6/15(木)に、第70回カンヌ国際映画祭コンペティション部門正式出品、河瀨直美監督作『光』の公開記念トークイベントが新宿バルト9にて行われ、主演の永瀬正敏と、スペシャルゲストとして映画コメンテーターのLiLiCoが登壇、映画『光』のメッセージと魅力をLiLiCoが紐解きながら、主演永瀬正敏さんの素顔に迫りました。トークイベントのラストには、河瀨直美監督が急遽サプライズで会場にかけつけ、客席は大いに盛り上がりました。

映画『光』 公開記念トークイベント概要
■日程:6月15日(木) 20:25ー20:55(18:30の回の上映後)
■会場:新宿バルト9 スクリーン3(148席) (東京都新宿区新宿3丁目1-26新宿三丁目イーストビル9階)
■登壇者:永瀬正敏(50)、スペシャルゲスト・LiLiCo(46・映画コメンテーター)、緊急参加:河瀨直美監督(48)*敬称略

本イベントが初対面の、永瀬正敏とLiLiCo

LiLiCo:実は、初めましてなんですよ。世の中のイケメンみんなに会っているのに、なんで永瀬さんに今まで会わなかったんだろう?避けてました?(笑)
永瀬:いやいや、そんなわけではないです(笑)
LiLiCo:そして、カンヌ国際映画祭での受賞、おめでとうございます!カンヌだけには留まらず、いろんなところで賞とか映画祭とかどうですか?
永瀬:ありがたいことに沢山オファーを頂いていて。近々ですと、7月に台北映画祭に招待していただける事になりました。僕と監督が行けるかどうか、まだわからないのですが。良かったらLiLiCoさんもどうですか?
LiLiCo:行っていいんですか! 言葉もいろいろしゃべれるし、おいしいところもたくさん知っていますよ。通訳でお願いします(笑)

LiLiCo、映画『光』の感想と、この映画の中で、特に心に残った台詞や言葉について

LiLiCo:映画って文化が違うと、少し理解できないことがあるのですが、この映画はないんですよね。
スクリーンに映し出される映像も素晴らしいのだけど、今回、こんなにも「言葉」に耳を傾けた事はありませんでした。この映画には強い言葉が沢山でてきて、言葉の「間」も大事な要素でした。
印象に残ったシーンは沢山あるけれど、雅哉が公園で子供たちにカメラを向けるところですかね。雅哉は将来一緒になるはずだった彼女と別れ、家庭を築くことを諦めた悔しさの中で、雅哉のそばに近寄ってくる子供たちに、笑顔を見せるんですよね。
私は、(主人公の雅哉は、美佐子には)最初から恋をしていると思うんですよ。
恋をしているけど、失ってしまっているから、色々言いたくなるんですよ。しかも、(雅哉は)写真家として賞をとったりする相当なプロフェッショナルでイケメンで、すごくモテてたと思うんですよ。だからすごい深いシーンだと思います。子供たちが笑顔をみせるけど、悔しい事に思うように撮れない。優しい彼もいると思うんです。私、この映画、違う見方しちゃってる(笑)?
永瀬:いえいえ。いろんな見方があっていい。でも、僕は、最初から恋している感覚はなかったです。その時の雅哉として生きるのが精一杯で。

LiLiCo:この映画には、沢山の光が登場しますが、私の場合は観終わって、数日経ってから自分の人生の「光」が見えた。そういう作品だと思うんです。 あとは、音声ガイドのモニター会で目の不自由な方が仰った「映画を観る時は、単にスクリーンを観るのではなく、もっと大きな世界に入り込んでいる感覚になるんだよ」というセリフ。私は、映画を紹介する立場として、みんなにそうであって欲しいと感じました。
映画って、ある人にとっては“大好きなもの”だとしても、その一方で“時間を潰す為のもの” だと思っている人もいる。「たまたま時間があいているから行こう」と言う人もいる。でも、私としては、みんなに映画の世界に入り込んで観てほしいですね。浸ってほしいです!映画は映画館で観るために作られているのでね。一緒に笑ったりする臨場感のために。DVDは永久保存版としてのまた別の楽しみでね。
映画コメンテーターとして、あのセリフは大きかったです。
永瀬:あれ、アドリブなんですよね。監督はあえて台本をみせずに、みんなで自由な意見を交わしたのです。その言葉を聞いて、僕も本当に身が引き締まる思いでした。

劇中の雅哉は命よりも大切なカメラを投げ捨てましたが、これまでに思い切って捨てたものはありますか?

永瀬:基本的にものは捨てない。失敗とかは、引きずっていられないなと思います。次にいかなきゃいけない時に、一回捨ててゼロにして明日・今日を迎えることは大事だと思います。
しいて言うなら、、よく落とし物をして失敗したなと思う事はあります。鍵、財布とか。
LiLiCo:一番落としちゃいけないものですよ(笑)!
LiLiCo:私は故郷スウェーデンを捨てたのだと思います。18歳で日本に来て、全く言葉のわからない国で頑張るっていうのは、そういうことだと。でも一回離れたことで、今は世界で一番美しい国だって思います。今や(故郷のスウェーデンは)私の中の「光」ですね。
なので、たまにスウェーデンに帰るときには、沢山「光」をあつめて、さらにパワフルになって戻ってきます。

手放してしまったことで後悔したものもありますか?

永瀬:小学校の時に捨て猫をひろってきて、内緒でベッドの下で飼っていて。翌朝おばあちゃんにどっかにつれていかれて、泣いたっていうぐらいですかね。
LiLiCo:私は、過ぎ去った男性はどうでもいいです。嫌いで別れている。未練を一切持たない人なんで。
MC:永瀬さんはどうですか?
永瀬:それ、俺に聞くんですか(苦笑)?
LiLiCo:私も聞いちゃいけないと思っていた!!(笑)
イベント最後、サプライズで急遽、河瀨直美監督が息を切らせながら駆けつけ登場。「映画は本当に国境を越えるし、人々をつなぐ間隔を共有できるから、駆けつけてよかったです」と一言あいさつをすると、会場からは大きな拍手がおき、満席の会場はさらに盛り上がりをみせたトークイベントとなりました。