8 月公開予定の映画『ロスト・イン・パリ』のトークショー付き日本最速試写会が、6 月 1 日(木)飯田橋アンスティチュ・フランセ東京内エスパス・イマージュにて開催され、抽選で選ばれた約 100 名の招待客が参加。盛況のうちに幕を閉じました。

今回、監督・脚本・製作・主演をつとめたドミニク・アベルとフィオナ・ゴードンが初来日。トークショーでは、ライター・編集者の小柳帝氏が聞き手となり、日本ではあまり知られていない両監督の作風や製作スタイル、今作のキャスティングや製作秘話を尋ねました。

道化師(クラウン)出身の彼らがなぜ映画を作るようになったか、という質問に対しては、「もともと舞台・映画関係なく、ただクラウンになりたいと思っていました。私たちにとっては、たびたび影響を受けてきた映画を製作するようになったのは自然の流れ。チャップリンやキートン、ローレル&ハーディーなどクラウン出身の映画監督たちが、コミカルさだけでなく世界観までもフィルムに焼き付けていったのと同じです。」と回答。

今作の舞台にパリを選んだ理由としては、「フィオナが住むカナダの田舎とのコントラストをつけるため大都市が必要だったし、私たちが実際にパリで出会ったということ、そしてこの街をよく知っていること」とのことでしたがロケ地選びには苦労したようで、劇中に出てくる橋ひとつ選ぶのにも「セーヌ川沿いの橋をすべてロケハンし何千枚も写真を撮り、美術スタッフやスタイリストと相談した」とのこと。なお美術スタッフとは小津、カウリスマキなどの映画を一緒に観て共通言語を築いてきたそうです。

また今年 1 月に急逝したエマニュエル・リヴァ(『二十四時間の情事』(59)、『愛、アムール』(12))については、「この作品が彼女の遺作となったことを光栄に思います。彼女は、今作で演じたマーサのように軽やかで楽しい人でした。」と語りました。

最後に観客へのメッセージを求められると、「私たちは、観客の皆さんも作品のパートナーとして大切な存在だと考えています。おいしいワインやおいしい食事を楽しむように、どうぞこの作品を楽しんでください。」と締めくくりました。
トークショーに引き続き行われたのは『ロスト・イン・パリ』の試写会。参加者たちはトークショーで高まった期待感そのままに、日本最速上映を堪能しました。イベントを終えて、参加者からは「とてもかわいらしい映画だった」「パリに行きたくなった」「トークショーで監督の人柄に触れてファンになった」などといった感想が挙がっていました