『ザ・マシーン』『インターステラー』『エクス・マキナ』『オディッセイ』といった本格SF作品の系譜を継ぐ興奮の近未来アクションドラマが誕生。『スターシップ9』が8月5日(土)よりヒューマントラストシネマ渋谷ほかにて公開の運びとなりました。

公開を記念して、映画『22年目の告白 私が殺人犯です』が大ヒット中で、神木隆之介&門脇麦主演のSFラブストーリー『太陽』(16)の日本が誇る今大注目の入江悠監督と、映画専門誌VARIETYにて『注目すべきスペインの若手映画製作者の一人』に選ばれ多くの国際映画祭から注目を浴びる本作のアテム・クライチェ監督のトークイベントを実施致しました。スペインと日本の映画界を担っていくであろう若き監督同士による貴重なトークイベントとなっております。

【日時】7月3日(月)  19:00の回 上映後  
【場所】ヒューマントラストシネマ渋谷 
【ゲスト】アテム・クライチェ監督、入江悠監督

『ザ・マシーン』『インターステラー』『エクス・マキナ』『オディッセイ』といった本格SF作品の系譜を継ぐ興奮の近未来アクションドラマ『スターシップ9』(8/5より公開)のトークイベント付先行上映会が7月3日(月)にヒューマントラストシネマ渋谷にて行われました。
映画専門誌VARIETYにて『注目すべきスペインの若手映画製作者の一人』に選ばれ多くの国際映画祭から注目を浴びる本作のアテム・クライチェ監督と、映画『22年目の告白 私が殺人犯です』が大ヒット中で、神木隆之介&門脇麦主演のSFラブストーリー『太陽』(16)の日本が誇る今大注目の入江悠監督が登壇しました。

映画を観終わった観客の大きな拍手に迎えられたアテム・クライチェ監督は「(ヨーロッパ人にとっては近未来の象徴である様な日本で、こうして映画を公開してもらえてありがたい。初めて来日することができて非常に嬉しい」と笑顔を見せた。入江監督は「ハリウッド以外のSF映画を観られる機会は貴重。(本作は)ほんとうにシャープでコンパクトで凝縮されていた。僕が撮った『太陽』のスケールを大きくした感じ。とにかくアイデアが素晴らしかった。とても面白かった」と絶賛した。アテム・クライチェ監督は「この映画はSFという感じで始まるが、SFの部分がテーマではなくSF自体がこの映画の文脈というか背景という形で私は描きました。ジャンルに関してはアメリカでは“グランドサイファイ”という現実や地上の世界に根差したSFというジャンルになるかと思います。宇宙船の世界がテーマではなくてその後に続く物語がこの映画のメインテーマになるのです」と映画のコンセプトについて熱く語った。

入江監督は「みなさんもそうだと思いますが、観始めて20分くらいで、えっー!?って驚いた。あのアイディアは本当に素晴らしい。僕も『22年目の告白 私が殺人犯です』でドンデン返しというかネタバレしてはいけないことやっているんですけど、この映画もネタバレしないで観たほうがいい」とこれから観る人に向けたアドバイスを送った。さらに「いま日本で公開されているX-MENシリーズの『ローガン』あの映画にちょっと近いクローンだったり、かと思ったら宇宙船の中のハードSFだったりと凄い細かいことが90分の中に凝縮されていて。現代のSF映画のエッセンスが凄く凝縮されてる」と大絶賛。

ネットフリックスの大ヒットドラマ「ナルコス」を作ったダイナモプロダクションと共に撮影の8割近くをコロンビアで行ったことについてアテム・クライチェ監督は「近未来の世界のいい面だけを描くなら、近未来のいい側面を持っている東京で撮影したら済むはずだけど、残念ながら私が描く近未来とはいい側面だけではなく、近未来とはおそらく両極端な社会が存在するだろうと、非常に貧しい人と非常に裕福な人が同じ空間に存在するのが近未来なんじゃないかと私は考えている。それをビジョンで表すときに東京では貧しい人だけを撮ることはできない。そのコントラストを撮ることができるロケーションがコロンビアのメデジーンという金融街で高層ビル街もあればスラム街みたいな町もある、ビジュアル的に両極端な社会と言うのを表しやすいんじゃないかということもあり、コロンビアで多くを撮影することになった」とこだわったロケーションを説明した。

SF映画について入江監督は「一番難しいのは、SF映画はハリウッドが多いのでどうしても比較で見られてしまう。特に美術面ですよね。本作みたいなものを日本で作ろうとするのは不可能だと思うんです。世界と日本のSFっていうのは実写の世界で言うとそれだけ差ができてしまっている」といい、アテム・クライチェ監督も「スペインも同じ状況です」と語り、日本や小さな国での映画環境とハリウッドや中国映画との違いを嘆く場面も。しかし「なぜ原題がORBITER9なのか?」「劇中にでてくる狼のシーンはなぜ狼なのか?」と矢継ぎ早に質問を投げかけるなど、入江監督が熱烈な映画ファンの一面を覗かせる一幕に会場から笑いが起こった。

入江監督から「これからもSFを作るのか?」との問いにも「これからもこういった形でのSF、あるいはSFを使ったアプローチで映画を作っていきたい。SFは僕も大好きなジャンルですし、SFの要素を取り入れて現実味のあるストーリーを語りたい」と答え、「楽しみです」と目を輝かせていた。

最後にアテム・クライチェ監督は「観客が登場人物と同じ目線で世界を見られるように脚本を書いています。だから登場人物が本作の中で現実世界を始めて見た時と一緒に、観客も同じような体験、インパクトを感じることが出来たと思います。こういう近未来がテーマの作品が近未来的な東京で公開されるのは非常に奇妙な感じがするし、大変嬉しい。この作品には本当の悪者というものが出てきません。皆それぞれ使命を果たすために尽くしている。しかし、目的によってどんな手段も正当化していいのかということを描きたかった。是非多くの人に観てもらいたい」と語り、注目監督同士による貴重なSF映画対談の幕を閉じた。