『海炭市叙景』(10’/熊切和嘉監督)、『そこのみにて光輝く』(14’/呉美保監督)に続く、孤高の作家・佐藤泰志原作の函館三部作最終章『オーバー・フェンス』がこの度、
9月17日(土)にテアトル新宿他全国公開します!(配給:東京テアトル+函館シネマアイリス(北海道地区))
原作者・佐藤泰志が執筆活動を諦めかけた頃、函館の職業訓練校にて過ごした自身の経験を基に執筆し、生涯最後の芥川賞の候補となった同名小説を、『マイ・バック・ページ』『味園ユニバース』など闇を抱えた人間たちに柔らかな光を与える名手・山下敦弘監督が映像化。キャストは、主人公・白岩役にオダギリジョー、白岩と恋に落ちる女性・聡(さとし)役に蒼井 優、白岩と同じ職業訓練校の生徒・代島役に松田翔太など豪華キャストが出演。ほか脚本に高田亮、音楽に田中拓人、撮影に近藤龍人、照明に藤井勇と国内外で高く評価された『そこのみにて光輝く』のスタッフ陣が再集結。邦画界を支えるスタッフ・キャストが圧倒的な底力で紡いだ、壊れかけた男と女の愛の物語が誕生しました。
そしてこの度、公開を記念しまして、9月14日(水)に“野郎だらけ”トークイベントを行いました!劇中、職業訓練校に通う勝間田を演じた山下敦弘監督、脚本の高田亮さん、職業訓練校の生徒のひとり島役を演じた松澤匠さん、鈴木常吉さん、中野英樹さんが登場!“野郎だらけ”でぶっちゃけ曝露トークを展開。また「深夜食堂」のテーマ曲の歌い手としても有名な鈴木常吉さんが、同曲を歌ったほか、本作の挿入歌「とんでいけ」をアコーディオンで演奏、山下監督が歌いあげるという貴重なセッションもあり、会場は大盛り上がりとなりました!

【日時】 9月14日(水)19:30〜21:30(120分)
第一部 トークイベント 19:30〜20:20 (20:20〜20:40 休憩)
第二部 ライブイベント 20:40〜21:30
【場所】 新宿Naked Loft(新宿区百人町1-5-1)
【ご登壇者】山下敦弘監督、高田亮(脚本)、松澤 匠、鈴木常吉、中野英樹
  MC:渡辺直樹(助監督)

【イベントの様子】
山下:今日はありがとうございます。「ボクらの時代」(オダギリ・蒼井・松田が宣伝で出演したトーク番組)には出られなかったけど今日は裏話いっぱい話します!
松澤:実は前に、素性を隠して今日のチケットの状況を確認したらたくさん余ってるって言われて心配になったんですよ!初日舞台挨拶のチケットは10分で完売したのに!でも、結果たくさん来ていただいてありがとうございます!
 中野:今日は飲んでべろべろになってください!
(まずは、登壇者、お客さんとともに全員で乾杯!)

渡辺:オール函館ロケについてお話しましょう。
山下:2か月弱みんなで合宿しましたね!
松澤:百姓一揆っていう焼酎にみんなでハマって、毎晩買ってましたね。満島くんは寝ないっていう役作りをしていたので、毎晩誰かしら満島くんに付き合っていましたが、その役作りが映画によく反映されていましたね。あと、僕は俳優としてあるまじきですが、撮影中に風邪を引いてしまったんです。翌日は僕の見せ場のシーンだったのでやばいなと思って。バレたくないので、ホテルの人に内緒で相談したら、裏口に車を用意して病院まで送ってくださったんですよ!で、点滴を打ってもらいました。その人には頭が上がらないですね。
 山下:みんなで焼き肉を食べるシーンだよね。
 松澤:そうです。全然焼き肉食べたくなかった(笑)
鈴木:僕の思い出は、翔太くんが無理やりオダギリさんのおごりってことで飲みに行ったことがあって。高かったらしくて、後から「ぼられたんじゃないかな」ってつぶやいてたことかな(笑)
 山下:翔太くんと常吉さんは仲がよかったですよね。
鈴木:よく見ているといいやつなんだよね。代島っていう役柄と翔太くんがだんだんかぶって見えてきましたね。仲は良いですよね。
山下:ムードメーカーですよね。気を遣うというか。
鈴木:勇気があるんだよね。なかなかオダギリさんには話しかけられない雰囲気だったよね。
山下:現場ではいつもはポツンとしているけど、今回は違いましたね。
中野:僕は教官役だったので、あまりみんなと飲むことはなかったですが、たまに会ったらロビーで一緒に飲みましたよ。ソフトボールを生徒に教える役だったので函館中のグラウンドを探して、一人でノックしてひたすら球をとりにいく…みたいな練習をやってましたよ。ある日その帰りにホテルに戻ったら優香さんのクランクアップの日で、プロデューサーの星野さんが今から優香さんとお寿司食べに行くって言うので、一緒に行ったことがありました。貴重でしたね〜
ZICCO:僕の思い出は…誰も映画を観て僕が出ているシーンに気づくことはないと思うんですけど、率直に言うともっと出たかったです(笑)方言指導なので、ずっと現場にいましたが、プロデューサーから夜の指導はお前だ!と言われて。お店のご案内とかしましたよ。

