『アトミック・ブロンド』(KADOKAWA配給/全米公開:7月28日)が10月20日(金)より日本公開されます。主人公の女スパイ、ロレーン・ブロートンを演じるのは、アカデミー女優で、近年では『マッドマックス 怒りのデス・ロード』のフュリオサ役で高い評価を受けているシャーリーズ・セロン。監督は、『ジョン・ウィック』共同監督で、世界中で大ヒットを記録した『デッドプール』の続編監督にも決定しているデヴィッド・リーチ。共演には、『X―MEN』『ウォンテッド』の演技派俳優ジェームズ・マカヴォイ、『キングスマン』のガゼル役で一躍注目され、『ザ・マミー/呪われた砂漠の王女』では敵役に起用されたソフィア・ブテラ、さらにジョン・グッドマン(『キングコング:髑髏島の巨神』)、トビー・ジョーンズ(『キャプテン・アメリカ』シリーズ)など実力派俳優が脇を固めます。この度、青野賢一さん(ビームス創造研究所クリエイティブディレクター、ビームス レコーズ ディレクター)と山崎まどかさん(文筆家、翻訳家)を迎えトークイベントを実施!本作のみどころのひとつでもある、80年代の音楽、ファッション、ロケ地や美術などの洗練された世界観をめぐる、お二人ならではのトークが繰り広げられました!

【日時】10月10日(火)19:00~19:30
【場所】神楽座(東京都千代田区富士見2-13-12 KADOKAWA富士見ビル1F)
【登壇者】青野賢一(アオノ ケンイチ)さん/山崎まどか(ヤマサキ マドカ)さん

 ライフスタイルの重要な部分を担うファッション業界において、独自の路線をいく企業“BEAMS”。そのBEAMS内で、アパレルにとらわれず様々なモノを創造している、ビームス創造研究所のクリエイティブディレクターとして活躍し、また、BEAMS RECORDSディレクターなどとしてファッションだけに留まらず、音楽にも造詣の深い青野さんと、『FRaU』、『VOGUE NIPPON』、『25ans』など、多くの雑誌で映画・音楽・ファッションを始めとするコラムの執筆を手がけている山崎まどかさんのお二人を招いて行われたトークイベント。

 満席となった会場に登場早々、「アクション映画はあまり見ないんですが、すごく前のめりでドキドキしながら観てしまいました。」と本作の感想を語った青野さん。山崎さんは、デヴィッド・リーチ監督がジョン・ウィックの第二班監督もつとめていたことに触れ、「アクションが全てと言っても過言ではない。以前、『ワンダーウーマン』の監督が、”男性のヒーローに許されることは女性のヒーローがやっても許される。”というお話をされていて。この作品のシャーリーズ・セロンにはその言葉がまさに当てはまりますよね。かっこいい!の一言です。」と本作で最強のスパイを見事に演じきったシャーリーズ・セロンを絶賛。シャーリーズが本作の準備期間中、同じスタジオで友人であるキアヌ・リーブスとの手合わせもしていたという豆知識も披露しました。

 トークはお二人共に造詣の深いファッションの話に及ぶと、ミニスカートやショートブーツ、黒や白が多いシャーリーズのファッションに対し、「ムダのない綺麗なスタイルを持つ彼女だからこそ、余計に映えるファッションになっていますよね。そんな彼女がよどみのないアクションを披露することでひとつひとつが本当に絵になる映画になっていると思います。」とファッションとアクションの世界観を堪能した様子の青野さん。劇中の時代背景にも触れ、「当時はフランス・イギリス・アメリカのファッションが主流だったんですが、ベルリンの壁崩壊とともに少しずつ流れが変わっていく様子が描かれているとも思います。まさに時代が変わる前夜というか、、。そういう部分もすごく興味深かったです。」と独自の視点で本作を楽しんだことを明かしました。
  
 それに対し、山崎さんは「劇中の音楽もすごく興味深いですよね。」と語り、「当時は壁があったせいで音楽やファッションなどのカルチャーが少し遅れてベルリンに入ってきていたと思うんです。それが映画の中にも描かれていて、当時の文化のリアルがわかるようになっている。そこが面白い。」と劇中の80年代ベルリンカルチャーの描写について語っていただきました。山崎さん曰く、特に劇中でそれがよく表れているのが東ベルリンの若者が音楽を聴きながら集会をしているシーンなんだとか。「若者のうちの1人がモヒカンに革ジャンを着ていて、その背中には“モッズ“という言葉が書かれている。それを観て、何か、カルチャーがねじれて伝わっているというか、、、そんな感じが東ベルリンらしい(笑)。そういう点にも注目してみると、また違った面白さを感じると思います。」と山崎さんならではの見どころをコメント。

 さらに、ベルリンの壁崩壊後にドイツに渡ったことがあるという山崎さんは、もうひとつの見どころシーンとして、東ドイツ側にあったキノ・インターナショナルという映画館でのアクション・シーンを挙げ「ドイツに渡った時に実際にその映画館にも行ったことがあるんですけど、すごくレトロな雰囲気のある映画館で。劇中で上映されているのがタルコフスキーというのも、やはり東ドイツならではでいいですよね。」と語り、実は最近その劇場では、レイトショーで「アトミック・ブロンド」が上映されていたというまさかの情報までお話いただきました。貴重な情報となる山崎さんの話を聞きながら青野さんも、「それにはすごく意味があるね」とコメントしつつ、該当のアクションシーンについて「よどみないアクションシーンで息もつけなかったです。」と改めて本作のアクションシーンの素晴らしさを痛感した様子。

 また、シャーリーズの他、個性的なキャラとして登場するキャスト陣について「MI6の諜報員役として登場したジェームズ・マカヴォイはかなり複雑なキャラクターを演じていましたよね。」と青野さんが話し始めると、「当時のMI6はドラック中毒の人間や長生きしなさそうな人を雇っていたんですって。」というスパイの裏情報を暴露してくれた山崎さん。同じく、フランスの諜報員役であるソフィア・ブテラに対しては「ネコのように可愛らしく描かれていたのが印象的です。彼女のメイク、すてきでしたね!印象的な濃い眉にベージュのリップ。すごく似合っていて、今やってもとても可愛いメイクだなと思っていました。」と女性ならではの視点で本作の魅力をお話いただきました。

 お二人だからこそ話せるトークが繰り広げられる中、「映画の魅力のひとつでもあるのが各国のスパイ合戦という部分でもあると思いますが、この作品ではそういうのが行われていた最後の時代を描い当ているな、とも思っていて、、。それを今、映画化したというのがいいですよね。しかも、40代となったシャーリーズ・セロンが、まさに今が旬とばかりに男勝りなアクションを力強く演じきる、かっこいい映画です。」とこれから映画を観る人々へのメッセージを語る山崎さんと「まさにスパイ合戦の最後の一花を映画の中で描いている。頭の中で、この人はどこ国の人だろう?ということを考えながら観ると、より一層楽しめる作品でもあると思います。」とおすすめの鑑賞方法を提言した青野さん。

 最後には、お二人ならではの見どころポイントとして、劇中、モノクロの衣装ばかりを着ていたシャーリーズが、1箇所だけ、全く違った色の衣装を纏うシーンがあることを伝え、「どこでどんな風にそのシーンが登場するのか、楽しみに観てみてくださいね!」と残し、トークイベントの幕を閉じました。

 すでに話題となっている壮絶なアクションという点だけに留まらず、ファッションや音楽など、80‘sカルチャーという点でも様々な角度で本作を楽しむことができるという新たな魅力が発掘されたトークイベントとなりました。