す。『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』が7月29日(土)より全国公開となります。
試写会後のトークイベントに映画評論家の町山智浩さんと高校時代より“女子高生社長”として知られる若手起業家・椎木里佳さんが登壇いたしました。

【登壇者】町山智浩さん(映画評論家)、椎木里佳さん(株式会社 AMF 代表取締役社長)
■日程:7月3日(月) 21:05~21:45
■会場:神楽座 (東京都千代田区富士見 2-13-12 株式会社 KADOKAWA 富士見ビル1階)
MC:レイチェル・チャン さん

『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』一般試写会が行われ、上映後知られざる〝マクドナルド“誕生のウラにさらに切りこむべく、映画評論家の町山智浩さんと高校時代より“女子高生社長”として知られる若手起業家・株式会社AMF代表取締役社長の椎木里佳さんが登壇しトークイベントが行われた。

―レイ・クロックとトランプは兄弟みたいなもの

観終わったばかりの観客を前に、町山は「(主人公の)レイ・クロックは、最初はいい人かと思うんですけどね、だんだん本性がでてきますよね。」椎木「だんだん最後はもうレイ・クロックさんの事嫌いになりませんでしたか?!良い人だってもっていたのが悔しくなるくらい後半は嫌な人になっていました。」と両極面を見せるマイケル・キートン演じるレイ・クロックという人物についてフォーカス。
町山は「レイは、ポジティブシンキングを最初に提唱したノーマン・ヴィンセント・ピール牧師の自己啓発本のレコードを持ち歩き聴いている。あんな気合いの入れ方すごいですよね(笑)。<成功した自分を想像しろ、成功してからの自分を想像していない人は成功しない!>という考えです。日本でも未だに売れていてベストセラーになっていますが、あの本のいちばんの問題はあのドナルド・トランプが唯一師匠として仰いでるのがピール牧師ということ。トランプは彼の教会で最初の結婚式も挙げてるくらいで・・・。レイ・クロックとトランプは同じ師匠をもった兄弟みたいなものなんですよ!」と明かすと会場はへぇ~とどよめき、頷く人の姿も。
椎木は「成功した時の自分をイメージする、大きな目標を立てる、ということはしてはいました。人を踏みつけてまで登りつめたい、というその欲求はすごい。私自身は彼のようなビジネスには憧れませんが・・・ビジネマンとしてはすごいと思いました。」とコメント

―マクドナルドがもたらしたこと

町山「マクドナルドが出現したことによって、アメリカという国は均一化されていったんです。フォード自動車のすごかったところは、画期的な流れ作業のシステムを作ったこと。マクドナルド兄弟の作ったスピードサービシシステムで、アメリカ中どこの店に行っても同じ味が食べられるようになった。50年代、マクドナルドが出来たことでアメリカの味が均一化されたんです。面白いのが、看板メニューのビッグマックは出来たのは、勝手に支店がオリジナルメニューを作ったことで生まれました。同じメニューを提供するために勝手なことをするな、と言うけど皆それぞれ味を変えちゃうんです。掟を破って、生まれていく。(笑)でも、ビックマックの発明者も最後はマクドナルドに権利取られちゃったんですけどね・・・。それとは別ですが、映画にも登場する二番目の妻は慈善家としてアメリカでは有名です。よく言われているのが、貧しい人たちの最初のきっかけを作るという取組みが知られています。そういう意味では世の中の役には立っているのかもしれません。」さらに、現在のアメリカでは、映画『スーパーサイズミー』や「ファースト・フードネイション(邦題:ファストフードが世界を食いつくす)」が出版されるなど、アメリカではここ 2 年位減収していること、均一化というマクドナルドのビジネスモデルが終わりにむかっているという現状も語った。

―名前の由来

劇中レイ・クロックが〝マクドナルド“という名前を欲しがったエピソードに触れ、椎木の会社「AMF」の由来を聞くと、椎木は「家訓で『感謝(appreciation)、謙虚(modesty)、全力(fullpower)』の頭文字からとりました」と話し、祖父の家に額装して飾ってあるという意外な(?)由来が明かされる一幕も。

―アメリカの映画の在り方

マクドナルド本社と本作の関わりについてMCから聞かれると、町山「この作品はオーソライズ(公認)がされていないからマクドナルドのマーク(M)も勝手に使っているんです。この映画と似ている所もある Facebook の創始者を描いた映画『ソーシャル・ネットワーク』も非公認でしたが、芸術を作るのに許可なんかいらない、これが出来ないと面白くならないんです!どんどんやった方が良い、日本も真似するべき。<フェアユース>といって無許可でやれるんですが、日本は名前をちょっと変えたりするけど誰かがやれば凡例ができる!」と力説した。
そして最後に、本作のみどころについて、椎木は「ビジネスパーソンとしては(レイは)確実にすごい人。特に若い人はこういう成功の仕方もあるのかと、知ることができる作品なので観てもらいたい」町山は「まさにアメリカンドリームの話。元は移民であった男の良い面、悪い面両側面を描いた、<これぞアメリカ>という映画になっていると思う。」と締めくくりイベントは終了した。