第70回カンヌ国際映画祭便り【CANNES2017】4
ジャーナリストもフル稼働を開始する2日目は、コンペ2作品の公式記者会見に続いて、『無限の住人』の会見に出席。17時からは明日が正式上映日となるハンガリーのコーネル・ムンドルッツォ監督の『ジュピターズ・ムーン』のプレス向け上映をドビュッシー・ホールにて鑑賞した。
同ホールでは、19時30分から“ある視点”部門の開幕セレモニーが行われ、それに引き続き、フランスの人気俳優マチュー・アマルリックが監督した『バルバラ』の上映があったのだが、移動時間と正装への着替えなどの諸事情を考慮し、取材を断念。グラン・テアトル・リュミエールで22時30分からのお披露目となる『無限の住人』の正式上映(ソワレ)に繰り出した。
◆三池崇史監督、木村拓哉、杉咲花がカンヌ入りした『無限の住人』は、人気コミックを実写映画化した時代劇アクション!
沙村広明の人気コミックを実写映画化した『無限の住人』は、死にたくても死ねない不死身の剣士・万次(木村拓哉)と、親の敵討ちのために彼を用心棒として雇った少女・凜(杉咲花)が、壮絶な戦いに身を投じていく姿を活写した異色の娯楽時代劇で、共演は福士蒼汰、市原隼人、戸田恵梨香、北村一輝、栗山千明、満島真之介、金子賢、山本陽子、市川海老蔵、田中泯、山崎努ら。
夜の正式上映を前にして、14時30分から行われた本作の公式記者会見には、2013年のコンペ作『藁の楯』以来4年ぶりの現地入りとなる三池崇史監督、2004年のコンペ作『2046』(ウォン・カーウァイ監督)以来、13年ぶりの木村拓哉、初参加の杉咲花、そしてプロデューサーを務めたジェレミー・トーマス、坂美佐子、小岩井宏悦の3人が登壇。
海外プレスの参加数も多く、キムタクの大ファンで日本に飛んで本作を既に7回も観たというシンガポールの女性が質問に立ったのを始め、多彩な質問が飛ぶ会見となった。
会見で、本作は木村がいなければ成り立たない作品と言い切った三池崇史監督は、互いに尊敬し合っている木村と現場で楽しい時間を過ごせたとコメント。時代劇については、「ストレートな物語が描ける大好きなジャンル」だとし、ツーカーの仲だと言う撮影監督の北信康にも言及。さらには歌舞伎の演出をした経験があったからこそ主人公と対決する役で“当代一の歌舞伎役者”市川海老蔵が出演してくれたことを明かした。
一方、この役は“運命だ”と三池監督から告げられたという木村拓哉は、三池監督について「現場目線の監督で、全スタッフの気持ちを本当に理解している」とコメント。杉咲花は、三池監督から「原作をリスペクトして演じてほしい」と言われたことが印象に残っていると語った。
◆『無限の住人』上映後の深夜、日本人報道陣の囲み取材に応じた三池崇史監督、木村拓哉、杉咲花の3人
『無限の住人』の正式上映(ソワレ)が行われるメイン会場前には、早い時間から多くのキムタクの熱烈なファンのアジア女性が集結。思い思いのプラカードや木村のうちわを手にした彼女たちが、レッドカーペットに三池崇史監督、共演の杉咲花と手を取り合って現れた木村拓哉に黄色い声援を飛ばす姿が会場内のスクリーンに流され、その人気ぶりを再認識させられた。
三池監督と木村拓哉はフォーマルなタキシード姿で、杉咲花は赤い振袖姿で立ち会った正式上映では、クライマックスシーンで客席から歓声と拍手が沸き上がるなど、観客の反応も実に上々。上映後に贈られたスタンディングオベーションの興奮が覚めやらぬ中、場所を移して25時30分から行われた日本人報道陣向けの囲み取材に臨んだ3人の充実した表情&笑顔が印象的だった。
(Text & Photo:Yoko KIKKA)