この度、俳優 向井理が自ら企画し映像化を熱望した映画『いつまた、君と ~~』が6月24日(土)より全国公開されます。(配給:ショウゲート)

本作品の原作は、向井理の祖母・芦村朋子の半生記を綴った「何日君再来」。向井理が大学生のときに、祖母の手記をパソコンで打ち直し、家族や親戚と共に自費出版をして、卒寿(90歳)をむかえた祖母へお祝いとしてプレゼントしたもの。この原作をもとに向井理自身が7年前から映画化を熱望し、企画にも携わった意欲作。

衣食住もままならない戦後の混乱期、夫・吾郎(向井理の祖父)と妻・朋子が、時代の波に翻弄されながらも、日本人としての誇りを失わずに懸命に生きる、壮大な愛の実話となっています。現代の朋子が書き綴った手記を、孫の理が1冊の本にまとめていく過程で、過去を振り返っていく回想形式によって語られていきます。

キャストは、主演の芦村朋子役に尾野真千子。朋子の夫・芦村吾郎役に向井理、81歳となる現代の芦村朋子役に野際陽子、朋子の娘で理の母親である真美役に岸本加世子、朋子の父・忠役にイッセー尾形、朋子の孫・理役に、現役大学生で本作が本格的な俳優デビューとなる新人の成田偉心、吾郎の先輩で朋子と吾郎の恩人となる高杉幹夫を駿河太郎など。魅力的な勢揃いしました。さらに、女優・高畑充希が主題歌を担当し、朋子と吾郎を結ぶ“運命の愛の歌”となった昭和の大ヒット歌謡曲「何日君再来(ホーリージュンザイライ)」を現代版アレンジで、詩情豊かに歌い上げています。

この度、6月4日(日)に、本作映像化を熱望した向井 理が登壇する“プレミアム俳句イベント”が実施されました。本作劇中の印象的な場面で、夫・吾郎が妻・朋子のために詠んだ句が登場することにちなみ行われた本イベント。会場にお越しいただいたのは、日本伝統俳句協会ほか俳句を趣味とする方々。映画を見ていただいた後にその感想を俳句にしたためていただきました。正岡子規から俳句を教わった俳人・高浜虚子を曽祖父に持ち、俳人として高い評価を受けている星野高士先生が感想俳句を品評しつつ、向井さんからは映画の感想や現場秘話などを語っていただきました。

【日時】6月4日(日)15:30-16:10 実施
【場所】スペースFS汐留(港区東新橋1-1-16 汐留FSビル3F)
【ご登壇者】向井 理(35)、星野高士(64)

『いつまた君と〜何日君再来〜』のプレミアム俳句イベントが6月4日(日)に行われ、日本伝統俳句協会ほか、俳句を趣味とするお客様約150名が映画を観賞し、その感想を俳句にしたためた。イベントは、登壇した向井理の「こういうイベントは初めてなので楽しみたいです。よろしくお願いします。(お客様には)短い時間で俳句を作ってくださりありがとうございます!」という挨拶から始まった。向井と共に登壇したのは俳人の星野高士先生。星野先生は「映画を見て俳句を作ることはそうないので、非常に楽しみです。期待しております。今日お越しになった皆さんは、こうして向井さん本人を目の前にしたらまた一句作りたくなってしまうかもしれないねえ!」と述べた。本作は、向井の祖母である芦村朋子さんの手記を原作とし、企画から向井が携わった作品。そのことについて向井は「僕は言い出しただけで、脚本は山本むつみさんにお願いして、一番書いて頂きたい人に書いていただけましたし、深川栄洋監督にもご一緒していただけました。今このタイミングでできたことに意味があるのかなと思います。」星野先生は本作を見て「普段映画見て泣くことはないけれど、これはジワジワきてしまいました。いや~泣きましたね。だから、やっと本物の向井さんに会えて今日も寝られないかもしれないですね!向井さんはおばあちゃん孝行ですね。非常に感動しました。」向井の祖母との思い出は「10年くらいは一緒に住んでいました。中学の時に一緒にインドネシアに行ったことがあります。祖母はイタリアに3ヶ月一人で行ってしまったり(笑)。その時は絵を描いて帰ってきて個展を開いていました。」そして、今回演じた自身の祖父・吾郎さんについては「実は手記で知ったのですが、ユーモアのある方だったのかと思います。」と語った。星野先生は曽祖父に高浜虚子(たかはまきょし)さんがいらっしゃる、代々続く俳句の家系の出身。星野先生自身のルーツについては「7歳の時に虚子は亡くなっていて、記憶の片隅に覚えています。曽祖父の偉大さを今更ながらに感じます。私自身は私はおばあちゃん子でしたね。おばあちゃんは女流では初めて俳句雑誌を発刊しました。おばあちゃんの俳句を見て俳句の凄さを感じ、この道に進みました。」と語った。
今回のイベントは劇中の印象的な場面で、夫・吾郎が妻・朋子のために詠んだ句が登場することにちなみ、俳句を趣味とする方々にお越しいただき実施した本イベント。映画を見た感想を句として綴っていただき、沢山の生徒さんにご指導されており、「この映画を見て、全編で50句くらい作れるんじゃないかなと僕は思いました」と語る星野先生にお客様の俳句の品評をお願いした。

