世代を超えて熱烈なファンを数多く持つ歴史小説界の巨匠・司馬遼太郎原作「関ケ原」。現在までに単行本・文庫を合わせた累計発行部数が620万部を超える大ベストセラーが、『日本のいちばん長い日』で第39回日本アカデミー賞優秀作品賞、及び優秀監督賞を受賞した巨匠・原田眞人監督の手により完全実写化され8月26日(土)より全国公開となります。

公開まであとわずかとなりました本作の舞台挨拶を、下記にて実施いたしました。当日は、満席の会場に正義を信じ愛を貫く純粋すぎる武将・石田三成を演じた岡田准一さん、三成の右腕として勇猛果敢に戦う軍師・島左近を演じた平岳大さん、メガホンをとった原田眞人監督が登壇しました!

◆日 時:7月31日(月) 18:30の回上映前
舞台挨拶18:30~18:50
◆場 所:T・ジョイ博多 ※スクリーン9(キャパ:418席)
◆登壇者:岡田准一、平岳大、原田眞人監督

■ごあいさつ

岡田:みなさん、こんにちは。T・ジョイ博多へようこそ!本日この場で『関ヶ原』を観ていただけるとのことで、(満席の会場に)みなさん期待して頂いているのがすごく伝わってまいります。今日は来て頂いてありがとうございます。楽しんで行ってください。

平:みなさん、こんにちは。石田三成をささえる島左近という役を演じさせて頂きました。今日はどうもありがとうございます!

原田監督:九州は今年色んなことがあって大変だったと思いますが、この作品を観て頂いて辛い想いや苦しい想いを吹き飛ばしてもらって、8月26日の公開に向けてぜひとも応援してください。よろしくお願いします。

■福岡の思い出は?

岡田:今日は石田三成役なので、ちょっと言いづらいですが(笑)縁の役を演じた時に何度も足を運ばせて頂いています。
食事を頂いたり、街を歩いたり、ちょっと行けば縁の場所があったり思い出がいっぱいあります。

■役のオファーが来たときはどんなお気持ちでしたか?

岡田:「ついに来たか」という気持ちでした。前の作品で・・・(笑)もう言っちゃいますけど黒田官兵衛を演じていた時に、田中圭くん演じる三成とやり合っていたので演じるにあたって、三成公に「嫌われてないかな」という思いがありました。
演じるときに役柄に好かれたいと思ってやっているので、三成公のお墓参りをして三成公に喜んで頂ける三成像を作っていきますと約束して演じました。

平:島左近を演じるにあたって年齢も違うので不安でしたが監督から色々とヒントを頂いて、顔に傷をつくったり髪の毛など外見から役作りをして内面を作っていきました。

■このキャスティングをオファーされた想いは?
原田監督:この作品は岡田准一さんが三成を演じてくれたことが要だったと思います。僕自身も60歳を越えてから三成を理解できるようになって、司馬先生の原作に惚れ直したところもあるので、自分がこれまで映画をつくってきた経験則と、岡田さんが黒田官兵衛を見事に演じ切った歴史の流れがあって、そのタイミングが重要だったと思います。

■『関ヶ原』について、歴史に詳しくない会場の方にアドバイス

原田監督:決して難しい映画ではないです。この映画の原点というのは「ボーイ・ミーツ・ア・ガール」なんです。石田三成と忍びの初芽が出会って別れる、それだけの映画です。

岡田:それだけじゃないですよね(笑)その後、家康が出てきて天下取りの野望があったり(笑)。
原田監督のこれまでの作品もそうですが、すごくセリフも多く情報量があって、その場にいるかのような体験ができる映画になっているので、そんなに詳しくなくても合戦の流れや登場人物の感情を楽しんで頂けると思います。

■福岡は、映画『関ヶ原』にも登場する黒田長政公の縁の地でもあります。劇中にも登場する長政公について深く知って頂いた上で映画を楽しんで頂こうということで福岡市博物館の日本中世史担当の学芸員・堀本一繁さんにお越し頂いてます。一足お先にご覧なってプロの目から見てご感想をお伺いできますか?