渡辺:先日放送された「ボクらの時代」に出演した人が今日はいないので、欠席裁判じゃないですけど、今だから言えるあの人たちってどんな人?っていう話をできればと。まずオダギリさんはいかがでしょう?
山下:現場でのオダギリさんは淡々としていて、欲がないような感じで芝居をしていました。以前にもお仕事しましたが、その時は常に現場で一人だったんですよ。でも「オーバー・フェンス」の時は、翔太くんの人柄もあって毎晩みんなで飲んでました。周りがつぶれてもガンガン飲んでるんですよね。お酒の強さは本当に凄い!
松澤:僕は共演したのは初めてでしたが、意外にも上下関係のことにしっかりしているっていうのを知りました。ある時、みんなで飲んでて、さて二次会行くぞ!お店どこにしよう?って時があったんですよ。そしたらオダギリさんが、現場にいた一番若い子にこそっと「こういう時には探しに行くべきじゃない?」って言ってて。オダギリさんにそういうことをさせてはいけないとその時に思って、後からそいつを怒りました (笑)
鈴木:俺はオダギリさんには親切にしてもらったよ。話しかけてくれるんだよね。みんなでダラダラするシーンの撮影中、本番なのに「常吉さんはどこに飲みに行ってるんですか?」って話しかけてきて。こっちは本番だから話しかけてほしくないのに。でも面白いから話しましたね、そういうシーンだったし。俺はオダギリさん好きですよ。
中野:「オーバー・フェンス」の後、オダギリさんと別の現場でご一緒したんですよ。あとで写真撮らせてくださいって言われて。これを「オーバー・フェンス」のLINEで回しますんで、って。
松澤:そうそう、見ましたよ。
鈴木:オダギリさんに LINEやってるか聞かれたんだけど、それのことか!
山下:意外ですよね。函館という場所の開放感というか、合宿っぽい雰囲気だからかな?スタッフもキャストもみんな同じホテルでしたしね。

渡辺:蒼井さんはどうですか?
山下:卑屈な感じがしましたよね、私なんか、私なんか、みたいな感じ(笑)
渡辺:わりとパブリックイメージに近いかもしれないですね。
山下:「ボクらの時代」は僕も見てましたが、翔太くんに可愛いって言われて照れてるのが可愛かったですね。卑屈なんだけど、女性らしいところがあって、時々キュンと来る。
渡辺:それも含めて、うちの組の姫だなと思いました。俳優チームからはいかがですか?
松澤:九州っぽい女性というかツンとしているように見えてツンデレというか、誰にでも“やってあげる”精神がありますよ。
高田:そういえばみんなで行ったカラオケで歌ってたら、途中で消された!(笑)
ZICCO:僕もありましたね。「上を向いて歩こう」歌ってたら止められた!(笑)
山下:蒼井さん、カラオケ好きなんですよね。
鈴木:俺はそんなに話をしなかったけど,打ち上げの時に隣に来て話しかけてくれたことがあったよ。僕は面倒な人が嫌いなんだけど、蒼井さんはいいなって。お人形さんみたいな人じゃないでしょ。でも、カラオケでヒドイこと言われたことがあった(笑)何だか分からないけど、場所変えても隣に来るんだよね。いろいろ言われたけど、蒼井優に何かあったら守ってあげるよ!

渡辺:高田さん、ご自身が書いた物語を俳優さんたちが演じるのをご覧になって、いかがですか?
高田:僕は書き終えるとすぐに観客になっちゃうので、普通に感動しちゃいました。見終わって、監督にこのシーンいいですね〜とか自分の感想を言ってましたね。キャストのみなさんには、セリフとセリフの間の微妙なニュアンス、感情の移り変わりをしっかり演じていただいて、良かったですね。