TBSテレビ製作、彩プロ配給の『米軍(アメリカ)が最も恐れた男 その名は、カメジロー』は、8/12(土)より沖縄・桜坂劇場にて先行公開し、9/17(日)に、単独で観客動員が1万人を突破致しました。
そして8/26(土)より公開している東京のユーロスペースでも1万人を突破する勢いです。
大阪、神戸でも9/16(土)より上映がスタートし、いずれの劇場も連日満席になる大ヒットスタートとなりました。

現在既に全国30館以上での公開が決定し、21日現在の成績は、全国で動員22,762名、興収28,631,920円と、
依然勢いが衰えない興行となっています。

日程  9月20日(水)21日(木)各日3回上映終了後  ※計6回
場所   ユーロスペース Scr2 (渋谷区円山町1-5 KINOHAUS 3F)
登壇者 佐古忠彦監督 藤井和史氏(エグゼクティブプロデューサー)

20日(水)21日(木)両日の舞台挨拶では、本編上映後、佐古監督、プロデューサーの藤井氏が登壇し、
一言挨拶した後、観客との質疑応答を行いました。

佐古監督より「テレビの世界では見ているお客様がどのようにご覧いただいているか、直接は分かりませんが、映画では私たちが作った作品を上映していただいて、ご覧いただいた反応を直に拝見できるのが初めての経験で非常に緊張しております。ですが本日も上映後大きな拍手が聞こえ、本当に感謝しております」とお客様への感謝と喜びを語り、同じくプロデューサーを務めた藤井氏は「まずは沖縄、東京で公開し、先週からは神戸、大阪と公開が始まりました。佐古監督と全ての劇場に行きましたが、どの劇場でも入りきれないほどの方に来て頂いています。見終わった後も拍手喝采で。本日も皆さんにご来場いただき、本当に感謝しております」と語った。

佐古監督は、瀬長亀次郎さんを取り上げたきっかけを尋ねられると「私は20年以上沖縄の取材を続けてきましたが、いつのまにか瀬長亀次郎さんの存在を知り、いつか向き合いたいなとずっと思っておりました。私は3月までテレビでニュースを伝える立場でしたが沖縄を巡る様々な問題をお伝えする中で、どうしてもその日の出来事に集約されてしまうものですから、なかなか全体像を伝えきれていない、ということをずっと思っておりました。また本土と沖縄の分断や溝、温度差など色んな表現がされてきました。何故そうなるんだろう、と考えた時本土の人たちの認識から沖縄の戦後史というものがすっぽり抜け落ちているのではないか、と考え、その戦後史に目を向ければ、本土の皆さんも問題の核心に近づけるのではないか、と思いました。であればまさに戦後史の主人公の一人である、瀬長亀次郎さんを通して沖縄の戦後史を伝えたいと思ったのがきっかけです」と語った。

また観客とのティーチインでは、
女性「沖縄にいる私の友人の叔父が『亀次郎さんが歩いていると、“カメジロー!”といって子どもたちがついていったんだよ。そういう政治家が沖縄にはいたんだよ』というのを言っており、その情報だけを知っていました。今日、映画を見させていただいて、無知は罪だなと本当に思いました」

対して佐古監督は「沖縄では瀬長さんとか、亀次郎さん、とかではなく、“カメジロー”と呼び捨てにするんです。それが、市民や民衆と呼ばれる人たちとの距離感の近さであり、信頼関係があるからこそ、そういう近い関係になれるんだろうなと思います。現代の世の中で政治家とそれほどの信頼関係を持てているのか、そう考えてしまうところが亀次郎さんを巡ってはあるのでは、と思います」
男性「すごく感動しました。少し気になったのは、亀次郎さんの演説のシーンがあまりないように感じられました。それは資料が残っていないということでしょうか?」

対して佐古監督は「亀次郎さんの次女、内村千尋さんが館長をしている“不屈館”に、かなりの資料や写真があります。そこにもない資料は私達のテレビ局などから探しましたが、演説の肉声は見つかりませんでした。かつての諜報機関などには亀次郎さんの音源はあるのではないか、とおっしゃる方もいます。ですがこれだけ研究者がいる中でそういった資料が掘り起こせていないということはやはりないのかな、という見方もありますし、次の課題はそういうものにどれだけ近づけるかどうかだと思います」

女性「友達が次々と観まして、『観た方がいいよ。観た方がいいよ。』と勧められた。老人クラブでは、都道府県の形から、都道府県名を当てるクイズをした際、日本列島から見ると『沖縄はこんなにも小さいんだな』と思った。そんな小さな沖縄に、日本に存在する米軍基地の70%が集中していることなど、今の状態で良いと思っている人はいないと思う。『先人の亀次郎さんの心をどんな形で生かせるか、本土の人がどれだけ手伝うことが出来るか』を考えた時、この映画を一人でも多くの人に勧めることしかないと思う」

対して佐古監督は「沖縄は、日本の国土の0.6%なんです。そこに在日米軍施設の70%が集中している、さらに、沖縄は日本の人口の1%なんです。民主主義の世の中ですが、沖縄の人が声を上げても、全体の比率でいうと1%ですから、本土の人が沖縄の人と違う気持ちであれば、届かない。民主主義は、本当は素晴らしいもののはずですが、『少数派が声を封じ込められてしまうということであれば、これは民主主義だろうか。』という気持ちもある。戦後、日本は平和憲法が手に入って、そこから平和になっていった訳ですが、映画でご覧頂いた通り、沖縄では今でも、声を上げなければならない状況が続いている。今も、民主主義を求め続けているのが沖縄であるという気がしてならない」

最後に観客への挨拶を求められると、
藤井氏「この作品を作っている時、佐古監督は盛り込みたい情報が多いので、削ぎ落とすのかどうか、何度もせめぎ合いになりました。それくらい、情報がたくさん詰まった映画です。一度見ただけでは分からない部分がかなりあるのではないかと思います。よろしければ2度3度観ていただくと“ここはこういう意味だったんだ”と分かる部分もあるかと思いますので、また観ていただければと思っております」

続けて佐古監督は、「何故今問題が起きているかと考えると、そこには理由があり、歴史があります。点と点を結ぶ作業をしてみると、“あの歴史があるから今があるんだ“と言う風に、一本の線で結べてきます。これからの国の在り方を考えるきっかけになったらいいなという思いでこの映画を作りました。是非様々な人にお声がけいただいて、ご紹介をしていただくとともに、皆さんにもまたカメジローに会いにきていただければと思っております」と話し、舞台挨拶は終了致しました。