。今もなおカルチャーアイコンとして注目され続けている寺山修司が、唯一遺した傑作小説を『二重生活』の岸善幸がメガホンをとり再構築し映画化。『キセキ -あの日のソビト-』『帝一の國』の若手実力派俳優の筆頭格菅田将暉と韓国映画『息もできない』で世界各国の映画賞を総なめした名優ヤン・イクチュンをダブル主演に迎えた『あゝ、荒野』(10 月 7 日(土)前篇、10 月 21 日(土)後篇 2 部作連続公開)。
第 39 回PFFにて上映され、上映前のトークイベントにヒロイン・芳子役を演じた木下あかり、岸善幸監督が登壇しました。

♦ 日時:9月16日(土) 11:00~11:20
♦ 会場:東京国立近代美術館フィルムセンター 大ホール(東京都中央区京橋3丁目7−6)
♦ 登壇者:木下あかり、岸善幸監督 /MC:荒木啓子(PFF ディレクター)

第39回ぴあフィルムフェスティバル(PFF)【映画の闘い/闘いの映画】部門で世界初の『あゝ、荒野』前篇・後篇一気見上映が行われた。さかのぼること、第1回(当時の呼称は「第1回ぴあ展1977」)の開催では、原作者・寺山修司監督作品の『檻』を上映し、その後寺山自身が最終審査員を務めていたこともあるという、縁あるPFF。MCのPFFディレクター荒木啓子氏が(先日の完成披露上映会で)前篇をすでに観ている人はいるか?との問いかけに、なんと約半数の観客が挙手。本作をいち早く観たい!という方の熱気にあふれていた。
本日登壇が叶わなかったダブル主演を務めた菅田将暉、ヤン・イクチュンからのビデオメッセージが流れ、ヤン「俺たちの映画を観るお客さんは世界でいちばん立派な人ですよね」菅田「そうだと思いますね、ありがとうございます!」と二人の息の合った掛け合いに会場は笑いに包まれ、「あとは任せた!」という菅田のメッセージを受け、岸監督が登壇した。現場の様子について「(二人は)ボクシングのシーンは、やはりピリピリしていて少し距離を置いている感じでしたけど、ヤンさんが思った以上に日本語を理解して話せるので、冗談を言い合ってあんな感じでしたね。」

キャスティングについて話が及ぶと、岸監督は相手があることだからそれにどう反応できるか、に重視して出演する俳優を選んでいると明かした。そんなオーディションをくぐり抜け、ヒロイン芳子役をつかんだ木下あかりが続いて登壇。男の友情に挟まれながら、体当たりの演技で本作に挑んだ木下は「(役を)自分の中で作りすぎると現場で反応ができないので、現場に入って監督と話しながら作っていきました。脚本を読んでいて、はじめて芳子がすーっと入っていった感覚があったのは、新次に初めて家族のことを話すシーンでした。その時に掴めたかな、と思う瞬間がありました。」と述懐。岸監督は「観て頂く前ですが、じつは結構濡れ場が多い作品なんです。僕は今までそういうシーンを沢山撮っているんですが、毎回本当に緊張します。」と意外な素顔を明かし、「私よりも監督の方が緊張していましたよね?!」と木下が岸監督の意外な一面を明かした。

さらにラブシーンについて「菅田くんとは、わりと体位について相談しながらやっていましたね。その話を木下さんにどう伝えるかという。いろんな緊張で胸が張り裂けそうでした(笑)」木下「いちばんハードなシーンが撮影初日にありまして・・・。それまではすごく緊張していたんですが、そのシーン以降はもう裸の付き合いで、逆にリラックスして挑むことができました。」と長編映画初挑戦での自身の体当たり演技について振り返った。最後にこれから映画界を目指す人も多くいる観客へメッセージを求められると、木下「皆さんへ、というか私自身がいつも心掛けていることになりますが、諦めずに続ける、自分自身と向き合うことはやめない、という2つがあります。父に”敵は己だ!”といつも言われていたのでそれを胸に、続けています(笑)」岸監督「長編2作目の僕が大したことは言えないですが、何をやれば目立つか、人に見てもらえるまでにどんな努力をすればいいのか、それがすごく必要なことだと思います。今日はぜひ前篇後篇、楽しんでください。」 と会場に語りかけ、トークイベントを締めくくった。