ちょうど50年前、ベトナム戦争に徴兵される前に、人を殺すことを拒否して、アメリカを去ったパルバース監督が、「”国に戦争に行けと言われても行かない。人を殺せと言われても殺さない”という勇気を知ってもらいたい」と、通常“卑怯者”とみなされる脱走兵をヒーローとして描いた日豪合作映画『STAR SAND ─星砂物語─』。

織田梨沙(山崎賢人出演の「Galaxy S8/S8+」CM『昨日までを、超えてゆけ』の卑弥呼役)、満島真之介、三浦貴大、吉岡里帆という今後の日本映画界を担う若手俳優陣と、寺島しのぶ、渡辺真起子、石橋蓮司、緑魔子という日本の映画界・演劇界を支えてきた名優たち、そして、オーストラリアやブロードウェイで活躍するオーストラリア人俳優のブランドン・マクレランドという豪華キャストが話題の本作の初日舞台挨拶が開催されました。

8月4日(金)
登壇者:織田梨沙 満島真之介 三浦貴大 吉岡里帆 ロジャー・パルバース監督
会場:ユーロライブ

「初日を迎えての感想は?」と聞かれ、6月の慰霊の日に合わせて行われた沖縄での先行上映で舞台挨拶をした満島は、「沖縄で、この映画を通して色々な方々とお話ができた。平成に生まれた僕らにとっては、戦争は歴史的な、遠いものになってしているけれど、ロジャー監督は50歳位歳が違うけれど、人種や肌の色や年代を超越した作品に挑戦できたことを光栄に感じていて、本作が毎年8月に全国で上映される映画になればいいなと思っていますので、皆さんぜひ力をお貸しください。」と挨拶。

それを聞き、三浦が「さっき真之介が、『平成に生まれた僕たち』と言っていましたが、僕だけ昭和です」と言うと、満島は「監督は昭和?」と聞き、監督はすかさず「明治です」と、アメリカ生まれの白人なのにジョークで答え、会場を笑わせた。

司会者が、「パルバース監督は、国内外で、メル・ギブソンさんや柄本明さんなどが出演された舞台を約40本書いたり演出をされてきて、本作で、72歳で映画監督デビューをされた」と紹介すると、上映を見終わったばかりの観客からは大きな拍手が巻き起こった。監督は、ちょうど50年前、ベトナム戦争に徴兵される前に、人を殺すことを拒否して、アメリカを去り、「”国に戦争に行けと言われても行かない。人を殺せと言われても殺さない”という勇気を知ってもらいたい」と、本作を執筆した。

吉岡は、「監督がずっと温められていた平和に対する思い。こんな思いがあったんだよというメッセージを届けてくれる作品なので、この夏日本で公開されることに意味を感じます。『忘れちゃいけない』ということですよね。この映画が他の戦争映画と明確に違う点は、残虐なシーンや人が亡くなっていく罪の様を描くことで戦争に対しての怒りを表現するのではなくて、普通の人たちが普通に恋をして、普通に生きて、普通に食べて、普通に幸せになることを願ったところをちゃんと描いているところに面白みを感じました」と熱い想いを話した。

負けずに満島も、「沖縄戦の映画のオファーは何度かもらっていたんですが、正直言うと、勇気が出なくて一歩踏み出せなかったんです。僕自身が外国人の孫でクォーターなんですけれど、沖縄戦がなかったら、僕は生まれなかったんですよ。僕らより長く日本と関わっていて、日本でこの映画を撮るというロジャー監督と会い、勇気に乗っかりたい、この人となら、一歩踏み出せるかもしれないと思いました。映画は、戦争はどうだというより、人と人が、人種が違えど、肌の色が違えど、宗教観が違えど、触れ合った瞬間に生まれる奇跡的な愛情が描かれている。僕は、僕らの時代が、電子機器に振り回されている中で、肌質を感じることを体感していくのが大事だと思っていて、だから僕は表現という仕事をしているんですけれど、だからこそ世界に、このメッセージを届けたいです。」と溢れんばかりの想いを話した。

三浦は、「この作品の前に、全然関係ないところで、真之介と1回ご飯に行ったことがあって、『兄弟役とかできたらいいね』と話をしていて、この映画の話が来た時に『よし』と思っていたら、次の日に初めて行ったバーでまたばったりと会って。」と、満島との縁を告白。

織田は、「冒頭の星砂を取るシーンで、海に潜ったんですけれど、ライフセイバーの資格を持っている三浦さんが、出番ではないのに、わざわざ泳ぐシーンの撮影に立ち会ってくださった」という撮影時のエピソードを話した。

すると吉岡が、「私がクランクアップした日、三浦さんが、『お疲れ様でした』と星砂を持ってきてくださったんですけれど、実は織田さんと満島さんも待っていてくださっていたということを先ほど知りました。二人とも待っていてくださったんですけれど、仕事の時間が迫って、帰っちゃったんだそうです。」というエピソードを披露。

監督は、「三浦さんは日本のロバート・ミッチャムです。何も言わなくても貫禄と存在感がある。真ちゃんは、日本のカーク・ダグラス。本当に似ているし、悲劇も喜劇も何でも出来る。織田さんは日本のエリザベス・テイラー。エリザベス・テイラーは、十代からすごい役をやって、美しくて素敵な女優だった。そして、最後になりましたけれど、英語にこういう諺があるんです。”Good things come in small packages.(小さい小包こそ、中にいいものが入っている)”日本のオードリー・ヘプバーンですよ。頭が良くて、何でも出来る」と4人を絶賛。

舞台挨拶終盤になり、吉岡は、一人現代シーンに出演したため、この4人のキャストが揃ったのは初めてということが判明。吉岡が、1945年の戦時中のシーンに出演した3人に「会えてすごく嬉しかったです。『やっと会えた〜』って感じで。」と言うと、満島は、「来てくれなかったら、『ごめん、愛してない』と言うところだった」と吉岡が出演中の連ドラ『ごめん、愛してる』に絡めて笑いをとり、監督も、「すごくいいパンフレットを作ったので、ぜひお求めください。今日だけ、800円のところ、800円にしますから」と親父ジョークで締めた、楽しい舞台挨拶となりました。