『BLAME!』花澤香菜(シボ役)、瀬下寛之(監督)、吉平“Tady”直弘(副監督)、岩浪美和音響監督 豪華キャスト・監督陣登壇
講談社『アフタヌーン』にて 1997 年から 2003 年に連載され、『シドニアの騎士』で第39回講談社漫画賞を受賞した弐瓶勉氏のデビュー作『BLAME!』。20 年の年月を経てついに映像化された劇場アニメ『BLAME!』全国27館という小規模のスタートながら、ミニシアターの興行成績で NO.1 という好調なスタートをきっております!
本日(5/27(土))、新宿ピカデリーにてシボ役の花澤香菜さん、瀬下寛之(監督)、吉平“Tady”直弘(副監督)、岩浪美和音響監督をお迎えし、<シボ祭>を開催いたしました。
『BLAME!』シボ祭 舞台挨拶 ※16:00の回上映後
■日 程:5月27日(土) ■時 間 17:55~18:25 舞台挨拶(30分予定)
■場 所:新宿ピカデリー スクリーン3 (東京都新宿区新宿3丁目15番15号)
■ゲスト:花澤香菜(シボ役)、瀬下寛之(監督)、吉平“Tady”直弘(副監督)、岩浪美和音響監督(予定)
公開2週目ながら、超満員で迎えた本日の舞台挨拶! 本作のイベントでは初となるシボ役の花澤香菜さんが「みなさん、シボ祭りへようこそ! みなさん、シボは好きですか?」と客席に問いかけると、観客からは大きな拍手と歓声がおきた。また本日、白いドレスを着て登場した花澤さんを岩浪音響監督らが「一輪の白百合のよう」と絶賛するも、「さっきまでクリオネとかウミウシとか言ってたくせに(笑」」と反撃する花澤さんの姿に、会場は大爆笑する明るい雰囲気のトークイベントとなりました。
――シボ役について
花澤:(シボはゾンビから、210 センチ、手と)本当にいろんな形に変わっていくので、どんな距離感でどう喋るか想像しづらかったです。でも原作があったおかげでイメージができて助かりました。原作にショートカットの研究者時代の彼女が出ていて、あの漫画の中のあの人の声でおしゃべりするように意識しました。「うー、うー」ってうなり声はどうしようか?
といろいろ試しました(笑)。「手」になったことないですしね(笑)
(※岩浪音響監督のリクエストでゾンビのシボの声を「キリイ…(笑)」と実演! 会場は笑いに包まれる)
――画のない状態のプレスコで収録したことについて
花澤:(画がないので)ここまで自由にしていいんだなぁ? という感じでした。
瀬下監督:基本、プレスコ用の台本があって、そこにト書きが山のようにあるんです。それと僕らの説明だけでやっていただくけど画がないので、役者さんの想像力に頼っている部分が多いです
花澤:でも、監督からはすごくたくさん説明していただけました!
岩浪音響監督:普段、セリフの間尺が決まっているけど、画がない分、自由に演じられるからね。
花澤:自由にできました。言い回しや間の取り方も自由で楽しかったです。
岩浪音響監督:(本編の)会話のテンポも、収録時のテンポを拾って作ってます。
吉平副監督:生の演技の息づかいも含めて、映像に入れています。意外と、ゾンビの時の方がセリフ多かったですよね(笑)。
瀬下監督:(最初のゾンビ状態を)「腐れシボ」って呼んでました。
――花澤さんのシボについて。アニメーター、スタッフたちの評判は?
瀬下監督:人気あるに決まってます!
