文化芸術の街「上野」と喜劇発祥の地「浅草」を舞台に繰り広げられるコメディ映画の祭典「したまちコメディ映画祭in台東」(略称したコメ)。今年も2016年9月16日(金)〜19日(月・祝)に「第9回したまちコメディ映画祭in台東」を開催致します。「したコメ」は、東京随一の下町(したまち)の魅力をコメディ映画を通じて存分に味わっていただく、いとうせいこう総合プロデュースのコメディ映画祭です。
「名探偵誕生」は1976年日本で公開し、1981年にテレビ放送されました。当時声優を担当した羽佐間道夫さんをお呼びし、当時の声優陣の貴重な裏話をご紹介して頂きました。

●実施日時:9月18日(日) 
●場所:東京国立博物館平成館
●ゲスト:羽佐間道夫、とり・みき

■羽佐間道夫:
何年振りかわからない位、久しぶりにこの映画を観ました。もう当時一緒に声優を務めたほとんどの方が亡くなっておりまして懐かしいですね。当時は声優学校はなくて舞台やラジオで語りを行い、言葉を使う経験が豊富な方が多かったので皆さんセリフがスムーズでした。今の時代の人々とは学び方が違うな、と思います。また今は機械が発達したので名前を呼ばれて一人で行うような形ですが
当時は1ロール28分回し続けるので会話を続けることを大切にしていましたね。なので台詞を噛むこともなかったですね。今は機械が
発達したので一人ずつ行いますが、昔の方がアドリブが出来たのでセリフが面白かったですね。
私はこの映画でピーター・セラーズさんの吹き替えを担当したのですが、他に同じ役者で『ピンクパンサー』という映画で
も吹き替えを担当しキャラを演じ分けるのが大変でしたね。日本語と中国語を曖昧にした感じに使いキャラを変えていました。賛否両
論でオンエアするたびにテレビ局にクレームがきていたらしいです。
(共演した千葉耕一さんについて)セリフ回しが素晴らしく聞き惚れていました。千葉さんは怪奇なキャラクターを演じている事が大方で
すが本人も独特な雰囲気を持っており催眠術が使えました!眠くなる、と言われると皆寝てましたね。何人かウソの人もいましたが寝
ないと千葉さんの機嫌が悪くなるので皆寝てました(笑)
(共演した滝口順平さんについて)いたずら好きな人で女優さんの椅子におもちゃの蛇を置いて驚かせて本人は大笑いしていました。テスト中は行わず本番に限っていたずらし、笑ってしまうと全員がやり直しになってしまうので笑いをこらえるのに必死でしたね。
(共演した小池朝雄さんについて)スタジオに食堂があったのですがいつもカレーを注文し「ここのカレーは一番おいしい!妻が作るものよりもおいしい!」と言っていましたが、厨房を観るとレトルトのカレーだったんですよ(笑)その後別の映画で共演した際本人は知らずに同じことを言っていたので食べ物音痴じゃないかと思いました。
(テレビ放送担当したプロデューサーについて)変わった人ですね。ロッキーで選ばれたのですが、声のタイプが違うんですよね。私の声のタイプと違いましたが、プロデューサー誰にするか困ったということで机の上に声優の紙を広げて、サイコロを振って当たったのが私らしいです(笑)裏話はもっとあって3日でも4日でも足りないですね。

■とり・みき:
(羽佐間さんが昔の吹替えは面白かったということに対し)今は映画会社も厳しくはなっていますし、地上波で洋画をオンエアすることが少なく字幕通りに吹替えしなければいけないのでアドリブはできなくなりましたね。
(羽佐間さんがピーター・セラーズさんを演じ分けていたことに対し)オリジナルでも中国語のニュアンスを残した英語でセリフを言っておられたので、個性あるキャラクターをその雰囲気を残し表現し伝えることが大切だと私は思うんですけどね。