国際映画製作者連盟公認の“国際映画祭”として世界12大映画祭の一つに数えられる上海国際映画祭。その第20回目となる記念イヤー(6/17開幕)に、映画『3月のライオン』前編・後編の2部作が堂々出品、6/17-18に史上初となる前後編2夜連続のプレミア上映が行われた。

過去に出品された2部作の映画は一日にまとめての上映だったが、『3月のライオン』を高く評価した映画祭の意向により、史上初の2部作2夜連続プレミア上映が実現。出品されたパノラマ部門の他作品とは一線を画し、プレミア・ガラ上映として上海最大の客席数を誇るメイン会場「SFC Shanghai Cinema Hall1」で開催。日本映画の上映本数が限られる中国では日本映画への注目が高く、キャパ1,000人の同会場のチケットは前後編ともに即完売となった。
本映画祭での全500本の出品作のうち、プレミア・ガラ上映作品はたったの4枠(3作品)、そのうち2枠を『3月のライオン』前編・後編の2夜連続で、トップバッターを飾り、初の上海国際映画祭への参加となった大友啓史監督が、映画祭のオープニングセレモニーレッドカーペットおよび、前後編それぞれの上映とQ&Aへ参加した。

17日夜に行われた前編上映では、主人公の17歳のプロ棋士・桐山零と川本家や将棋界の個性豊かな面々との少しユーモラスな日常のやりとりに観客は大ウケ。神木隆之介に加え、有村架純、伊藤英明、染谷将太、高橋一生ら中国でも人気の俳優が沢山出ていることもあり、それぞれの劇中の初登場シーンでは、歓声があがるほど。特に染谷将太が特殊メイクで普段とまったく違う姿で挑んだ二海堂晴信は、スクリーンに登場するたびに会場を賑わせた。18日夜の後編上映では、高校生の桐山がプロ棋士としての年収を告げると驚嘆の声があがり、川本家での突然のプロポーズには、一斉に手をたたいて笑いながら温かい声援を送るなど、会場一体となっての盛り上がりをみせた。また、ラストの白熱した対局や登場人物それぞれの想いが交錯するクライマックスでは、すすり泣く声も響き、笑いと涙の熱気につつまれた二夜となった。

上映後に行なわれた大友監督とのQ&Aでは、深夜にもかかわらず次々と質問が。神木演じる桐山零の血の繋がってない姉を演じた有村架純など、これまでのイメージと違う新しい魅力を引き出した監督の演出手腕などを熱心に聞き、終電終わっても多くのお客さんが会場に残って監督との交流を楽しんだ。