文化芸術の街「上野」と喜劇発祥の地「浅草」を舞台にコメディ映画の祭典「したまちコメディ映画祭in台東」(略称したコメ)。今年も2017年9月15日(金)~9月18日(月・祝)「第10回したまちコメディ映画祭in台東」を絶賛開催しております。
「したコメ」とは、東京随一の下町(したまち)の魅力をコメディ映画を通じて存分に味わっていただく、いとうせいこう総合プロデュースのコメディ映画祭です。「映繰り広げられる画(Cinema)」「したまち(Down town)」「笑い(Comedy)」という3つの要素を掛け合わせることで、映画人、喜劇人、地元の皆さん、映画・喜劇を愛する皆さんが一体となって盛り上がれる、他にない魅力を持った、住民参加型の映画祭となっており今年で10年目を迎えます!
昨年のしたコメで制作発表された『blnk13』が、記念すべき第10回のオープニング作品として帰って来ました。上映後の舞台挨拶ではティーチインの時間も設けられ、観客からキャストにたくさんの質問が飛び交いました。高橋一生さん演じる主人公の幼少期を演じた大西利空くんのサプライズ登場に続き、齋藤工監督の友人として山田孝之さんもサプライズ登場し、会場は大盛り上がりでした。

●実施日時:9月16日(土)
●場所:浅草公会堂
●登壇者:齊藤 工、高橋一生、神野三鈴、金子ノブアキ、大水洋介(ラバーガール)、大西利空、山田孝之
●MC:いとうせいこう、大場しょう太

〈上映後コメント〉
齊藤 工:
この物語は、はしもとこうじさんの実話なんですね。はしもとさんはバラエティの放送作家をされていて、この物語を面白可笑しく教えてくれたんです。面白いなと思いながらも、他人事じゃないなと思いました。心当たりのあるお話だと思ったんですね。うちの父は存命ではあるんですが、そこから始まった制作過程だったので、はしもとさんとお父さんとご家族にいちばん感謝したいですね!2月公開なのですが、平日の昼間だったり、ニーズのあるところに低空でも飛行し続けるような上映をしていきたいです!

〈ティーチイン〉
Qロケを組む際はどんなところに重点を置いて場所を探されたのですか?
斎藤工:
この物語、実はほぼ2シュチュエーションなんですよね。葬儀場と回想で出てくるアパートのという2ステージを舞台にしました。当然それだけじゃないので、あとのシーンは僕が「イブし登る組」とか大変だった作品で会ったイトウさんという優秀な制作の方と一緒にロケ班をしました。足利市が協力的ということもあったし、いろんな環境も整ったんですね。半径数キロの中に葬儀場も火葬場あり、凄くいい制作チームを組めたので、撮影期間は1週間だったのですが、その時間の中で十分に撮れるだろうと思いました。

Qリリー・フランキーさん演じるお父さんの小さなお葬式の横で、豪華で大きなお葬式をやっているシーンがありますが、皆さんならどちらのお葬式で送られたいですか?
大水洋介:
絶対あのお父さんみたいじゃない方がいいです!

金子ノブアキ:
生まれた実家が葬儀屋さんなんです!小さい時からいろんなお葬式を見てきて、不思議な経験もいっぱいしました。人の価値はそういうことで決まらないんですけど、人がたくさん来てくれると嬉しいです。でも大事な人に来て欲しいですね…決めらんね!

神野三鈴:
私も決められないし、選べないと思います。いろんな人が自分に対する忘れられない思い出を語りに来てくれる人生がいいです。

高橋一生:
どうしても比べてしまうと思うんですけど、まず自分の人生を自分で肯定しないと始まらないと思うんですよね。自分のことを好きになってあげるとか、近しい人を大切に思ってあげないと。隣の庭ばっかり見ないで、自分の庭を綺麗にしていこうというメッセージも『blnk13』には入ってるんだと思います。僕は甲乙つけがたいです。

斎藤工:
知らない人の葬儀を盛り上げる職業があったんですけど、でも来ている人はどう思っているのか。そういうことがこの映画のテーマの一つでもあると思います。映画でも、(神野三鈴さん演じる)お母さんはお母さんなりに葬儀をあげていて。お母さんが窓辺でタバコを吸うシーンは、自然と風が吹き込んで神がかっていました。リリーさんの…リリーさんは生きてますね(笑)

Q最後のシーンにキャラクターを揃えた監督の思いとは?
齋藤工:
あそこが肝になるなと思って撮りました。一生さんがいろんな思いを受けるキャッチャーなんですよね。隣に座ってる僕はちょっと笑ちゃってるんですけど…(笑)キャスティングは一枚の色を彩って行くように、原色を強めに集めて行くようにしました。奇跡的なメンバーが集まってくださいました!基本的にはロングテイクで、後半はドキュメントタッチで撮りました。何が起きても撮り続けるという演出にトライをしようという気持ちでした。

大水洋介:
村上淳さんが「サンキューフューチャー」って無茶振りしてきて困りました。でも何やっても佐藤二朗さんが突っ込んでくれるんで助かりました。

齋藤工:
セコムみたいな(一同爆笑)

高橋一生:
あんまり笑うことはなかったです。なんとか笑いを抑えてました。

齋藤工:
実際のお葬式って笑っちゃいけないから、ちょっとのことが面白くて。うちの母がインナーに「岐阜郡上祭り93」って服を着て葬式に出てるときがあって、それが透けて見えてて、みんなクスクス笑ってました!

Q劇中で一生さんが着ていた白いTシャツは自前ですか?
高橋一生:
自前じゃないです。自前風の物を工くんが用意しました。

Q子役の子の野球のフォームが上手くて、高橋さんのシーンになった時に、そのフォームが微妙だと思いました。野球が苦手ですか?
高橋一生:
そんなことないよ。それは僕の体のコントロールというか、使い方だと思います。そう、見えてたらすいません〜!

Qリリーさんが後ろにいるポスターに、一生さんはどんな気持ちで挑んだんですか?
高橋一生:
レスリー・キーが撮ってくれたんですけど、自由に、そこで立ってるよって感覚でいただけです。皆さんが思うままに思ってくれればいいかなと思います。

〈山田孝之がサプライズ登場〉
山田孝之:
全然関係ないんですけど…齋藤くんから「お元気ですか?」ってメールが来て、「今度会いたいですね」ってなって。「16日とかどうですか?」って着たんですよ。みんないるんだったら行っちゃおうかなと思って来ました(笑)記念すべき第10回ということで、これからもしたコメがいろんな方に好かれる映画祭になって欲しいです。