堀本:合戦シーンが大変迫力がありましたね。特に岡田さん演じる三成が鐙(あぶみ)に足をかけて、颯爽と馬に乗って走り出すシーンはうまいなぁと思いました。

岡田:堀本さんのことは実は昔から知っているんです。黒田官兵衛の時に「槍」を貸して頂けませんかとお尋ねしたんですが「無理です」と、とても丁寧にお断りされたことがありました(笑)。ご感想ありがとうございます、三成は乗馬の達人だったという史実が残っているくらい乗馬がうまかったそうです。監督はそこにすごくこだわられて三成が馬に乗るシーンが結構ふんだんにあります。

■合戦の撮影で苦労されたこと、好きなシーンはありますか?

平さん:島左近は綺麗な剣さばきの合戦というよりは、殴り合いのような命と命のぶつかり合いのような戦いだったので、その迫力ですね。見て頂けると迫力が伝わると思います。

原田監督:合戦シーンはすごくこだわりましたね。黒澤明監督の「七人の侍」に追いつこう、少しでも近くに行こうという気持ちがありました。僕自身50~60年代の歴史スペクタクルなど素晴らしいものをたくさん見て育ったことから影響を受けたり、「ラストサムライ」に出演した時に、こういうものを撮りたいなと思った映像を作りました。

■せっかくなので、黒田長政公が関ヶ原で果たした役割を詳しく教えてください。

堀本:福岡贔屓ではなく、史実に基づいて関ヶ原において黒田長政公が一番活躍した武将です。映画に基づくと、石田三成の正義をくじいて、家康に天下を取らせたのは長政なんです。関ヶ原9/15の本戦に三成軍と戦うのは長政です。島左近は黒田の鉄砲隊に撃たれて敗れますよね。

原田監督:それは言ってはいけない・・・

岡田:でも事実ですもんね(笑)

堀本:実はその後も重要で、関ヶ原は一日で決着がついたのですが、大阪城、毛利軍の本隊、主君の豊臣秀頼も生き残っている状況で、もしも籠城されていたら一日では終わらなかったんです。その大阪城を無血開城させたのが長政でした。家康に先行して大阪に行き、関ヶ原の合戦の9日後に大阪城を撤収して、その3日後に家康は大阪城に入り、そこで決着が着いたんです。長政は本当に活躍したんです。

■その背景を知ってから映画を観ると楽しめますね。

原田監督:映画で長政はそんなに活躍しませんけどね(笑)時間があれば長政も描きたいのですが、そこは時間の為に割愛せざるをえませんでした。

■長政以外に縁の武将は?

堀本:東出昌大さんが演じた小早川秀秋です。黒田家は関ヶ原の戦いで手柄を立てて筑前一国(いわゆる福岡地域)をもらったのですが、その前の殿さまは小早川秀秋だったんです。実は福岡の武将だったんですね。福岡・箱崎の東にある
名島城の城主でした。ということから、関ヶ原の闘いに決着をつけたのは福岡の武将なんだということです。

原田監督:それは映画で描いています!小早川秀秋は新解釈という部分も含めて丁寧に描きましたので、そこはぜひご覧なってほしいです。

■福岡市博物館で黒田長政の展示もあるんですよね?

堀本:長政が若いときにかぶっていた牛の角がついた大水牛の兜が8/1から10/1までご覧いただけます。

岡田:いつか貸してください、また(笑)

■最後に岡田さんよりみなさんへメッセージをお願いします。

岡田:今日はありがとうございます。これから観て頂くという事で、さきほどお聞きしましたが関ヶ原は福岡の武将が尽力した歴史があるとのことなので、映画『関ヶ原』ぜひここ福岡から盛りあげていってくださったら嬉しいなと思います。
どうぞとくとご覧あれ!ありがとうございました。