吉平副監督:(花澤版シボに対する)愛があり過ぎて…ゾンビなのに、いろいろ動いたり(笑)。
瀬下監督:少しでもかわいくしようというアニメーターの愛があふれてますね。カメラアングルとかでも。
――好きなシボのシーンについて
瀬下監督:僕は、接続してアクセスするシーン。上にわざわざ乗るところがいい(笑)。設定では、歩く感じじゃなかったけど吉平副監督が「監督、歩かせていいですか?」っって言ってきた。
吉平副監督:いちいち降りるってカッコ悪いので、モデルウォークして上らせるようにしました(笑)。
瀬下監督:モデルウォークするのが見たくて「いいよ」って言いました。
岩浪音響監督:(ゾンビのシボの)この顔を見て誰も花澤香菜を想像しないでしょうね…。
花澤:(霧亥による)最初の扱いは酷い!
瀬下監督:「昭和のテレビの治し方!」って言ってます(笑)。基本、そういうところは一切、ツッコまない。放置のアニメですから、ツッコむことなく「長かったわ」って始まる。
花澤:最初に画がついてたら、ツッコミたくなってました。プレスコでよかったかも(笑)。
瀬下監督:この腐れシボが接続するときは、ハードSF感を思い切り出しました。スタイリッシュさ前面に出したグラフィックで。
――シボの胸の描写について
瀬下監督:柔らかいんです。アニメの中でもゆれてます。これは弐瓶先生の最初の設定の指定で「パイリアルエンジン」仕様ってなってます!
花澤:柔らかくてよかったです…(苦笑)。
――シボのライティングについて
吉平副監督:青い海のようなシーンがありますが、非現実感を出したくて、より実在感があるような、ないような半幽霊のようなことやりたくて、色彩、トレス線、髪のなびき方など非現実的なライトになっています。上からライトが当たっているようで、実は下からとか。
岩浪:絶対に実写でできない、ありえないライティングですね。
吉平副監督:顔の半分だけ明るくて半分が影になっているのは、この後、シボは何をしたいのかがわかんない――その二面性を“TWO FACES”で表してます。
――手だけのシボについて
(※花澤、岩波音響監督のリクエストで再び「手」のシボを実演!)
吉平副監督:この「手」シボの動きは、虫みたいな雰囲気も残しつつ、リアルなロボットの動きも取り入れてます。
瀬下監督:ある映画の有名なキャラのオマージュが動きに入ってます
吉平副監督:バレリーナの手の動きもモデルにしてます。
瀬下監督:シボは、意外と重要なことをやってるんで。あえてわからないようにしてることがいっぱい仕込んであります。
吉平副監督:ラストの霧亥とのお別れシーンに秘密があります(笑)。監督にも言ってない演出もまだいっぱいあります。
瀬下監督:僕もまだスタッフにも言ってないことが、まるで自主製作映画のようにいっぱい入ってます(笑)。
――最後に一言ずつメッセージ!
岩浪音響監督:今回、音のいい映画館で展開してます。映画館はいずれなくなるかもしれません。本屋、CDショップ、テキスト、音…その次は映像ですから、シャレにならない。でも、映画館で映画を見る文化、娯楽を残したいでし。映画館でしか体験できない音を聴かせたいと思いました。全ての映画館でいい音を響かせて、映画館で見ないとクリエイターが作ったものが体験しえない娯楽を作りたいと思ってます。今回の作品は、その試金石とも言えるもので、ドルビーアトモスで作らせていただき、個人的にはアニメーションの音響革命の第一歩だと思ってます!
花澤:作っているスタッフさんのワクワク感――「ここに、こういうのを入れて…」「どうだ!」ってスタッフさん同士でもわからないことがたくさんあったり、遊び心たくさん入ってて素敵な作品で、そんな作品に関われたことが嬉しいです。
吉平副監督:今回の作品は、「劇場公開」ということを重く受け止めて作ってます。劇場でどんな感動あるか? それを意識して、監督にもまだ伝えてないいろんな演出があり、宝箱のような作品になってます。何度も見てもらっても、物語はもちろん、ひとりひとりの登場人物を追いかけても、「なぜその時、そうしたか?」がわかる演出をしてます。
瀬下監督:映画を観終わった満席のお客様の前で、自分たちの作品の話を一緒にできるって、幸せです。こういうこと続けさせていただけてるのは応援してくださるみなさんのおかげです。