メキシコ国境に壁を建設すべきとしたトランプ米大統領候補(当時)の主張に対し、社会は「壁ではなく橋を築くべき」と発言した現ローマ法王フランシスコ。実際に半世紀以上断絶していたアメリカとキューバの国交回復の仲介役となったり、他宗教・他教派との対話に積極的に取り組むなど、自らが「架け橋」となり、和解と共存で平和を構築しようとする姿勢が窺えます。そんな法王の姿勢の根底には、彼が若かりし頃を過ごしたアルゼンチン独裁政権下で多くの人々が犠牲となった試練の時代を生きた経験がありました。
本日行われた一般試写会のトークイベントには、フランシスコ法王を心より尊敬し、日本語訳が刊行されている書物は全て読破し繰り返し愛読しているという、将棋界のレジェンド“ひふみん”こと加藤一二三 九段がご登壇くださいました。

<一般試写会トークイベント>
■日時:5月29日(月) ■場所:なかのZERO 大ホール
■登壇:加藤一二三(将棋棋士、段位九段)

1,000人を超えるお客様がご来場の中、登場するなりその和やかなキャラクターで笑いを起こした加藤一二三 九段。暗黒のアルゼンチン政権時代、数々の試練を乗り越えて現職の法王となったフランシスコの半生に、勝負師として生きてきた自らを重ね合わせ「勇気をもらった。心から神に愛し愛されることがあれば、私も勝負の棋士として勇気を持って戦うことができる。慌てず落ち着いて、神がついているから大丈夫と思って名人になれた。どのように自分の使命を果たすのか、神が正しい判断力、知恵などを教えてくださる。ローマ法王はアルゼンチンタンゴやサッカーが好きな、親しみ深く人間的な人。しかし、法王になるまでは、政治が人権を弾圧するという多難な時代もあった。それだけに、法王に選出される選挙であるコンクラーベのシーンは泣けてきた。映画としても名画であり、法王の闘いの数々、勇気には感銘を受けた」とコメントしました。また、対局中に讃美歌を口ずさむという逸話について聞かれ、歌声を聴きたいと会場から拍手が湧き起ると、イスラエルでイエス様が生誕になった懐かしい場所を訪れたときのことに触れ、クリスマスソングとして有名な「きよしこの夜」を披露しました。

フランシスコ法王を心より尊敬し、日本語訳が刊行されている書物は全て読破、繰り返し読んでいるという加藤一二三 九段は、ローマ法王へのコメントを求められ、録画してスペイン語訳をし、バチカンへお送りすることを約束されると「法王様!本当に法王様の教えを何度も勉強している者です。法王様!どうかこれからも健康でいつまでも私たちを導いてください。宜しくお願い致します」と敬愛するローマ法王へ向けて語りかけ、「この映画はあと5回は観たいです」とコメントしました。イベントの最後には“ひふみん”お得意のキリスト教クイズで、場内は大いに盛り上がりました。