この度、2013 年『舟を編む』で賞を総なめにし、その後『ぼくたちの家族』『バンクーバーの朝日』など、33 歳にして長編映画 12本目となる石井裕也監督最新作、『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』が6/17より、ヒューマントラストシネマ有楽町で公開する運びとなりました。

原作は、2016 年に出版された、最果(さいはて)タヒの同名詩集。最果さんは 2008 年、当時女性では最年少の 21 歳で第 13 回中原中也賞を受賞するなど、各メディアから「新しい表現者」として今最も注目されている詩人。映画の舞台となるのは2017年、現代の東京。看護師として病院に勤務する傍ら、夜はガールズバーで働き、言葉にできない不安や孤独を抱えながらも、誰かに甘えることもせず日々をやり過ごす美香と、工事現場で日雇いの仕事をしながら死の気配を常に感じ、どこかに希望を見出そうとひたむきに生きる青年、慎二が排他的な東京で生きづらさを抱えながら出会い、そして、恋がはじまる瞬間を描くラブストーリー。美香を演じるのは、石橋凌と原田美枝子の次女、本作が映画初主演となる石橋静河(いしばししずか)。慎二には、石井監督作品への出演が本作で 3 度目となる、池松壮亮。その他にも、慎二と同じ工事現場で働く冴えない中年男性・岩下を田中哲司。同じく慎二の同僚で、行き場のないイラ立ちを抱える智之を松田龍平が出演。その他にも、市川実日子、佐藤玲、三浦貴大など豪華かつフレッシュなキャスト陣が名を連ねる。

本日、ヒューマントラストシネマ有楽町での上映初日を記念し、池松壮亮さんが舞台挨拶に登壇しました!

盛大な拍手で迎えられ、登壇した池松壮亮は、「今日は本当にありがとうございます。楽しんでいってください。プロデューサーの方から有楽町でやりたいとも聞いていたので嬉しいです。」とはにかみなが挨拶。今回は池松には珍しくセリフの多い役柄を演じていることが話題となっているが、「(普段は)含みがあるような役のオファーが多く、あまり喋らないからラッキーとも思っているんですが、今回は石井監督がそういったことを逆手に取ったオファーをしてくれた。」と振り返る。本作で“言葉”は重要なキーワードになっており、「言葉って邪魔だなと思うことは多々あります。ツイッターも LINE もやめましたし、最近ではニュースも見たくないぐらい。情報がたくさんありすぎて霞んでいっている。大切なことが見えなくなっている気がして、邪魔だなとすら感じていますね。」と池松は語る。

池松が今回演じている慎二は小説をたくさん読んでいる設定だが、池松自身も普段から多くの小説や映画を観ていることから、「物語に触れることはとても大事だと思っています。映画をたくさん見たり、本をたくさん読むことが何をもたらすかは分からないし、突然見たくなることもよくあるけれど、自分がどういう時代に生きていて、どういった社会、映画が作られているのかということに無責任にはなりたくないと感じていますね。」と“物語”に触れることの重要さを語った。MC から2回目以上の鑑賞の方はいらっしゃるかと客席に尋ねると、観客の半数ほどが手を挙げ、リピーターが多いことを感じさせられる。池松も「観た方からはすごく良い声をいただいていて、とてもホッとしています。自分も好きでよく来ている映画館で(本作が)上映されることはすごく嬉しいです。」と満面の笑みを浮かべ、「本当に気に入っていただければ、SNSなどで是非宣伝してもらえたら。」と、会場にお越しいただいたお客様による写真撮影を許可。一斉にシャッター音が鳴り響く中、客席からの質問を募る池松。髪を切らないんですか?という質問には「母親にもメールでよく怒られるんですが、役柄のため以外に髪の毛を切らない俳優ってウケるかなと(笑)」とお茶目に回答。また、セリフの覚え方を役によって変えているのか?という質問には「石井さんの作品ではシーンによって変えました。感情をむき出しにするシーンでは台詞に書かれているワードだけ覚えていったら、ニュアンスが少し違ったりして、現場で怒られたこともありましたね。」と撮影秘話を振り返った。最後に「今日撮ってもらった写真とともに(この映画の)宣伝をしてください!つまらなかったとかでもいいんですけど、出来れば良いこと喋ってた感じで書いてもらえると嬉しいです。」と締めくくった。