2006年版「この恋愛小説がすごい」の第1位に輝いた作家・島本理生による禁断の純愛物語を、嵐の松本潤主演で映画化した『ナラタージュ』(10月7日全国公開)。8月23日には東京・TOHOシネマズ 六本木ヒルズにてレッドカーペットイベント&完成披露試写会が行われ、主演の松本潤(33)をはじめ、ヒロインを務める有村架純(24)、そして恋愛映画の名手・行定勲監督(49)が参加した。

葉山貴司役の松本は行定監督のラブコールに喜ぶ一方で「脚本を読んで戸惑いもありました。葉山の描写が少ないので、どのように演じていいのかわからなかった」とするも「それで行定監督に話を聞きに行ったときに、素敵な言葉を伝えてくれた。それを聞いたときに撮影が楽しみになった」と回想。本作を通して浮き上がった俳優としての新たな松本潤像に行定監督が「今日とは全然違うよね。今日は“嵐の松本潤”という感じ。葉山先生はもっと親近感があるもの」と笑わせると、松本は「普段が親近感ないみたいじゃないですか!」と大慌てだった。

松本との禁断のラブシーンに体当たりで挑んだ工藤泉役の有村は、念願の一般上映に「この日が来るのが楽しい反面、不安半面だった。でも皆さんに見ていただいて何か心に残るものがあったらいい」と期待を込めて「難しい役でもありましたし、クランクインまでは緊張もしていました。でも気は抜けなかったけれど、肩の力は抜けたと思いました」と新境地に手応え。昨年の夏に敢行された富山ロケを振り返り「この作品に富山でお借りしたロケ地はぴったりで、廃校での撮影、海辺やラストシーン…本当にベストマッチな場所がたくさんありました」と風景も見どころの一つとして挙げた。

構想10年の末の完成に行定監督は「かつて日本映画がたくさん作っていた恋愛劇であり、成瀬巳喜樹監督作のようなものが作れればと思い、この小説ならばできると粘った」と話し「そして10年待って、やっとこのキャストに出会えた。二人にとってリスクの高い部分もあるが、一緒に作ってくれることを受け入れてくれた。だからこそ今日が迎えられた」と松本と有村に最敬礼だった。

松本も富山ロケに関して「まったく苦労はなくて、丁寧に撮影できたし、富山での撮影によってオリジナリティと独特な世界観が映っている。富山でしか成立しないような状況もあったので、行くことが出来て良かった」といい「印象に残ったのは雨のシーン。撮影は大変でしたが、それによって行定組としてグッとなった気がする」と困難が団結につながった様子を明かした。

またこの日、RADWIMPSの野田洋次郎が本作のために書き下ろし、正体不明の歌手adieuが歌う映画のエンディングテーマ曲「ナラタージュ」の音源が解禁された。松本は「登場人物はもちろん、映画を見た観客の心もそっと包んでくれる温かみのある素敵な曲」、有村は「adieuさんの歌声が本当に泉の気持ちを表している。はかなくてもろいけれど、力強い歌声で思わずウルっときてしまう」と感激。行定監督はadieuの存在について「架純ちゃん?それとも松潤じゃないよね?」と首をひねっていた。

イベント終盤には、8月30日に34歳を迎える松本のためにサプライズの特製バースデーケーキが登場。飾り菓子で作られた文字は『ナラタージュ』と松本潤の名前をかけた『ナラタージュン』。この渾身のダジャレに松本は「まさかタイトルと僕の名前でギャグができるとは…」と困惑も「この完成披露試写のタイミングで祝っていただけて嬉しい」と満面の笑み。34歳の抱負を聞かれると「この映画がたくさんの方に見ていただければ。それに尽きます。切に願います」と大ヒットを期待し、有村からも「お誕生日おめでとうございます。34歳も松本さんにとって素敵な1年になるよう願っています」と祝福されていた。

最後に有村は「見終わった後に大切な人を思い出したり、大好きな人を思い出してくださったらとても嬉しい。エンディングまで楽しんで」とアピールし、松本も「昨年の夏に心血を注いで作った作品。とてもステキでとても苦くてとても濃厚なラブストーリーが出来上がった。たくさんの人に長く愛される作品になれば。最後まで見てもらえれば伝わるものがあるはず」と思いを込めた。