国内外で常に注目を集める黒沢清監督が劇作家・前川知大氏率いる劇団「イキウメ」の人気舞台「散歩する侵略者」を映画化。数日間の行方不明の後、夫が「侵略者」に乗っ取られて帰ってくる、という大胆なアイディアをもとに、誰も見たことがない、新たなエンターテインメントが誕生しました。
夫の異変に戸惑いながらも夫婦の再生のために奔走する主人公・ 加瀬鳴海に長澤まさみ。侵略者に乗っ取られた夫・加瀬真治に松田龍平。一家惨殺事件の取材中に侵略者と出会うジャーナリスト・桜井に長谷川博己。桜井が密着取材を申し入れる若き侵略者たち、天野に高杉真宙、立花あきらに恒松祐里。それぞれ5人は、黒沢組初参加、映画初共演。さらに、前田敦子、満島真之介、児嶋一哉、光石研、東出昌大、小泉今日子、笹野高史ら豪華オールスターキャストの競演が実現しました。

この度、9月15日(金)に長澤まさみさん、黒沢清監督登壇のもとスペシャルトークイベントを行いました!
「ジャンルの枠を超えたエンターテインメント」「泣ける!」「こういう映画が観たかった!」など話題沸騰の本作について、長澤まさみさん、黒沢清監督をはじめ、映画監督・映画評論家の樋口尚文さんを迎え、あらゆる視点から、『散歩する侵略者』の《概念》を語り尽くす熱いトークセッションを繰り広げ、ここでしか聞けない貴重なトークに観客も大満足のイベントになりました。

【日時】 9月15日(金) 20時40分~21時20分
【場所】 新宿ピカデリー シアター3 (新宿区新宿3丁目15番15号)
【登壇者】長澤まさみ、黒沢清監督、樋口尚文(映画監督・映画評論家)
           MC:松崎健夫(映画評論家)

<以下、イベントレポート>
9月9日に公開し、あらゆるジャンルを超えたエンターテインメント作品に絶賛の声が止まらない本作。映画の専門家による貴重なトークが聞けるイベントだけあって、会場は満席に。上映後の会場に、長澤まさみさん、黒沢清監督、映画監督・映画評論家の樋口尚文さんが登場すると、観客からは温かい拍手が送られました。

まずはじめに挨拶したのは主演を務めた長澤さん。「本日はありがとうございます。映画は楽しんでいただけましたでしょうか?(会場拍手)短い時間ですがよろしくお願いします」続いて黒沢監督は「普段の舞台挨拶は上映前で話せないことが多いのですが、今日は上映後ということで何を言ってもいい、“宇宙人”と言ってもいいらしいので(笑)。やっと安心して話せるなと思っています」と挨拶。樋口さんは「今日は大好きな長澤まさみさんと黒沢監督の応援に来ることができて嬉しいです。よろしくお願いします」とコメントしました。

初参加となった黒沢組での撮影について、長澤さんは「黒沢監督は撮るのが早いので、そのペースに負けないようにお芝居を準備していかないと、というプレッシャーが日々ありましたね。松田(龍平)さんから『黒沢監督の現場は一発本番らしいよ』と聞いていたのですが、それを事前に聞いておいてよかったなと撮影が始まった初日に思いました」と苦労を明かしました。そんな長澤さんの印象について黒沢監督は「とにかく芝居が上手い方でした」と大絶賛。「撮影前の打ち合わせの時の長澤さんは、どこか煮え切らない感じで、嫌がっているのかな?と思いましたが、煮え切らないのが長澤さんの独特の個性なんだなとだんだんわかってきて(笑)。ただ、いざ撮影となると自分がやるべきこと、物語上、何を求められているのかを瞬時に理解して、あっという間に素晴らしい演技に到達してくれました」と熱くコメントしました。黒沢監督の熱弁に長澤は「自分の感情を表現するのが苦手で(笑)」と照れ笑いし黒沢監督との厚い信頼関係をうかがわせました。

役づくりに話が及ぶと、常に怒っている鳴海というキャラクターについて長澤は「鳴海には“女性あるある”というか、女性として共感できるところがすべて詰まっていて、理想の女性像だと思いました。怒っていたりはしますけど結局は相手に尽くしている姿を見て、特にそう思いますね」と長澤さん自身が考える理想の女性を演じることができた喜びを明かしました。また、夫である真治との関係性を大事にして役作りしたそうで「夫婦二人いたら、どちらかが前でどちらかが後ろという構図がない限り、夫婦平等にうまくやっていけるということはないのかなと思いました。結局、平等だからと言って横に並んで進もうとするとうまく進めなくなる。そういうことが相手を受け入れるということなのではないかと思いました」と語りました。

ここで、黒沢監督作品についてさらに突っ込んだ話題に。樋口さんは、映画評論家としての観点から本作の魅力を分析。「黒沢監督の作品は、入り口はホラーだったりジャンルものだったりするのですが、物語が進むにつれてだんだんノンジャンルになることが多いんです。映画というものは本来割り切れないものなので、それが映画本来の味、コクのようなものだと思います。『散歩する侵略者』は入り口は侵略SFなんですが、その後も真っ向勝負で侵略SFを描いているように感じました。それがいつもの黒沢監督作品とは少し違っていて、そういう黒沢監督の変化も、黒沢監督がこの先にどこに向かおうとされているのか、ということまで含めて面白かったです」と語った。それを受けて黒沢監督は「今回、侵略SFというジャンルを忠実にやりたいと思いました。ただ、SFって日常と少し違う状況設定はあっても、その中で起こるドラマには決まりがないんですよね。ラブストーリーもあればサスペンスもあるし、コメディもある。ストーリーとしては実は確立していない、「なんでもあり」なのがSFだということがわかりました」と新たな発見があった様子だった。

ほかにも、黒沢監督特有の長回し撮影や、長澤さんを追いかけるシーンで使用された小型のカメラが話題にあがり、貴重な裏話満載なトークで会場を盛り上がりました。

最後に長澤さんと黒沢監督からメッセージをいただきました。

長澤さん:出演できてよかったと思える作品と今のこの年齢で出会えたことが幸運だったと思っています。とても良い映画だと思いますのでたくさんの方に観ていただきたいですし、長く愛される映画になれば良いなと思っています。今日は映画館まで来てくださり、ありがとうございました。

黒沢監督:長澤さんが演じた鳴海という役は、この映画にある愛を表現するにあたって、本当に難しい、そして途方もなく幅のある役柄でした。それを長澤さんは完璧に演じてくれました。長澤さんの最後の表情を撮れただけでも、この映画を作った甲斐があったと思っています。是非、皆さんの言葉でこの作品を伝えていただけたら嬉しいです。本日はありがとうございました。

以上

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