舞台挨拶する黒沢清監督
松田龍平

またまた快晴となった21日(日)。2つの公式記者会見に連続出席した後、ジャパンブースと邦画各社のブースを取材。16時30分からは“ある視点”部門に出品された黒沢清監督の『散歩する侵略者』の正式上映の場に立ち会った後、日本人記者向けの囲み取材に参加した。22時30分からは、明日が正式上映日となるミヒャエル・ハネケ監督の『ハッピー・エンド』のプレス向け上映をバザン・ホールにて鑑賞。

◆パレ・デ・フェスティバルの地下1階に5月26日まで設置されている“ジャパン・ブース”に、今年は13社が出展!

『散歩する侵略者』をプッシュするリヴィエラの日活ブース

カンヌは映画祭と併行して、世界最大の映画見本市マルシェが開催されることでも有名だ。映画祭の期間中、世界中の映画会社のセラーとバイヤーたちが交渉を繰り広げる商談の場となっているのだ。
ハリウッドのメジャースタジオが高級ホテルにブースを設ける一方、メイン会場パレ・デ・フェスティバルに隣接する会場リヴィエラにも各国のセラーのブースが立ち並んでおり、日本の映画会社やTV局の多くも個別に海外セールス用のブースを出して自社映画の宣伝と売り込みを行っている。

また、パレ・デ・フェスティバルの地下1階にも様々なブースがあり、毎年ここに設置されているジャパン・ブース(主催は公益財団法人:ユニジャパンと独立行政法人:日本貿易振興機構[ジェトロ])では、邦画全体のPRとプロモーションを担っている。
さらに、ここには今回、自社コンテンツの海外PRおよび海外セールスを行うために13企業が出展しており、日本映画人の待ち合わせや打ち合わせ場所としても活用されている。

◆“ある視点”部門出品作『散歩する侵略者』では、黒沢清監督、松田龍平、長谷川博己の3人がカンヌ入り!

舞台挨拶に登壇した松田龍平と長谷川博己
上映後の囲み取材に応じる3人

『散歩する侵略者』(9月9日公開)は劇作家・前川知大率いる劇団イキウメの人気舞台を黒沢清監督が映画化し、平穏な町を襲った異変の衝撃的な顛末を描いた異色ドラマだ。
鳴海(長澤まさみ)の夫・真治(松田龍平)が、数日間の失踪後に、様変わりして戻ってきた。鳴海は、まるで別人のように優しくなった真治に戸惑うが、ある日、彼から「地球を侵略しに来た」と告白される。同じ頃、一家惨殺事件が発生し、事件の真相を追ったジャーナリストの桜井(長谷川博己)は…。

黒沢清作品は海外でも人気が高いが、『散歩する侵略者』は審査員賞を受賞した2008年の『トウキョウソナタ』、監督賞を獲得した2015年の『岸辺の旅』に続いての“ある視点”出品作で、黒沢監督は2年ぶり、松田龍平は映画デビュー作となった大島渚監督の『御法度』以来17年ぶり、長谷川博己は初のカンヌ参加(残念ながら長澤まさみは現地入りせず)となった。

本作は、16時30分からドビュッシー・ホールで公式上映され、上映前には共にタキシード姿でキメた黒沢清監督と松田龍平、長谷川博己が登壇して舞台挨拶を行った。
上映後には、ハーバー近くのホテルの屋上テラスに場所を移し、日本の報道陣向けの囲み取材が行われ、上映に立ち会って直に接した観客の反応に関する感想や、カンヌについて、さらには本作の撮影時の思い出や作品に対する想いなどを口々に語ってくれた。

 

(Text & Photo:Yoko KIKKA)