世界に先駆けてデジタルシネマにフォーカスし、次代を担う若手映像クリエイターの登竜門として 2004 年にスタートした「SKIP シティ国際 D シネマ映画祭」は、これまで、カンヌ国際映画祭で 3 冠に輝いたトルコの巨匠ヌリ・ビルゲ・ジェイラン監督を日本でいち早く紹介し、日本人監督においても、白石和彌監督(『日本で一番悪い奴ら』)、中野量太監督(『湯を沸かすほどの熱い愛』)をはじめ多数の若手監督が本映画祭をきっかけに羽ばたいていきました。
そして来る 7 月 15 日(土)~23 日(日)の 9 日間、本映画祭は 14 回目の開催を迎えます。
本日 6 月 1 日(木)、都道府県会館(東京・永田町)にて記者発表を行い、オープニング作品、長編・短編・アニメーション部門のコンペティション3部門ノミネート作品、特集上映企画をはじめとする全上映ラインナップを発表いたしました。詳細は下記の通りです。

特集「飛翔する監督たち」 と題し、日本映画界を牽引する若き才能たちの原点を上映!
今年の目玉企画のひとつとして、若手映像クリエイターの登竜門として開催してきた過去 13 回の歴史の中から、過去に本映画祭でノミネート・受賞を経験し、現在日本映画界の新鋭として活躍する 6 人の若手監督にスポットを当てた特集を開催します!
本映画祭では、過去に白石和彌監督(『日本で一番悪い奴ら』)が初長編作『ロストパラダイス・イン・トーキョー』で2009 年の長編部門 SKIP シティアワードを受賞、中野量太監督(『湯を沸かすほどの熱い愛』)が同じく初長編『チチを撮りに』で 2012 年長編部門監督賞・SKIP シティアワードを W 受賞、坂下雄一郎監督(『東京ウィンドオーケストラ』)は 2013 年の長編部門で『神奈川芸術大学映像学科研究室』が審査員特別賞を受賞するなど、日本映画の未来を担っていくと期待される監督たちが飛躍のきっかけを掴んでいきました。
本特集では、今となってはなかなか観ることのできない、彼らの原点ともいえる本映画祭での上映・受賞作品(長編 3 本、短編 3 本)を上映します。
また上映後には、各監督による Q&A の他、7/22(土)の『ロストパラダイス・イン・トーキョー』上映後には白石和彌監督、中野量太監督、坂下雄一郎監督の 3 名によるトークイベントも開催します!

【特集「飛翔する監督たち」上映作品】
『ロストパラダイス・イン・トーキョー』白石和彌監督(2009/日本/115 分)2009 年長編部門 SKIP シティアワード受賞
『チチを撮りに』 中野量太監督(2012/日本/74 分) 2012 年長編部門監督賞・SKIP シティアワード受賞
『神奈川芸術大学映像学科研究室』 坂下雄一郎監督(2013/日本/70 分) 2013 年長編部門審査員特別賞受賞
『It’s All in the Fingers』 石川慶監督(2009/日本、ポーランド/10 分) 2009 年短編部門ノミネート
『イチゴジャム』 庭月野議啓監督(2010/日本/32 分) 2010 年短編部門ノミネート
『ケンとカズ』 小路紘史監督(2011/日本/23 分) 2011 年短編部門奨励賞受賞

特別企画「Dシネマ―新たなる潮流」 注目のVR作品を国内外から集めて一挙上映!
VR(バーチャルリアリティ)元年と呼ばれた 2016 年。今年に入り、日本でも VR コンテンツが新たな映像技術として注目が高まっていることを受け、日本国内の映画祭としては初の規模となる、国内外から集めた VR 作品 6 本を実際に体験できる特別企画を開催します!映画祭会期中の 3 日間(7/16~7/18)にわたり、日本初公開の作品を含む全 6 作品を無料で鑑賞いただけます!
さらに連日 VR の制作・ビジネスに関わるゲストを迎えてのトークイベントも開催予定です。

【特別企画「D シネマ―新たなる潮流」上映作品】
『交際記念日』 監督:窪田崇 <2017 年/日本/15 分>
『ANIMA を撃て!』VR 特別編 <2017 年/日本/5 分>
『ナイト・フォール』監督:ジップ・サムハウド <2016 年/オランダ/8 分>
『二月の森』監督:マールテン・イサーク・デ・ヒーア <2015 年/オランダ/13 分>
『リビング・イン・パリ:エッフェル塔を望むシャイヨー劇場にて』 監督:ミシェル・レイアック <2017 年/フランス/4 分>
『ポンテイオ』監督:ミシェル・レイアック <2017 年/フランス/5 分>
※『ナイト・フォール』『二月の森』『リビング・イン・パリ:エッフェル塔を望むシャイヨー劇場にて』『ポンテイオ』の 4 作品の詳細およびトークイベントの詳細は後日追加発表いたします。

