世代を超えて熱烈なファンを数多く持つ歴史小説界の巨星・司馬遼太郎原作「関ケ原」。現在までに単行本・文庫を合わせた累計発行部数が620万部を超える国民的“ベストセラー”が、『日本のいちばん長い日』で第39回日本アカデミー賞優秀作品賞、及び優秀監督賞を受賞した巨匠原田眞人監督の手により初の完全映画化、先月26日に公開され、国内映画ランキング2週連続第1位で16億円突破と絶好調のV6・岡田准一主演の映画『関ヶ原』。公開約1か月を迎えようとする現在も、歴史好きやリピーターら老若男女幅広い層に支持を受けて大ヒット継続中だ。そんな中、本編を鑑賞した観客からはSNS上で「石田三成率いる西軍を応援していました(心の中で…)」「応援上映があったら行ってみたい」などの反響が寄せられていることから、9月15日に東京・新宿バルト9で『関ヶ原』一夜限りの合戦当日応援上映が実施された。

9月15日といえば、今からさかのぼること417年前…旧暦・慶長5年9月15日に美濃国不破郡関ヶ原(現・岐阜県不破郡関ヶ原町)で、徳川家康率いる東軍と石田三成率いる西軍が大激突した“関ケ原の戦い”の火ぶたが切って落とされた、まさに当日。日本の歴史のターニングポイントとなったこの日に、時空を超えて合戦を応援観戦するべく、コスプレOK・掛け声OK・サイリウム持ち込みOKという映画鑑賞形態の応援上映会が企画された。

客席には甲冑コスプレがいたり、推し武将の名前が書かれたアイドルライブさながらの巨大うちわを持参する観客の姿もあった。いざ上映が始まりスクリーンに『関ヶ原』とのタイトルが出た瞬間から、客席のボルテージはマックス。原作・司馬遼太郎、原田眞人監督とのテロップが出ると「作ってくれてありがとう!」との合唱とカラフルなサイリウムが揺れた。

岡田准一演じる石田三成が馬に乗って登場すると「殿~!」「カッコいい~!」、三成が地蔵を備えるシーンでは「優しい!」「その地蔵になりたい!」「好き!」などの黄色い声も上がった。さらに滝藤賢一演じる豊臣秀吉がお茶を飲む場面では、「熱いからちゃんとフーフーして!」とやけどを心配する声に続いて、飲み会レベルの「一気!」コールも飛び出した。

また役所広司演じる徳川家康が、東出昌大演じる小早川秀秋を支配下に置こうと画策するシーンでは「狸!」「秀秋、だまされないで!そいつの話は信じるな!」など親身になった注意喚起があったり、三成が平岳大演じる島左近に初対面し、家来になってもらいたいと打ち明け、左近がそれを了承すると「フー!」と歓迎の歓声が上がった。

有村架純演じる伊賀の忍び初芽の登場シーンでは「やっぱり可愛いわ!」とため息交じりの声があったり、三成が旅立つ初芽を追いかけ「初芽は我が恋じゃ!」と告白する展開になると、会場中のサイリウムが激しく揺れ、拍手喝さいで大盛り上がり。客席からの「耳が赤いぞ!照れるな!」「初芽、何か言ってやれよ!」と嬉し恥ずかしなツッコミもあり、会場全体が笑いに包まれた。

そして本作のハイライトである、決戦の日のテロップが表示されると「ついに来たぞ!」「今日だよ、今日!」「みんな頑張れ!」と戦の一員になったかのように客席の温度も急上昇。西軍・東軍入り乱れての合戦シーンに突入すると「それは味方だよ!」「左近は狙わないで!」「やめて!」「裏切るな!」「走って逃げて」などのヤジやエールが乱れ飛び、三成が「勝機は我にあり!」と優勢を確信する場面では、史実が塗り替えられて西軍が勝つのではないかとの思うほどの叱咤激励の拍手が沸き起こった。

しかし西軍が徐々に後退しはじめ、敗北が色濃くなると、会場は水を打ったように静かになり、すすり泣く女性の姿も……。戦に勝利した家康が三成と最後の対面を果たす場面では「狸!なんで会うんだよ!」「三成に何か声をかけてやれよ!」と無念さをにじませる声。それでも処刑所に向かう三成の姿で映画が幕を閉じると、会場は大満足の拍手喝采。映画が終わっても「大一、大万、大吉!」「来年こそは勝とうね!」など、客席からの声がけは止まず、合戦当日応援上映は最後の最後まで白熱していた。