ラブストーリーに夢を見られなくなった大人の女性たちに「究極の愛とは何か」と突きつけ、読者を虜にした沼田まほかるの 20 万部を超える人気ミステリー小説の待望の映画化!蒼井優、阿部サダヲW主演『彼女がその名を知らない鳥たち』が10月28日(土)より全国ロードショーいたします。
クレーマーで自分勝手で嫌な女・十和子を蒼井優が、そんな十和子に異様な執着を見せる不潔でちんけで下劣な男・陣治を阿部サダヲが演じ、さらに妻子がありながら十和子と肉体関係を結ぶゲスな男・水島に松坂桃李、十和子の昔の恋人で別れる時に彼女の心にも身体にも傷が残る手酷い仕打ちをしたクズな男・黒崎に竹野内豊が演じています。

この度10月8日(日)に、メガホンをとる白石和彌監督と、映画評論家・松崎健夫さんが登壇するトーク & ティーチインイベントを実施いたしました!
撮影現場での役者達とのやり取りや、映画評論家である松崎さんらしい鋭い質問が飛び交う濃密なトークショーが展開されました。また観客からのティーチインでは観客から続々と手が上がり、作品作りにかける思いや、キャスティングの秘話など、白石監督の作品愛が明かされていきます。

【日 時】 10月8日(日)
【会 場】 原宿クエストホール
【登 壇】 白石和彌監督、松崎健夫(映画評論家) ※敬称略

この秋大注目の作品をいち早く観ようと集まった観客で埋め尽くされた会場。上映終了直後のイベントという事あり、感動して目をハンカチで拭う観客が多くいる中、白石監督と松崎さんが登壇すると大きな拍手で迎え入れられました。

白石監督は「こんにちは、3連休の真ん中にご鑑賞いただきありがとうございます。良い休みだったなと感じていただけると嬉しいです」と挨拶すると、会場からまた盛大な拍手が巻き起こります。映画評論家として様々な映画を見て来た松崎さんは「蒼井優さんの演技が怪物的だと感じるほどの熱演を披露していたので、年末の映画賞に絡むと思います!」と率直な感想を述べ、本作を大絶賛!

松崎さんから、蒼井さんの女優としての凄さを問われた白石監督は「びっくりするぐらい手がかからない女優さんで、竹を割ったような性格の方でした。印象として、蒼井さんは憑依型の女優だと思います。恐らく20代の間に経験値を積んで、演技幅のコントロールが出来る様になっていると思うのですが、時々入り込み過ぎて破りさる瞬間があるんです。見ていてこちら側がエンタテイメントな気持ちにさせてくれて、本当に楽しくてしょうがなかった印象です」と、包むか隠さず蒼井さんの魅力を明かします。

舞台が関西となる本作では、マストで関西弁を操らなければいけないという状況。そんな中、メインキャスト誰一人関西出身者がいないという部分に驚いたと松崎さんが言うと、白石監督は「関西弁はしっかり喋ってもらおうと思ってひたすら練習してもらいました。ただ松坂さんと竹野内さんが演じるキャラクターは、冷たい感じにしたかったので標準語にしました」と、蒼井さん、阿部さんにかなり努力いただいたと感慨深く語ります。

松崎さんから、タイトルの中にある“鳥”と言う名詞は何を表しているのか、また監督の中で重要な要素として捉えられているのではと問われると、「このタイトルの意味が何なのか、著者の沼田まほかる先生から出された宿題だと思ったんです。“彼女”というのは当然十和子であって、“鳥たち”というのは陣治が持っていた愛なのではないかと思いました」とタイトルに込められた意味を解釈。随所に“鳥”を抽象的に登場させていったと明かしてくれました。

松崎さんは、白石作品の共通点で過酷な人生を送る主人公が多いのではと問わると「憧れがあるんですよね。ギリギリまで頑張っている人達が好きなんです」と白石監督は語ります。松崎さんは、中村幻児監督、若松孝二監督といった名匠から学んだ白石監督らしい発言だと納得した様子。

ここで観客からQ&Aコーナーに入ると多くの観客が挙手して白石監督へ質問をぶつけていきます。原作を呼んで参加したという観客からは「原作と組み立てが違う部分がありますが、映像化にあたり見せ方を変えようと思いましたか」と問わると、「原作を好きになって、あまり変えたくないなと思ったのですが、映像では2時間ぐらいに収めなければいけないので、組み合わせをやむなく変えました。例えば原作では十和子と水島は、2回目に会ってからキスをするのですが、映画では一回にしなければいけなかった。そんな事あるかと思いますが、松坂桃李という天才が上手くこなしてくれました」と撮影秘話を披露。

すると松崎さんが松坂さんの印象はどうだったかと直球質問を行います。白石監督は「台本の中の役割を認識して、どういう立ち位置いれば良いのか理解できるのが一流役者なんです。松坂さんは、台本の読み込む能力と理解力が凄いクレバーな役者です」と賛辞を贈りました。

最後に白石監督より「この作品を見たら、人生変わるかもと思える映画を作れたので、是非応援していただけばと思います。今日は本当にありがとうございました」と挨拶し、大盛況のうちにイベントが終了いたしました。

<以下、Q&Aコーナー抜粋>
Q.原作を読んで参加しましたが、原作と組み立てが違う部分がありますが、映画化によって変えたのでしょうか。

原作を好きになって、あまり変えたくないなと思ったのですが、映像では2時間ぐらいに収めなければいけないので、組み合わせをやむなく変えました。例えば原作では十和子と水島は、2回目に会ってからキスをするのですが、映画では一回にしなければいけなかった。そんな事あるかと思いますが、松坂桃李という天才が上手くこなしてくれました。また先日亡くなった中嶋しゅうさん演じる国枝のシーンでは過去パートしか登場しないのですが、映画では現代パートにも登場させました。あまり変えない様、工夫は一生懸命行いました。

Q.共感はできないですけど、十和子のことが羨ましいなと思いました。十和子の役は最初から蒼井さんしか考えられなかったと聞きますが、そのほかの男性3人のキャスティングはどうだったのでしょうか?

原作では十和子と陣治が15歳以上、年が離れているのが重要な要素だったので、年齢を考慮して考えている中で、阿部さんにお願いしたいと思いました。私は役と、役者さんが持つイメージが違う方が好きなんですよ。多忙を極める役者さんたちも、自身と違ったイメージを持つ役柄を演じる事が嬉しいように感じるんです。松坂さんと竹野内さんも、そのような経緯もあって依頼したんですけど、松坂さんは「こんな面白い仕事滅多にないですよ」と答えられたんです。竹野内さんは暴力をふるう役は初めてだと。役者さんも、演じた事のない役柄をやる事は新鮮なんだと思います。

以上