長編部門にはアルメニア、スロヴァキア、ネパール作品が初ノミネート!
海外作品はすべて日本初上映!海外9本、国内3本の計12作品がグランプリを競う!
長編部門では、85 の国・地域から集まった 617 作品から、厳正なる一次審査を経た 12 作品(海外 9 本、国内3 本)がノミネート! 14 回目にして初ノミネートとなったアルメニア、スロヴァキア、ネパール作品など、日本ではあまり公開されることのない世界の話題作をスクリーンで鑑賞できる貴重な機会です!
海外作品は、近年注目を集めるハンガリーから、難民問題を扱ったパワフルなドラマ『市民』、初ノミネートのスロヴァキアからは今年のベルリン国際映画祭ジェネレーション部門でクリスタル・ベア賞(最高賞)に輝いた、貧困の連鎖の中で懸命に生きようとする子どもたちを描く『リトル・ハーバー』、 フランスからは『最強のふたり』のフランソワ・クリュゼ主演の大人の人間ドラマ『ジャン=ピエールとナタリー』、中国からは、絵画のレプリカ制作で生計を立てる街・ダーフェンに生きる男の姿を追ったドキュメンタリー『中国のゴッホ』などがノミネート。
海外 9 作品全てが日本初上映となります!

オープニング作品は新星・服部彩加、小柳友主演。
堀江貴大監督が女性ダンサーの成長を描く『ANIMAを撃て!』をワールド・プレミア上映!
若手映像クリエイターの育成強化のため、若手監督を抜擢して映画祭実行委員会によるプロデュースのもと映画祭のオープニング作品を製作するプロジェクトも今年で3年目を迎えました。
今年のオープニング作品は、昨年の本映画祭長編部門に東京藝術大学大学院の修了制作『いたくても いたくても』がノミネートした堀江貴大を抜擢。
バレエ団に所属しつつも自分が本当に表現したい踊りを模索する女性ダンサーと、ドラマーの夢を諦めた青年が、コンテンポラリーダンスとドラムのセッションに挑む姿を描く『ANIMA を撃て!』を上映します。本作は本映画祭の地元・埼玉県川口市や、所沢市などで撮影が行われ、新星・服部彩加が見事なダンスシーンを披露。相手役には『トウキョウソナタ』『がじまる食堂の恋』などの小柳友。フレッシュな二人の爽やかな青春ドラマとなっています。
『ANIMA を撃て!』<2017年/日本>
彼のビートが教えてくれた、私だけのステップ。魂の躍動が響き出す!
クラシックバレエカンパニー「BAN」に所属する果穂は、留学支援のための試験に挑むものの、自分が本当に表現したい踊りを見つけられずにいた。果穂は、ホール職員の伊藤がドラム経験者だったことを知り、コンテンポラリーダンスとドラムのセッションで最終試験に臨むことに決める。
監督:堀江貴大 出演:服部彩加、小柳友、中村映里子、黒澤はるか、藤堂海/大鶴義丹
製作:埼玉県/SKIP シティ 彩の国ビジュアルプラザ ©2017 埼玉県/SKIP シティ 彩の国ビジュアルプラザ

国内の若手監督の力作が揃った短編部門!『合葬』の小林達夫監督、『-×-(マイナス・カケル・マイナス)』の伊月肇監督作品から、異色の時代劇ミュージカルまで幅広いラインナップ!
国内コンペティションとなる短編部門には、今年は 153 本のエントリーから 12 本をノミネート。
『カントリー・ガール』『合葬』で注目された小林達夫監督が移りゆく渋谷の街を川瀬陽太主演で描く『After Hours』、『-×-(マイナス・カケル・マイナス)』の伊月肇監督が少女と少年の小さな逃避行を描く『The Light Dances』、津川雅彦を主演に迎え、アラブ系の男と日本人の老人の間に起こったある出来事を短編ならではの見事な構成で描く『サイレン』、おなじみの水戸黄門を異色の“時代劇ミュージカル”に仕立てた『水戸黄門Z』など、バラエティ豊かなラインナップで最優秀作品賞を競います。

昨年話題を呼んだ傑作アニメーション映画2作品を上映、
映画賞を席巻した『湯を沸かすほどの熱い愛』のバリアフリー上映など盛りだくさん!
毎年恒例となっている「バリアフリー上映」(日本語字幕+音声ガイド付上映)では、今年の日本アカデミー賞最優秀主演女優賞をはじめ映画賞を席巻した中野量太監督の商業デビュー作『湯を沸かすほどの熱い愛』を上映!
さらに「長編アニメーション上映」では、昨年 11 月の公開以来、口コミで評価を伸ばし大ヒットとなった傑作『この世界の片隅に』と、文部科学省特別選定作品にも選ばれた名作『ソング・オブ・ザ・シー 海のうた』を上映します!

