昨年の東京フィルメックスで日本初上映され、受賞こそ逃したものの、その強烈な個性で審査員を唸らせた映画『仁光の受難』が、ついに9月23日(土)より角川シネマ新宿にて劇場公開となりました!
快進撃の皮切りは2016年に開催されたバンクーバー国際映画祭。ワールドプレミア上映が決定するや否や、無名の新人監督の作品にも関わらず即完売。その評判は瞬く間に世界に広がり、釜山国際映画祭、ロッテルダム国際映画祭などに続々出品が決定。
手掛けたのは期待の若手監督・庭月野議啓(にわつきののりひろ)。フリーの映像ディレクターとしてCM制作などを手掛ける傍ら、クラウドファンディングなども募りながら4年の歳月をかけて完成させました。誰よりも実直なのに煩悩に翻弄される僧侶と、刀に魅入られ人斬りとなった侍、そして男の精気を吸い取る妖怪(あやかし)が邂逅する摩訶不思議な世界を、実写とアニメーションを融合させるなど、映像の現場で培った様々な技術を駆使して一遍の魅力的な妖怪譚として昇華させています。
そしてこの度、本作の初日舞台挨拶を実施!色欲に翻弄される仁光を文字通り体当たりで演じた辻岡正人。仁光と対峙し、その運命を大きく狂わせる妖艶な妖怪・山女役の若林美保。共に旅をする粗野で不敵な浪人・勘蔵を演じた岩橋ヒデタカ。修行中の仁光の前に現れる謎の女役の有元由妃乃の4名とともに、本作で長編監督デビューの庭月野議啓監督が登壇。
過酷な滝行シーンや出演女優の殆どがヌードになっている本作撮影時のエピソード、海外映画祭での反応などを語っていただきました!逆輸入公開の初日を祝し、スタッフ・キャスト一丸となった初日舞台挨拶です。

実施日:9月23日(土)16:30〜17:00 ※上映後
登壇者:辻岡正人、若林美保、岩橋ヒデタカ、有元由妃乃、庭月野議啓監督
場所:角川シネマ新宿スクリーン1

 MCの呼び込みで舞台上手より登壇したのは、まず主人公・仁光役の辻岡正人「本日はたくさんの映画の中から選んでいただきありがとうございます!モテてモテて仕方がない仁光を演じた、全くモテない辻岡正人です!本日はよろしくお願いいたします。」続いて妖怪の山女役の若林美保「今日はありがとうございました!よろしくお願いいたします。」勘蔵役の岩橋ヒデタカ「ありがとうございます。よろしくお願い致します。」小面女(こおもておんな)を演じた有元由妃乃「この役以外にも町娘ですとかエキストラみたいな小さい役もやっています。探してみてください!本日はよろしくお願いいたします。」そして最後に本作の監督・脚本・編集・VFXを手掛けられた庭月野議啓監督「庭月野です。ペンネームではなく本名です。みなさん帰らず残ってくださっているということは面白かったということですよね?そういうことでいいですよね?ありがとうございます!」と劇場公開を迎えての今の心境を語り、拍手で迎えられた!!
 2012年の撮影開始から実に5年かけて劇場公開にこぎつけた本作。監督は「アニメとVFXをほぼ全部自分でやったので時間がかかってしまって。鹿が出てくるシーンがありますが、実はあの鹿はVFXです。5年の間にメキメキと腕が上がり、最初は消せなかったポールとかも簡単に消せるようになりました笑」。俳優陣に待ちわびた5年間の心境を聞くと、辻岡は「監督も初監督作ということで大変でしたでしょうし、右往左往していました。どうやったらみなさんに見ていただけるんだろう?といろんなことを経て、本日皆様とともに迎えられて幸せです」と話し、若林は「本当にようやくですね。去年試写で見てから監督のSNSをチェックして、“まだかなー、まだかなー”と思っていました」岩橋は「かなり過酷な中で撮影して、ハードで死んじゃうんじゃないかという中で撮りましたね」辻岡は大変だった思い出として「滝行のシーンは寒いってもんじゃなかったですね。ロケハンでは問題なかったんですけど、前日に台風が来て雨が降って、当日は一歩足を入れた時点で凍傷するんじゃないか!?と思いました。1分ほど滝に打たれていたら視界がぼやけてきて、おかしいなあと思っていたら、人生初の脳震盪でした」と激白!!その時のことを思いだし監督は「ロケハン時よりも滝の水の量が増えていたんですよね。今だから笑い話だけど、もしかしたら僕はここにいなかったかも…」と漏らしていた。有元に話を聞くと「撮影は過酷でしたが、待っている時とかは合宿みたいな雰囲気もあって楽しかったです!」と俳優陣のチームワークも積み上げていた様子。そして監督はその様子を見て、製作陣が羨ましく思っていたことを暴露していた。監督に撮影中の苦労話を伺うと「苦労していないところがないというか…。ロケがすごく多かったので遠出は大変でした。また、寒い中での撮影が多かったので、撮影後はキャストを絶対に温泉に入れていました。せめてもの償いとして…。温泉で男同士熱く語り合ったのはいい思い出です」と懐かしんでいた。
 撮影で印象に残っていることに関し、辻岡は「若林さんとの濡れ場は大変でした。実は濡れ場の経験ってあまりないんですよ。」と話し、岩橋はその時の辻岡の様子を「かなり満面の笑みでロケバスに戻ってきていましたよね!」と話し、有元も「何だかポォっとしてましたね」と明かす。若林は「私は現場に入った日だったので、どんな方かもわからずに、いきなり脱いでスキンシップから始まりましたね!」と俳優陣の仲の良さを垣間見せるやりとりを展開。
 バンクーバー国際映画祭や釜山国際映画祭など国外での評価が非常に高い本作。海外の反応はどうか監督に聞くと「ドッカンドッカン笑いますね。猿が出てくるだけでも笑いが起きて。ラストは爆笑している人と真剣に見ている人に分かれましたね。意識的に作った部分でもあるんですけど、真剣にも受け取れるし、馬鹿らしくも受け取れる。そのどちらの見方でも見られると思います」と話した。
 最後に監督から締めの挨拶として「ご来場いただきありがとうございます!みなさんと一緒に作り上げられた初日ではないかと思います。ここからたくさんの人に届けていくスタートだと思っています。応援よろしくお願い致します!」と戴き幕を閉じた。