WOWOW の「連続ドラマ W」の最新作、東野圭吾「片想い」。原作者のベストセラー作家・東野圭吾に「ついにこの小説に挑む人が現れたか」と言わしめた、傑作ミステリーの待望のドラマ化です。そんな本作の第 1 話先行試写会が大阪・梅田ブルク 7 で開催され、永田琴監督、出演者の大谷亮平さんがトークショーをおこないました。
大学時代にアメリカンフットボール部に所属していたメンバーが、再会を機に苦悩に満ちた事実と直面するこの物語。性同一性障害の女性・日浦美月を中心に、30 代半ばを過ぎた男女の行き詰まりが描かれています。

新聞記者・早田幸弘を演じた大谷さんは、今回の役について「早田と僕の性格が合っていたので、スムーズに演じることができました。僕はずっとバレーボールをやっていて、中学、高校生の頃はキャプテンだったのですが、輪の中心で熱くなるわけではなく、どちらかというと外で見守っていました。早田も一歩引いて確認するタイプなので、似ていました」と共通点を挙げました。
ちなみに、アメリカンフットボールは未経験だったそうですが、永田監督から「大谷さんはボールをキャッチするのが上手かった。余裕だぜ、という感じでやっていた」と言われ、「いかにクールに取るかを考えていたんです。取るのだけは自信があったんですよ」と長年の球技経験が生きたようです。

永田監督は、主演の中谷美紀さんについて「性同一性障害の役は難しかったと思います。美紀さんには筋トレとボイストレーニングをやっていただいたのですが、劇中では筋肉美を披露してくれます。ものすごく勤勉でプロ意識が高い方。完ぺきすぎるので、ちょっと気を抜いてくださって良いですよと思ったほどです」と中谷さんを絶賛しました。

今回の特別試写会では第 1 話のみ鑑賞できるということで、大谷さんは「きっと、もっと観せてくれよと思うはず。僕は最終話を今日、大阪に来る前に観てきましたが、めちゃくちゃ切ないし、自然と涙が出てきた。キャラクターの一人一人が素晴らしいので、先入観を持って欲しくない」と思い入れたっぷりにかたり、最後に地元・大阪ということで「めっちゃ切ないし、めっちゃおもしろいし、めっちゃ感情が沸き上がってくるドラマです」と関西弁で PR してくれました。
また、トークイベント後の記者会見では、永田監督は「性同一性障害の美月がどういう気持ちで家族を捨て、家を飛び出したのか。どういう風に生きるのか。そこに、リアリティを持たせていくことが難しかった」と苦労を明かしました。

大谷さんは、「(登場人物の)全員背負っているものがすごく大きい。でも、今の社会では思い通りにはいかない。だけど早田は家庭を持っていないし、社会のルールの中でどうしようもなくなるような人間ではない。感情を爆発させることがないのですが、その分、目で感情を表現しています。桐谷健太さん演じるスポーツライター、西脇哲朗に対して、この情報は出すけどこれは出せないという駆け引きの場面は、特に力を入れました」と芝居のポイントについて話してくださいました。

性同一性障害だけではなく、恋愛や結婚、仕事、人間関係など誰しもが経験する問題と向き合った本作。それらが、タイトルにもある「片想い」とどのように結びついていくか、ご注目ください。