主催者、長編・短編・アニメーション部門各審査委員長コメント
記者発表では、主催者の上田清司実行委員会会長(埼玉県知事)、奥ノ木信夫実行委員会副会長(川口市長)、八木信忠総合プロデューサー、土川勉ディレクター、黒沢 清 長編部門国際審査委員長、桝井省志 短編部門審査委員長、小出正志アニメーション部門審査委員長の計 7 名が登壇し、映画祭開催への期待と意気込みを語られました。コメントは以下のとおりです。
○上田 清司 (実行委員会会長/埼玉県知事)
SKIP シティ国際 D シネマ映画祭から、素晴らしい監督や作品が世に出ている。今年はこれら活躍著しい監督たちの原点である、本映画祭での作品をまとめて特集として上映する。多くの監督がこの映画祭から出発して活躍をしていることに、自信と誇りを持っている。これからも多くのクリエイターが埼玉県、川口市に集まり、本映画祭が日本の映画界をリードするようになっていければ、心から嬉しく思う。
○奥ノ木 信夫 (実行委員会副会長/川口市長)
映像クリエイターの発掘・育成とデジタルシネマの普及を目的に開催してきた本映画祭も、今回で 14 回目を迎え、来年 15 回目となる。節目の年に向け、さらに躍進するための年としたい。川口市では、昨年度より本格的にシティープロモーションに力を入れ、選ばれるまちづくりの推進に取り組んでいる。映画祭で本市に足を運ばれる折には住んでみたいと思われるよう、皆様を迎えたい。
○八木 信忠 (映画祭総合プロデューサー)
撮影所での修行を経て監督になるという時代ではなくなってきている中で、SKIP シティから若い才能が巣立って欲しいという思いから、これまで映画祭や製作支援を続けてきた。14 年が経ち、ようやく注目される監督たちが出始めてきたので、今回はその監督たちを御紹介するため特集上映を行う。SKIP シティはこれからも日本の若い監督たちを支援して行くので、御協力をお願いしたい。
○黒沢 清 (長編部門国際審査委員長/映画監督)
自分自身が映画の好みがはっきりしているので、これまで映画祭の審査員という仕事はほとんど受けてこなかった。しかし一方で、今の若い監督たちがどんな作品を撮っているのかはとても気になっていた。今回、世界中の若い監督の作品を 12 作品観られるということもあり、思い切って審査員をお受けした。一体どんな映画と出会えるのか、期待と不安の中で身の引き締まる思いでいる。
○桝井 省志 (短編部門審査委員長/株式会社アルタミラピクチャーズ代表取締役、映画プロデューサー)
この映画祭では何度も審査委員長をやらせていただいているが、SKIP シティ国際 D シネマ映画祭は、行政と地元の方の支援を受け14回まで続けてきたということで、本当に実のある映画祭だと思っている。SKIP シティから羽ばたいた監督たちが世に出て、我々の仲間として頑張られているのを見ると、非常に心強く感じる。
○小出 正志 (アニメーション部門審査委員長/アニメーション研究者、東京造形大学教授)
アニメーションだけの映画祭は世界中にたくさんあるが、実写の長編・短編の部門と合わせてアニメーション部門がある、総合的な映画祭ということにこの映画祭の意義がある。アニメーション部門は今年でまだ 4 回目で、始まったばかりだが、この映画祭で見出された作家たちがどんどん出てくることを期待している。
○土川 勉 (映画祭ディレクター)
今年も長編部門には非常に多くの国から応募をしていただいた。日本ではなかなか観ることができない国の映画も上映するのでご期待いただきたい。また、本映画祭から巣立っていった監督たちの特集上映や、VRにフューチャーした特別企画など、多くのプログラムを組むことができたので、今年も皆さまに楽しんでいただける映画祭にしていきたいと思う。

<SKIP シティ国際 D シネマ映画祭 2017 (第 14 回)開催概要>
■会期:2017 年 7 月 15 日(土)~23 日(日)
■会場:SKIP シティ 映像ホール、多目的ホールほか(川口市上青木 3-12-63)
彩の国さいたま芸術劇場(さいたま市上峰 3-15-1) [7/16、7/17 のみ]
こうのすシネマ(鴻巣市本町 1-2-1 エルミこうのすアネックス 3F) [7/16、7/17 のみ]
■主催:埼玉県、川口市、SKIP シティ国際映画祭実行委員会、特定非営利活動法人さいたま映像ボランティアの会
■公式サイト:www.skipcity-dcf.jp

*前売券販売期間:6月2日(金)~7月14日(金)まで、セブンチケット、ファミリーマート、チケットぴあほかにて販売いたします。
*上映作品の詳細や、スケジュールなどは公式サイトでご確認ください。