性別を超えた美しさでジェンダーの境界線を揺るがし、ユニセックスなモデルとしても活躍するトップモデルのエリカ・リンダー待望の映画初主演作品『アンダー・ハー・マウス』が、本日(7月9日)、レインボーリール東京~東京国際LGBT映画祭で上映され、エイプリル・マレン監督がトークイベントに登壇いたしました。

映画の上映後、満席の観客から大きな拍手で迎えられたエイプリル・マレン監督。本能のままに愛を求め、戸惑い、傷つきながらも、自分に正直に生きようとする主人公のダラスとジャスミンのラブストーリーを繊細に、かつ官能的に描く本作との出会いを振り返り、「自分が今までに監督してきた作品とは全く違うものでした。脚本が本当に素晴らしかった。美しくて、生々しく、セクシーで、あまりの凄さに怖くなってしまったぐらいよ。昔から、なぜ人が人に引き付けられるかということに興味がありました。人が恋に落ちる瞬間、心臓がバクバクして、心拍数や声まで変わって、その人と一緒にいるためなら人生を変えてもいいって思ってしまうものです。私は、その恋に落ちる瞬間を捉えた作品を探し求めていたのです。本作は、二人が恋に落ちていく48時間の物語で、それを90分の尺で描くことは、監督としてとてもエキサイティングなことでした」と語りました。

また、「多くの映画で女性の視点というのが描き切れていないと感じています。女性が恋に落ちるとき、欲情するとき、SEXがどういう感じなのかを女性の視点で描くことを意識して、プロデューサー、脚本家、監督の私も女性だったのですが、現場スタッフも全て女性を集めると決めました。でも、実際は女性のスタッフがなかなか集まらず、全スタッフに女性をそろえるのに6か月もかかりました」と苦労話もしてくれました。

そして、主人公のダラスを演じ、女優初デビューとなったエリカ・リンダーのキャスティングの経緯を聞かれると、「ダラス役には、真実味を帯びた演技をしてくれる人が欲しく、とても難航しました。レズビアンの役には、ただ演じるのではなく、本当にレズビアンの人をキャスティングしたくて探したけど、なかなか見つからず、困り果て、遂にgoogle検索まではじめて、そこで目に留まったのがエリカの顔だったんです!モノクロの映像で、いろんなポージングをしていました。彼女の顔は完璧で、即座に「私たちのダラスだ!」と思いました。顔立ちだけじゃなく、スター性があり、人を引き付ける魅力的なものを持っていたのです。監督としての私の仕事は、それらを引き延ばすだけでした。私はエリカのことを“私のジョニー・デップ”って呼んでいたの。私が彼女を見つけたのよ!」と秘話を告白!観客を驚かせました。

最後に、「子供の頃から男性の目線で作られた映画をたくさん見てきました。愛や欲望がどんなものかを、女性の視点から描くことはとてもエキサイティングなことで、それがこの映画をスペシャルにしていると思います。また、この映画には、自由に対するメッセージもあります。性別や年齢、宗教に関係なく、愛は愛なんです。特に保守的な国では、ありのままの自分でいることに恐怖を感じている人もいると思いますが、この映画を観客に届けることができることに感謝しています」と、メッセージを送りました。