高度な知能を得た猿たちの反乱、人類の文明崩壊、そして猿と人類の戦争という衝撃的なストーリーを描き、まさに全世界震撼の大反響を呼んだ『猿の惑星』シリーズ。『聖戦記(グレート・ウォー)』と命名された本作では、カリスマ的な主人公のシーザーが、リーダーとしての使命感と家族を奪われた復讐心の狭間で葛藤するドラマを核にし、観る者の胸を締めつけるエモーションが息づきます。誰もが知っている結末の、誰も知らなかった壮絶なドラマが遂に明かされます!前2作に続いてシーザーを演じるのは、アンディ・サーキス。そのシーザーの前に立ちはだかる宿敵の大佐に扮するのは、2度のアカデミー賞ノミネートを誇る名優ウディ・ハレルソン。また新たに登場する謎めいた少女ノバの存在からも目が離せません。

この度、「観客はVFXの限界を押し広げ続けるWETAの仕事ぶりには魅了されるだろう」(COLLIDER)などと評価されている本作のVFXスーパーバイザーを務め、『猿の惑星:創世記(ジェネシス)』、『猿の惑星:新世紀(ライジング)』両作品共にアカデミー賞視覚効果賞ノミネート、『ジャングル・ブック』でアカデミー賞視覚効果賞を受賞したダン・レモン氏が来日し、TOHOシネマズ六本木のSCREEN9にてプレゼンテーション&スペシャルトークショーが実施された。

約30分間のプレゼンテーションでは、雪が降る過酷な天候でも可能になったパフォーマンス・キャプチャーの新たな進化や、役者の演技をエイプで再現し、サポートする製作過程を紹介。ダン・レモン氏は「動物園から猿のMRIのデータをもらってエイプを再現したりしましたね。本作は500人以上のクリエイターが制作に携わっていました」と語り、大勢のクリエイターが関わっていることを明かした。
本作のメガホンを取ったマット・リーヴス監督も「本作で見られるその(VFXの)結果は、間違いなくこれまでの視覚効果の頂点だ」と語るが、ハリウッドのVFX業界を牽引するクリエイターの技術を目の当たりにし、この日、会場に集まった200名のデジタル分野での活躍を志す学生が真剣な眼差しでプレゼンテーションを聞き入った。世界最高峰のVFXスーパーバイザーとして活躍をするダン・レモン氏が直接プレゼンテーションを行う非常に貴重な機会で、本シリーズが作り上げてきた驚異のVFXの裏側が明かされた。

さらにスペシャルトークショーとして、日本を代表する映画監督・特技監督として『シン・ゴジラ』を作り上げた樋口真嗣監督、同じく『シン・ゴジラ』で、VFXスーパーバイザー及び編集を務めた佐藤敦紀氏がゲストとして登場。
本作をすでに観賞した樋口監督は「本作はどこまでナチュラルに見せることができるか、様々なものをすっ飛ばして本当にすごい作品だ!!」と語り、佐藤氏も「 「猿の惑星」のすべてのシリーズを見てきていますが、クオリティが急カーブを描くように進歩しているし、もちろんエキサイティングで最高に面白い!!!」と興奮気味に感想を述べた。昨年の夏『シン・ゴジラ』で日本映画界を席巻した樋口監督と佐藤氏。MCより「ゴジラの存在を知っていますか?」と問われたレモン氏は、「もちろん知っていますよ、大ファンです!いつ見てもフレッシュさを感じられる作品ですね」という答えが飛び出し、樋口監督が照れ笑いする場面もあった。
そして日本とハリウッドで最高峰の映像を作り出し続けているスペシャリストが集結したアツすぎるトークセッションがスタート。早速、樋口監督は、「アンディ・サーキスはCGを通すことで生身の時より良い演技になっていると思うのですが」と質問を投げかけ、レモン氏は「アンディ・サーキスのすごいところはシーザー、キングコングと様々なものに七変化できるところですね」と、共に作品を作り上げた名優についてコメント。佐藤氏からは「毛糸の帽子もCGで作っていることに衝撃を受けました!」とVFXの進化に驚きの声があがり、「毛糸はデジタルで作り出しました。バッドエイプの再現より大変でした(笑)」と本作の新しいチャレンジの苦労話で笑いを誘った。
またトークセッションは今後のビジュアルエフェクトの未来について展開。「技術の進化によってストーリーを紡ぎ出せるようになっており、5年後にはさらに進化していると思います」とレモン氏は持論を語った。
最後に、レモン氏と会場の参加者とのQ&Aも実施された。記者からの「アンディ・サーキスがアカデミー賞を取るという話をどうお思いですか?」との質問には、「我々と作品が評価されたのはアンディ・サーキスのおかげです。彼が取ることを願っています」とアンディへのリスペクトを表した。そして「この場を共有することができて感謝しています。本作を見て楽しんでくれることを願います」と未来の若きクリエイターたちに感謝の言葉を述べた。まだまだ話足りない樋口監督、佐藤氏に加え、まだまだ質問し足りない参加者たちの熱気で会場が包まれ、大盛況の中イベントは幕を閉じた。

※ダン・レモン氏、樋口真嗣監督、佐藤敦紀氏の主なコメントは以下です※


ダン・レモン氏コメント
《プレゼンテーションでのコメント》
仲の良い動物園から猿のMRIのデータをもらい、筋肉、毛の動きなどをCGで再現、役者の演技をエイプで再現する
サポートをしている。人間の演技を抑えることも重要だった。私たちの仕事は、役者の演技を分析し、感情を理解、
さらに猿の構造も理解することが大事。本作は500人以上のクリエイターが本作に携わっていました。

《トークセッションでのコメント》
猿が人間に近づいていく塩梅がやはり難しかったですね。キャラクターデザインという作業はゴジラにもありますよね。どこまで感情を伝えるか微妙な調整が大変でした。
アンディ・サーキスのすごいところはシーザー、キングコングと様々なものに七変化できるところです。
特にチャレンジしたところは、雪のシーンです、新しい領域でした。ストーリーでも非常に重要なシーンだったので、
調整に時間を費やしました。
我々と本作が評価されたのはアンディ・サーキスのおかげです。彼がアカデミー賞を獲得することを願っています。
日本はミニチュアを活用した撮影方法が好きだと聞いていましたが、その作り方はとても良いと思いました(笑)

樋口監督のコメント
本作はどこまでナチュラルに見せることができるか、様々なものをすっ飛ばして本当にすごい作品だ!!
人間と猿が同時に画面に映っているシーンが多いことに驚きました。また、アンディ・サーキスの演技はずば抜けて
すごく、スターとしての才能を感じました!!
アンディはもはや生身の演技よりもCGを通した演技の方が素晴らしいです!!(笑)
女性の猿の描写もすごく、昔の映画にはない立ち方や仕草でわからせる技術に感動しました!
日本のCG技術はやはり遅れていると思っていて、海外でのこういった素晴らしい技術をつまんでいく必要があると思
いました!

佐藤氏のコメント
「猿の惑星」のすべてのシリーズを見てきていますが、クオリティが急カーブを描くように進歩しているし、
もちろんエキサイティングで最高に面白い!!!
バッドエイプのコミカルなキャラクターがとても良かった!また、バッドエイプが被っている毛糸の帽子もCGで作っていることに衝撃を受けました!日本で同じことをしようとすると大変なことになります!(笑)
『猿の惑星』はCGとしての技術だけでなく、役者が重要な映画だと感じましたね。