ臼田さんに伝わってしまって。何も準備していないのに(臼田さんに)やる気になっていただいて。初めて会ったときに怒られるかと思ってたんですが。臼田さんじゃないとこの映画は成り立たなかったと思います。

MC:続いて、オダギリジョーさんにお伺いしましょう。映画『パビリオン山椒魚』以来、約11年ぶりの冨永作品へのご出演となりますが、当時と比べてお2人ともともに時を経ての変化した部分などがありましたらお聞かせください。

オダギリ: やっぱり最高ですね。監督とは同い年で同級生的な感覚を持っているので、やっぱり頑張ってる姿を見るとすごく励まされますし。やっぱり僕は監督の才能を同級生としても映画ファンとしても、末永く撮っていただきたい監督の一人なので。今回の映画も参加できてよかったなと思います。

MC:監督はいかがでしたか?

冨永監督: 感無量です。オダギリさんは僕にとって特別な俳優さんなので。11年経ってるって気がしなかったですけど、やっぱりオダギリさん何も変わってないなと思いました。変わったなって思ったのは、某映画の撮影で海外から戻ってこられた直後だったので、肌の色が変わって、真っ黒になってて。作品にすごくいい爪痕になって残ったと思います。

MC:臼田さんはオダギリさんと初めての競演ですか?

臼田:いえ。私が初めて映画に出たときにご一緒させていただいて。初めての映画だったので、今から12年前になるんですけど、私は右も左もわからず。私の記憶の中にあるオダギリさんは、すごいアドリブとかをたくさんやっていて、台本にないからどうしていいかわからない、困った状態を楽しんでいらしたように思います。

オダギリ:楽しんでないよ。園子温監督の作品だったので、台本もなかったような作品で。好き勝手やってて。周りの俳優みんなそんな感じの人ばかりだったんです。

臼田:そうですね。皆さんそうでした。

MC:久しぶりの再演はいかがですか

臼田:ご本人を目の前にしてちょっと、とっても言いづらいんですけど、スケジュール的にせいちゃんのシーンが先にあって、やっぱりせいちゃんと気持ちを作っていって、現場を作っていって、愛情も沸いて。なんかこれせいちゃんと何とかうまくいかないかなという気持ちになったんです。もちろん脚本があるのでこの後ハギオが現れて、というのは分かっていたんですけど、こんなにせいちゃんと作り上げたものを一瞬でハギオは崩せるのかな?私の子の気持ち変わるのかなって思ったんですけど、オダギリさんがハギオとして現場に入った瞬間に、私だけじゃなく女性スタッフだけじゃなく、男性スタッフもみな、「あっ、もうこれはせいちゃん負けたね」って思って。私もそれまで考えていたここでハギオに気持ちが揺れるのかなぁ?というのは一切取っ払われて。女の人にもモテるとかそういうことじゃなくて、人を惹きつけるみたいな。あれよあれよと向こうのペースに持ってかれちゃって、こんなはずじゃなかったのにという気持ちにさせられるのを味わいました。

オダギリ:みなさんまだ見る前だから…。かなり僕ヤバイことになってますよ。

太賀:頼むからやめてくれと、せいいちとしては思いました。

MC:太賀さんはオダギリさんと3回目の競演だそうですが。

太賀:今回の現場でお会いする前は、言うなれば恋敵というか。そういつ立ち位置だったと思うんです。せいいちとして物語の展開も知ってるし、臼田さん演じるツチダがハギオのところに行くのは、けっこう胸をかきむしられるような気持ちで。明日撮影俺ないけど、明日の撮影何するの?って聞いたら、ハギオとのシーンって聞いて。頼むから行かないでくれ!臼田さんいかないで!みたいな気持ちになってるんですけど、 いざ、対面すると、やっぱり僕としてもオダギリジョーさんなので。あっオダギリさん、オダギリさんって。それまで牙をむいていようかなと思っていたんですけど、対面するとすっかり懐にすっぽり入ってしまって。人間的魅力にとりこになりました。

オダギリ:お食事でも連れてって行ってあげたい気持ちです。

MC:せいいちとハギオのキャラクターは冨永監督がこだわって膨らませたと聞いているのですが。

監督:この2人が単なるかっこいい人で終わらないように。臼田さん演じるツチダのダメ男めぐりになるように。魅力あるダメ男にしました。

MC:ダメ男なんですけど、どちらも非常に捨てがたいというか。演じられたお2人はどのようにキャラクターを分析したのですか?

