この度、映画『ハイドリヒを撃て!「ナチの野獣」暗殺作戦』が8/12(土)より新宿武蔵野館他全国順次公開致しました。つきましては、下記の通り、ドキュメンタリー監督の松江哲明さんと映画評論家の森直人さんをお招きしたトークイベントを執り行いました。

映画『ハイドリヒを撃て!』公開記念トークイベント
■日時:8月13日(日) ■場所:新宿武蔵野館
■登壇者:松江哲明さん(ドキュメンタリー監督)
     森直人さん(映画評論家)

本作は、第二次世界大戦直下にチェコの統治者でホロコーストを推し進めたナチスNo.3、ラインハルト・ハイドリヒ暗殺を描いた史実サスペンスである。祖国を守るため、愛する人との平和な未来を夢見る青年達が自分の命をかけてハイドリヒ襲撃に挑む。
本作を絶賛しているお二人。まず本作の感想を聞かれた松江さんは「僕エンスラポイド作戦を知らなかったんです。この作品でその作戦を知り、死に行くものを崇高に描いているなと感じました。王道ものですね」と語る。また森さんは「この映画は不屈のチェコ魂、レズスタンスを讃えていますよね。同じ題材の『暁の七人』も好きで、同じ構成なんだけど、『ハイドリヒを撃て!』はとてもニュートラルな視点に立っている作品。これぞまさにエンスラポイド作戦を題材にした映画の決定版だと思いますね!」と語る。松江さんは「僕も『暁の七人』観たんですけど、熱くぐっとくるものは『暁の七人』。苦味が残るのが『ハイドリヒを撃て!』ですよね」と2作品を比較した。
最近ではナチスを題材にした映画が多く見られる。それについて松江さんは「単純に売れるからですよね。でもナチスに限らず、最近の戦争映画は戦闘シーンが少なくなってきていますよね。というのも、今は当時の情報が多く見つかっているから戦闘シーンがなくても語れるようになったこともあるので、その時代を的確に描こうとする偏りすぎていない映画が、今の時代に合っているのかもしれないです」と言うと「そうかもしれないですね。偏りすぎないという点においては、『暁の七人』や『死刑執行人もまた死す』は観てるこっちも彼らの大義に感情移入し、流されるところがある。けれどこの作品は、レジスタンス側から描かれているけれど、“自分だったらこの作戦やめる”という視点をくれる。成熟した戦争映画だと思います」と森さん。さらに松江さんは「この作品はどっちが良い悪いものかという簡単なものではないんですよね。すごく一人一人の葛藤を描いていて、考えさせられる作品です」とナチス映画でも他とは違う本作の魅力を語った。
またラスト30分のアクションシーンの迫力も見どころ。松江さんは「本当に僕この作品アクション映画としても好きなんですよね!というのも、普通の戦争映画はあっちこっち走り回るものが多いけれど、この作品は同じ場所からほぼ動かないんです。レジスタンスが協会に立てこもりそこにナチス勢が攻めてくるんですけど、武器が変わるだけでやばいと感じるし、銃撃戦だけで色んなアクションが観れる。ここが本当にすごいと感じました!」と興奮気味に語った。
 最後に本作のおすすめのポイントについて聞かれると、松江さんは「『この世界の片隅に』のように情報が多く手に入れられる今だからこそ作れる戦争映画。ナチス映画の一つとして観に来る方も多くいると思うんですが、観終わった後に心の中に残るものが他の作品と違うと思います。僕ももう1回観ようと思います」と言い、森さんは「映画好きには本当に好きな映画だと思います。周りの人にどんどん進めてください」とメッセージを残した。映画『ハイドリヒを撃て!「ナチの野獣」暗殺作戦』は8月12日(土)より新宿武蔵野館ほか全国順次公開中。