町山智浩「アメリカのスーパーヒーローものでは描けないキャラクター!」と 敵役・ジンガロの虜に! 樋口毅宏「全編を通して日本アニメへのリスペクトを感じる作品」と絶賛!
5月17日(水)、都内で『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ』のトークイベント付き一般試写会が開催され、映画評論家・町山智浩さんと作家・樋口毅宏さんがサプライズゲストとして登壇した。
本作は永井豪原作アニメ「鋼鉄ジーグ」をモチーフにして作られたイタリア発のダークヒーロー・エンターテインメント。2016年のイタリア・アカデミー賞と呼ばれているダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞で、長編デビュー作ながら 16 部門にノミネートされ、結果的に新人監督賞を含む最多 7 冠受賞という快挙を果たした快作である。
作家・樋口毅宏さんは冒頭から「子どもの頃はじめて買ってもらった超合金ロボが、アニメ「鋼鉄ジーグ」で、すごく思い入れの強い作品」と興奮気味に語り始め、また「この映画は全編を通して本当に日本アニメへのリスペクトを感じる作品」と絶賛。それに対し町山さんの見方は、「日本アニメのリスペクトを感じつつも、これはヤクザ映画。2008 年に公開された衝撃作『ゴモラ』でも描かれていたイタリアにいる世界最悪のヤクザ・カモッラに立ち向かう地元のチンピラが、ヒーローになる作品」と解説。
また町山さんが、作品を鑑賞した直後から敵役・ジンガロを面白がっていることに樋口さんが触れると、そこから2人は敵役・ジンガロの話題で大盛り上がり!樋口さんの「彼は主人公よりキャラが立っている!」との言葉を発端に、町山さんが「キャラがすごく濃くて、何も考えてないところがめちゃくちゃおもしろい。」と語りはじめ、「彼はアメリカのスーパーヒーローものには絶対に登場できないキャラクターで、すごくおもしろい」と、すっかり敵役・ジンガロの虜に。さらにジンガロのキャラクター設定にもふれ、“イタリアン・ポップスのオタク”“80 年代の歌謡曲ばっかり歌うヤクザ”と次々に例えていく町山さん。さらにヒートアップし実際に町山さん自ら、観客がイメージしやすいように日本の80年代の歌謡曲を口ずさみながらジンガロを分析したところで、会場にはドッと笑いが起こった。そんな町山さんの発言に終始同調しながら、樋口さんもジンガロに対して「日本の小学生かよ!」と思わず突っ込んでしまうほどの盛り上がり。
このような映画の感想はもちろんのことアニメ「鋼鉄ジーグ」が放映された当時の日本のテレビ事情から、昨今多く見かけるようになった日本アニメにオマージュを捧げる海外作品についてのお話し、さらには 2020 年のオリンピックの話まで、あらゆるテーマを縦横無尽に駆け巡りながら、終始 2 人の本作への愛が感じられたひと時。サプライズゲストとして登壇した 2 人のトークを聞いた観客にとっては、まさに“胸熱”な時間となった。