映画『永い言い訳』トロント国際映画祭でワールドプレミア!西川美和監督登壇に拍手鳴り止まず!
『ゆれる』『ディア・ドクター』『夢売るふたり』の西川美和監督が、『おくりびと』以来7年ぶりの映画主演となる本木雅弘を迎え、直木賞候補となった自らの小説を映画化する最新作『永い言い訳』(アスミック・エース配給)が10月14日(金)より公開になります。
人気作家の津村啓こと衣笠幸夫(きぬがささちお)(本木雅弘)は、妻・夏子(深津絵里)が旅先で不慮の事故に遭い、親友とともに亡くなったと知らせを受ける。まさにその時、不倫相手と密会していた幸夫は、世間に対して悲劇の主人公を装うことしかできない。そんなある日、妻の親友の遺族——トラック運転手の夫・陽一(竹原ピストル)とその子供たちに出会った幸夫は、ふとした思いつきから幼い彼らの世話を買って出る。子供を持たない幸夫は、誰かのために生きる幸せを初めて知り、虚しかった毎日が輝きだすのだが・・・
主人公の幸夫役に『日本のいちばん長い日』『天空の蜂』での演技が高い評価を得て、昨年度日本アカデミー賞最優秀助演男優賞等を受賞した本木雅弘。その他ミュージシャンの竹原ピストル、池松壮亮、黒木華、山田真歩、堀内敬子、深津絵里など、屈指の実力派俳優が脇を固め、ひとときも見逃したくない緊張感と豊かさにあふれた映画空間を創り上げます。
このたび、『永い言い訳』が第41回トロント国際映画祭のスペシャル・プレゼンテーション部門に出品され、9月17日(土)(※カナダ時間)に華々しくワールドプレミアが実施されました。現地には西川美和監督が登場、上映後のQ&Aに答え、満場の客席から拍手喝采を浴びました。
トロント国際映画祭は、1976年に始まり毎年9月にカナダの最大都市トロントで開催されている映画祭。今年はセレクターが世界各地に足を運び、厳正なる審査の上で選んだ296本が上映されました。『永い言い訳』のワールドプレミア試写は現地時間9月17日(土)18時30分よりTIFF Bell Lightbox Theater 1(523席)にて上映。多くのカナダ人で埋め尽くされた客席は満席。冒頭、映画祭ディレクターに促されて登場した西川監督が、「前作『夢売るふたり』以来、4年ぶりのトロント映画祭です」と挨拶。上映中は、冒頭からさっそく笑いが起こり、子どもたちと出会うことで生まれる主人公・幸夫のコミカルな表情や動き、子どもたちの生き生きとした演技が画面に映し出されるたびに、温かな笑い声と感嘆の声があがりました。物語が終盤に向かうにつれ、映画に集中する空気が劇場を包み、エンドロールが始まるやいなや、会場では温かな拍手が鳴りやみませんでした。
上映後の質疑応答では、興奮した観客から次々と質問が飛び、「素晴らしい作品。大好きです」「大変すぐれた完璧な映画」などと賛辞を贈られると、西川監督にも笑みがこぼれ、客席との間に優しく温かい交流が生まれていました。Q&Aの後も西川監督はサインや写真撮影を求めるファンに囲まれていました。
Q&Aの概要は下記のとおり。
①子どもたちが素晴らしかった。キャスティングについて。
「主に演技経験のない子供たちを約300人集めてオーディションし選んだ2名です。(真平役の)藤田健心は実際にも下に兄弟のいる長男で、面倒見の良い少年。(灯役の)白鳥玉季は映像に映っていた通り、天真爛漫、自由奔放。春、夏、冬と撮影しましたが、春はまっすぐ歩くことすらできない、セットを壊す、助監督にかみつく、と現場は崩壊していました(笑)。」
②本作の主人公をどうして小説家にしたのか。
「作家という職業に限らないが、死別という経験を自分の人生でも何度か経験しているけれど、後悔を遺さなかったかたちが今までないのです。それは物語を作る人間だからかはわかりません。この物語を思いついたのは、2011年の暮れ。日本では大きな震災と津波の被害、原発事故などがあった年です。ああいうことが起きた時にいかに日常が一瞬で壊れるか、手からこぼれおちるかというのをショックを受けて実感したと思います。そんなとき、身近にいる大切な存在といい関係性のまま最後のお別れをした人たちばかりではなかっただろう、と思い、この物語を発案しました。そんな別れを経験した人の複雑な後悔を表現するには、“作家”という設定であれば、映画のなかでも言葉豊かに表現できると思ったのです」
③ロケーションについて。様々な場所で撮影しているが、具体的に説明を。
「多くは東京で撮影しています 幸夫のマンションは世田谷区の瀟洒なマンションです。子どもたちがすむ団地は千葉県にある実際にたくさんの家族が住んでいる団地をお借りしました。夏に家族が遊びに行く海は千葉の九十九里浜です」