※挙手制にて向井・星野先生が交互に当てて、俳句を発表
・夏シャツや 道化厭わぬ 父であり(男性客)
客「涙腺止めるのがやっとで。原作も読みましたが映像だとこんなに違うんだ!とすごく感動しました。吾郎さんが道化師のように踊ってるシーンが、つらいことがあっても子どもたちの前では明るく振る舞ってるんだなと印象的だったので句にしました。」
向井「子供たちの前で(道化師のように)踊るシーンは当時活躍していた舞踏家の石井獏さんを真似ているシーンです。今回、撮影のために石井さんのお孫さんに踊りを習いました。祖父の役をやりながら石井さんのお孫さんとひ孫さんお二方に習いました。」
星野「いい句ですね。場面が見えるような句でいいなと思います。ですが、最後の”父であり”が言葉として強いですね。例えば”父もいて”とすると臨場感が出てさらに良いと思います。」

押し花に 想いを託し 母強し(女性客)
客「映画を見て泣きました。お母さんが子供置いて行くところとか、旦那さんがどうしようもなくても昔の女の人は我慢してついて行くところに感動しました。」
向井「“母”に関して、こだわったところとして、台本を作っていく中で、満州からの引き揚げ船でのシーンで、片桐はいりさん演じる子どもを失ったお母さんが出てくるシーンを残すか残さ無いかとなった時に、今仰られたシーンに意味合いが強くなるなと思い残してもらいました。」
星野「船のシーンはベスト5に入りますよね。俳句に関してですが、残念ながら季語が無いですね。”野バラにも 思いを託し 母強し”にするともっと良くなりますね。」

野茨の 真白き花を 形見とて(女性)
客「こんなにもご苦労されている人生があるんだということに衝撃でした。おばあ様の笑顔で支える強さに感動しました。」
向井「この映画は、僕の家族の記録を残したいのではなく、あの時代を生きた人たち、先人の苦労やその思いを今残していきたいという思いがあります。」
星野「”形見とて”というのがとても上手いですね。私なら”形見とし”。如何でしょう向井さん?」
向井「ただただ驚くというか納得です。すごいですね!」

愛妻と 引っ越し話 明け易し(男性)
客「劇中、夫婦で引っ越しを何回もされていたので、その情感を詠みました。」
星野「良い句ですけど、少し悲しすぎるかなと思います。“引っ越しも 愛妻として 明け易し”の方が愛情が出るかなと思います。僕もこの映画には愛とか心を感じました。」

さくら降る あなたと二人 良いの夢(男性)
客「夢のシーンもそうですが、尾野さん演じる朋子さんが娘を田舎に預けに行って「おかあさーん」と呼んでいるのに置いて行くシーンが辛いですが、生きていくには仕方ないという思いが感じられて感動しました。」
向井「幼少期に祖母(朋子)と別れた事を母は覚えていると言っていました。」
星野「私なら 追いし夢 にします。今というより夢を追った映画だったので」

俳句品評の締めくくりは星野先生の一句
・向ひ合ふ 千の谺(こだま)や 大夏野
星野「ずっと見ていて、風鈴、鯉のぼり、野いばらもあったりしましたが、イメージが強かったのは夏の野原に吾郎さんと朋子さんがいるシーンが印象的でした。千は俳句では「たくさん」を意味しています。いろんなメッセージが千に繋がっています。そして、この句、最初の一字が向井さんの「む」、最後の一字が尾野さんの「の」になってるんです。(会場拍手)ちなみに、最後の「の」は僕の名前 星野の「の」でもあるんですけどね(笑)」

最後に向井から「当時の大変な時代をのりこえてくれたから今の自分たちがいる思いで作りました。少しでも先人に思いを馳せてもいいのかなと思いました。よろしければ周りの方にお伝えください。」と映画への思いを一言。俳句を通じお客様と一緒に映画を楽しむことのできたイベントとなった。