この度、ドイツの大ベストセラー小説を、『ソウル・キッチン』『消えた声が、その名を呼ぶ』の名匠ファティ・アキンが実写化した『50年後のボクたちは』が大ヒット公開中!
「こんな経験したかった!」「心から大好きだ!と言える映画にめぐりあえた」などSNSでも反響が大きく、“今観るべき映画”の一本となっています!
そして22日(金)には公開を記念して精神科医でミュージシャンの星野概念さんを迎えてトークイベントを行いました。

メガホンを執ったのは世界三大国際映画祭の全てで主要賞を受賞する名匠 ファティ・アキン。
誰もが通過する、永遠には続かない14歳という一瞬の煌めきを瑞々しく捉え、かつての自分を想い出させてくれる爽やかで切ないロードムービーが誕生しました。

【星野概念さん(精神科医・ミュージシャン)コメント】
彼らはきっと、人知れず色々なことを考え、夢中に、直感的に、生きる。
その煌めきは、誰もが知るリチャード・クレイダーマンに、初期衝動を響かせる。さすが中二!最高!!

先駆けて本作にコメントを出した星野さん。映画を観て分かる、思春期少年の心理について、わかりやすく説明して下さいました!

<イベント内容>

☆14歳は「よーいドン」の時期。自分とは何者なのかを考え始める少年達のスタートダッシュ!
あいにくの雨の中、会場に集まった人達は、皆マイクとチックという2人の14歳に心を掴まれて、スカッと晴れ晴れした表情を覗かせていた。

イベントに登壇した星野さんははじめに「リチャード・クレイダーマンのメロディは普遍的なもの。
でもこの作品の中ではそれが甘酸っぱく、初期衝動的な曲に聞こえたのが印象的」と話し、14歳という大人でも子供でもない14歳という年齢が、人生の中でどういう役割を果たすのかについて
精神科医の目線から語った。

「14歳っていうなんとも絶妙な時期の2人ですが、学童期から青年期に移行するちょうど中間くらいの年齢なんです。学童期というのは、社会に出て行く準備が出来ていない人々のこと。
そして、青年期は社会の中でどう生きて行こうかと考える人々のことで、マイクとチックはちょうど駆け出しの青年期なんですね。社会で生きることを考えるというのは、“自分は一体どういう人間なのか”ということを考えることで、それはアイデンティティ(=同一性)を獲得することなんですよ。青年期にはアイデンティティを獲得しなければいけないんです。
その頃何をやっていたか、なんて僕はもう思い出せないんですけど、でもNBA選手になりたかったんですよね。
身長の問題で断念しましたけど(笑)」と分かりやすく解説する星野さん。
「マイクとチックもちょうどこの映画でよーいドンして出発しはじめたばかりです」。

☆チックがいいね!登場人物たちの煌めく個性がたまらない!
本作の登場人物について、星野さんが特に印象に残っているのはチックだと言う。
「まず第一印象であの髪型は誰だってビックリするでしょ!しかも学生っぽくない感じで学校に現れて、14歳なのにお酒飲んで運転してって…。周りになかなかいないですよね。
実は18歳だけど、14歳と偽っているんじゃないかってちょっと思うんですよ」とチックの見目のインパクトに驚いたと話すと、トークを聞いていた人たちもうんうん、と頷いていた。

「彼がなんでお酒を飲んだり運転したり、普通は大人がすることをやっているのかと考えると、それは早く大人にならなきゃいけなかったんだと思います。
アイデンティティを早く持たなければいけない理由があったんですよ。
これは僕個人の考えですけど、チックはきっとお金持ちの大変な家庭環境の元に育ったのではないのかなと。大変な家庭で生きていくタフさを持って、サバイバル能力が身に付いた。
自分がどう生きていくかということを考えなければいけなかったのだと彼を見て感じました」

そしてマイクについては「お母さんは問題を抱えてて、父親からジャンプパンチ食らわされて、普通なら非行に走りそうなところだけど、家っていう居場所は確保されていたからグレなかった。
まあ性格が穏やかなこともあると思いますが。イザについてはチックと同じくサバイバル能力がありますね」とそれぞれの個性的なキャラクターの内面部分についても語った。

☆この人生が永遠に続くと思っている、そのでたらめさが魅力
映画の中で語られる『50年後のボクたちは』というタイトルの意味にもなった言葉について「彼らの言葉から、どうせいつか死ぬ、なんて想像はないだろうなと思いました。
先のことを考えていない無謀さの魅力ってありますよね。でたらめな人の方がかっこいいもん。
好きですね、そういう人」とチックとマイクの14歳だからこそのはちゃめちゃぶりを熱く語った。

数々の少年ロードムービーものがある中で、そのジャンルがいつまでも廃れないことについては「全人類に共通することだから。パンチがあるし新鮮な体験だから、初恋より普遍的なものだと思います。
『50年後のボクたちは』も共感できるんですよね」と本作が誰にでも親しむことの出来るものであると締めくくった。