太賀:せいいちは、ミュージシャンとしての仕事もうまくいっていなくて、自分の感情に立ち止まってしまっている、迷ってしまっているなかで、それでも臼田さん演じるツチダが支えてあげたくなるような。そういう親しみというか。愛嬌じゃないですけど、そういうものを出していければ、なんとかオダギリさん演じるハギオと対になれるのかなと思いました。親しみで行くしかない!という感じでした。

オダギリ:ハギオというのは、人たらし的な部分があるなぁと思っていたので、そこがうまく醸し出せていれたら嬉しいなと思っていました。とにかくエルネストというキューバに行った映画から帰ってきてすぐの撮影で。あまりにキューバが大変だったので、この作品でストレスを発散する。すごく気持ちのいい、そんな現場だったのを覚えています。

MC:2人のキャラはいかがでした?

臼田:ダメな男だと思いますけど。じゃぁツチダはどうなのかというと、ツチダも大したことないなとも思うんですよ。ツチダもツチダじゃん。という感覚が私の中にあったので、駄目だね、駄目だねと言える立場じゃない。というのが正直な気持ちです。

MC:オトナの恋愛映画は初めての経験だとか。

臼田:そんなに恋愛の物語に参加したことが少ないと思います。あんまり大人の恋愛と若い恋愛とそんなに恋愛って変わらないという気もしていて。何かに夢中になったり、必死になるし。そこは私自身が大人の恋愛を分かってるような、分かってないような感じなので。大人の人たちですけど、一生懸命恋愛をした人だと思います。

MC:本作はツチダがせいいちとハギオ、2人の男性に揺れる姿が描かれていますが、今年、実生活ではご結婚もされ、新婚ホヤホヤの方に聞くのもなんではありますが、臼田さんとしては、2つの恋に揺れるツチダの気持ちに理解できる部分はあったのでしょうか?

臼田:これは恋愛だからいろんなことが巻き込まれていくけど、自分にとって何か、この映画で言えばハギオのような衝撃的な出会いで、衝撃的な存在で2度と似たような人には出会わないみたいな人に出会ったら、それはきっと人生何度も思い返したり、降り帰ったりするんじゃないかなって思います。

C:本作『南瓜とマヨネーズ』は主人公ツチダが恋人せいいちと元彼ハギオの2人に揺れ動く恋の物語でもありますが、キャストの皆さんにお聞きします。皆さんにとってどちらが好きか選べない究極の2択はどんな2択ですか?

臼田: 1週間休みがあったら、ずっと家でゴロゴロしてるか海外に旅行に行くかって言われたら、どっちもすごいしたいので。家から全然でないのも苦痛じゃないので、その2択はすごい悩みます。

太賀: 異性とデートに行くときに白シャツで行くか、白Tで行くか。僕はラフさがどちらかというと好きなんですね。どっちかっていうと、白Tな自分が好き。だけど、異性とデートするということで、品も備えたほうがいいかなと思うと白シャツがいいんじゃないかな。ちょっと気取っちゃっている自分も嫌いではない。というところで悩むかなぁという感じですね。

MC:臼田さん、白Tと白シャツはどちらがいいですか?

臼田:どっちでもいいです(笑)。でも、その気持ちはいいと思います。迷う気持ちは。

オダギリ:いろんなパターン考えてきたんですけど、ここで1番ベストは答えが見つからず。 気になっていることがあって、リンスなのかコンディショナーなのかがよく分かんないなと思って。どう呼んでいいのかが選べないということでいいですか?

MC:違うバージョンあるんですか?

オダギリ:違うバージョンもありますよ。大人なんで大人の方向で行きます。やり直します。賃貸がいいのかい売買がいいのかが。これ、たぶん永遠のテーマじゃないかと思うんですよ。多分皆さんも思ってるんじゃないかな…。理解いただけると思います。

MC:違うバージョンあるんですか?

オダギリ:ほかのバージョンは好きすぎてというほどではないんですけど、大阪のお好み焼きなのか、広島のお好み焼きがいいのか。どっちなんだろうなと思って。

冨永監督:これはもう映画の話に戻れないですね。

MC:最後に主演の臼田さんから、締めのご挨拶を頂きましょう。

臼田:本日は短い間ですがありがとうございました。これから見ていただくと言うことですが、この作品の中の大事なメッセージでもある「私たちの日常は、このありふれた平凡は本当はとてもこわれやすくて、なくさないことは奇跡」って本当に思いました。きっと思ってもらえるんじゃないかなって思います。最後まで楽しんでいってください。ありがとうございました。