8月25日(土)に『幼な子われらに生まれ』の初日舞台挨拶が開催され、主演の浅野忠信、田中麗奈、宮藤官九郎、南沙良、鎌田らい樹、新井美羽、そして監督の三島有紀子が登壇いたしました。
数々のベストセラーを手がけている直木賞作家・重松清が1996年に発表した傑作小説「幼な子われらに生まれ」。『ヴァイブレータ』『共喰い』などの脚本家・荒井晴彦が重松と映画化の約束を交わし、その脚本が『しあわせのパン』『繕い裁つ人』などで幸せの瞬間を繊細に、丁寧に紡いだ映画で多くの観客の心に感動を届けてきた三島有紀子の手に渡り、ついに映画化が実現しました。

●日程:8月26日(土)
●場所:テアトル新宿 (新宿区新宿3-14-20 新宿テアトルビルB1)
●イベント登壇者:浅野忠信(43)、田中麗奈(37)、宮藤官九郎(47)
南沙良(15)鎌田らい樹(14)、新井美羽(10)、三島有紀子監督(48)

いよいよ公開初日を迎えた『幼な子われらに生まれ』。上映後の感動に包まれた観客たちの温かい拍手に迎えられてキャスト・監督が登壇いたしました。
主人公の田中信を演じた浅野忠信は「一年前に撮影をしているんですが、久しぶりに子どもたちに会うと、大きくなったなと。ちょっと雰囲気も変わったりしているので、すごい時間が過ぎたような気がしています。監督に見守っていただいて、田中信という役を思い切り演じさせてもらいました。今日みなさんに見てもらえるのが嬉しいですし、こうやって(キャスト・スタッフの)みなさんと集まれたのも嬉しいので、最高です」と初日を迎えた喜びを語ります。
本年度のモントリオール国際映画祭で、日本映画で唯一ワールドコンペティション部門に出品されることになった本作。三島監督は「この映画のファーストカットに恋をして、見ていくうちにだんだん好きになって、最後はものすごく好きになったっと選者の方が言ってくださったのがすごく嬉しくて、それもこれもスタッフとみなさんのお芝居が素晴らしかったということだと思います」とキャスト・スタッフへの感謝を述べ、世界の人にこの作品が観てもらえることの喜びを表しました。
20年前に『Helpless』を観たときに、浅野忠信を撮りたいと思った監督のラブコールに応えるかたちで本作への出演を決めた浅野は「クセのある役が多くて、何も事件を起こさずに最後まで乗り切る役が少ないのですが。僕が今40代で、今までの経験や、色々なものを素直にぶつけられる役に出会いたいと思っていて、それが存分に注ぎこめるのが信という役でした」と自身の役への思い入れを語りました。一方、田中は久しぶりの宮藤との共演がバイオレンスシーンだったことについて「殴ったり蹴ったりというDVを受けたんですけど、それが私の誕生日で。とても刺激的なプレゼントいただきました」と笑いを誘うと、宮藤は「すいませんでした。スタッフのみなさんがちゃんとケーキを用意しているなかで、“この野郎!”って…。気持ちよかったです(笑)」と会場を沸かしました。
今まで演じた役は意志がはっきりしている役が多かったという田中。「決断や意見を人に求める、“ぶらさがり系”と監督はおっしゃってたんですけど、そういう役をなかなか経験してこなかったので、ふわふわしていて難しかったです。カラオケで発散するシーンがあるんですけど、『悲しみの果て』でシャウトするのが凄く気持ちよくて。主婦の方たちも強さを隠し持っていて、自分で発散するところがあるのかなとか、役をやりながらいろいろ想像したことが楽しい経験でした」とたくさんの女性の共感ポイントを語りました。
ベテラン俳優陣の名演技が話題になる一方で、南沙良、鎌田らい樹、新井美羽というフレッシュな才能も注目を集める本作。本作で女優デビューを果たした南沙良は「本当に最初は何が何だか全然わからなくて、スタートとかカットとか。そこから始めて、困惑というか、心配とか不安とかいっぱいあったんですけど、監督が『無理に演じようとしなくて良いから、相手からもらったものに対して感じたもの、思ったものを形にして表現してお返しすれば、それをちゃんと受け取ってくれるから大丈夫』って言ってくださって、安心してお芝居することができたと思います」と言うのに対し、田中は「向き合う姿勢がまっすぐで、一緒にお芝居をしていてもドキッとすることが何度もありましたし、すごく刺激になりました」と女優として太鼓判を押しました。そしてモントリオール国際映画祭の話の際にも話題にあがった映画のファーストカットに登場する鎌田らい樹は「最後のほうは泣いたりとか悲しい感情が出てくる役になるんですけど、最初の遊園地のシーンは、本当のパパと遊んで、アトラクションに乗って素で楽しんでしまって…。本当に楽しかったです!」と想い出を振り返り、鎌田の父親役を演じた浅野は「僕が助けてもらうことがあまりにもありすぎたと思うんですね。自分で本を読んで想像を膨らまして現場に行って俳優さんたちと出会うんですけど、子どもたちからのリアクションとか話し方っていうのが想像をはるかに上回る面白いことだったので、そこで、よりプランにはない信になることができました」と想定外の子どものリアクションが自身の演技にも良い方向に働いたことを明かしました。また、新井美羽は「お姉ちゃんの沙良ちゃんはずっと一緒にいてくれて、ロケバスで移動するときもずっと遊んでくれたりもしたし、パパの浅野さんは待ってる間に“超能力ごっこ”をやってくれて、田中さんはご飯に連れてってくれたんです。女優さんにご飯に連れて行ってもらったのが初めてですごく嬉しかったです」と会場を和やかなムードに包みました。この三人の若い女優の起用について監督は「ここで泣くとかセリフを言うとか、そういうことは置いておいて、相手の役者さんが投げた感情だったりセリフを、自分のなかでどう思ったか感じたかっていうのをちゃんと返すことが出来る人たちをオーディションで選ぼうと思って。今回の三人はそういう反応力が素晴らしかったです。これから日本映画を背負っていく女優になると本気で信じています」と新しい才能に期待の気持ちを語ります。
舞台挨拶の最後には「この映画の英語タイトルは『DEAR ETRANGER』と付けました。その意味は“親愛なる、異質な人”というものです。みなさんにとって他人だったり、家族も含めていろんな異質だなと思う人がたくさんいらっしゃると思うのですが、そういう人と化学反応を起こしていって自分がいろんなことを感じるのが“生きていく”ということなのかな、とこの作品を撮りながら思っていました」と作品にこめた熱い気持ちを監督が語り、幕が閉じました。

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