8/4公開の、出演:織田梨沙(「秘密 THE TOP SECRET」ヒロイン)、満島真之介、ブランドン・マクレランド、三浦貴大、吉岡里帆、寺島しのぶ、渡辺真起子、石橋蓮司、緑魔子、主題曲:坂本龍一の日豪合作『STAR SAND -星砂物語-』の原作・脚本・監督のロジャー・パルバースが、本日、「戦争映画の読解力(リテラシー) 勧善懲悪の矛盾を超えて」というタイトルのイベント講演を目白大学で行いました。

 

ちょうど50年前、ベトナム戦争徴兵前に、人を殺すことを拒否して、アメリカを去ったパルバース監督が、「”国に戦争に行けと言われても行かない。人を殺せと言われても殺さない”という勇気を知ってもらいたい」と作った本作を制作する前に考えた「真の反戦映画とは何か?」について、ご自身の経験も踏まえ、語っていただきました。

7月6日(木)16:30〜 目白大学
登壇者:ロジャー・パルバース監督

●登壇コメント
50年代のアメリカの戦争映画は、『アメリカは神様。日本やドイツの暴力は悪で、こちらの暴力は避けて通れない』という映画ばかりだった。僕は二十歳の時、ソビエトに行った。当時のソビエトは、共産主義で、“アメリカに原爆を落とすかもしれない敵”だった。今の日本にとっての北朝鮮のようなものです。でも僕がソビエトで会った人たちは、いい人ばかりでびっくりした。その時、人間はどこに行っても同じだとわかった。皆自分の家族の幸せを望んでいる。
オーストラリアで会った韓国人の一人が、日本の3.11の被災者が子供を亡くしても泣いていないのを見て、『日本人は人間じゃないですね』と言った。韓国人と違って、日本人は人前で感情を出さない。皆、固定観念というものがあるから誤解が生じる。
『なぜ戦争するのか?』と考えても、その状況に置かれなければ、自分がどうするかわからない。
僕が助監督を務めた『戦場のメリークリスマス』の大島渚監督がおっしゃっていたのは、「敵国を(自国と)平等に描かない映画は、いくら平和を願って作っていたとしても、反戦映画ではない。むしろ、戦争を賛美する映画である。」『勝ってよかった!』はダメ。勝っても負けても、同じ。“戦争をやらないこと”自体が反戦映画。戦争を描こうとする映画は、反戦映画ではないのかもしれない、ということになるんです。
『戦争はいけない』など言いたいことがあるのならば、最後の最後まで頑張らなくてはいけない。僕は72歳になって、初めて映画を監督できた。
英語には、「moral compass(道徳的羅針盤)」という素晴らしい言葉があります。権威のある総理大臣、大統領、神父、お坊さん、学校の先生に『こうすべきだ』と言われたり、皆に『そうすべきだ』と言われた時も、自分の羅針盤の針にしたがって行動して下さい。

“戦闘シーンがない”という珍しい戦争映画の『STAR SAND -星砂物語-』、
ぜひご覧いただき、監督の経験を基にした考えを感じていただければと思います。