映画『怒り』トロント国際映画祭:渡辺謙、トロントで男泣き!宮崎あおい、流暢な英語でスピーチ、1400人のスタンディングオベーションと拍手喝采!!
2010年、原作・吉田修一×監督・李相日で挑んだ映画『悪人』は、第34回モントリオール世界映画祭ワールド・コンペティション部門では最優秀女優賞を受賞。興行収入20億円の大ヒットを記録し、第34回日本アカデミー賞全13部門15賞受賞、内、最優秀賞主要5部門を受賞。このほか、国内外で多数の映画賞を受け、世界で高い評価を得る名作となりました。
そして、その大ヒットチームが再集結し、新たに挑戦する意欲作『怒り』。
八王子で発生した陰惨な殺人事件。被害者のものと思われる血で書かれた「怒」の一文字と、逃亡を続ける犯人。一年が経過しても犯人の有力情報は得られぬまま、事件から生まれた疑いが日本中に広まり、人々の“信じたい”気持ちに歪みを与えていく。前歴不詳の3人の男と出会い距離が縮まる3組の登場人物たちは、信じたはずが一度生じた疑いから逃れられず“信じる”“疑う”と対極の感情の間で揺れる。行き着く先は救いか破滅か。そして信じた先の“怒り”は凶行を生み思わぬ形で殺人事件を解き明かしていく。
本作では、主演の渡辺謙をはじめ、森山未來、松山ケンイチ、綾野剛、広瀬すず、宮崎あおい、妻夫木聡など豪華で実力のある俳優陣が新たな境地を開いており、おおきな本作の見所となっています。
行き場のない感情に葛藤する3組が織り成す群像劇は李相日作品の真骨頂として、現代社会に深く沁み渡る感動作となり、日本映画史に残る新たな最高傑作がここに誕生しました。
この度、映画『怒り』が9月17日の日本での公開を前に、第41回トロント国際映画祭スペシャル・プレゼンテーション部門に出品され、本編で父娘を演じた渡辺謙、宮崎あおい、そして李相日監督が招待を受け、9月10日(土)(現地時間)にプレミア上映を行いました!
トロント国際映画祭は、1976年より開催され、世界最大級の映画市場である北米にとって欠かせない映画祭に成長し、例年300本以上の作品が上映されます。ベルリン国際映画祭、カンヌ国際映画祭に次ぐ規模の来場者数32万人を集める、北米最大の映画祭です。
9月10日(現地時間)の公式上映にあわせて、主演の渡辺謙と宮崎あおい、李相日監督は現地入りし、上映に先駆けてトロント市のシンボルであるCNタワーが一望出来るトロント市の名所“センターアイランド”を訪れました。トロントの印象について渡辺は、「アメリカのパブリシストとよく話をするとき、行くならトロント映画祭だと。マーケットに対しての影響力が一番大きな映画祭だと聞いていたので、賞を獲るということではなく、世界中からこの地に集まる映画人に『怒り』を観ていただく。そういう意味では非常に価値のある映画祭だと思います。」とコメント。過去にトロントへ留学経験がある宮崎は「13〜14年前にホームスティをしたことがあったのですが、家と学校の往復のみでほとんど観光をしたことがなかったんです。昨日監督と夜の街をフラフラ歩いたのですが、人がたくさんいて活気のある街だなと感じました。思い入れのあるトロントに映画祭で戻ってこれて、すごく贅沢で嬉しい気持ちです。」と、感想を語りました
また上映を前にして渡辺は、「日本の方が見ても非常に簡単に答えが見つかるような映画ではないので、外国の方がどうのように受け止めてくださるのかとても興味深いです。」と期待を膨らませていました。
センターアイランドを訪れた後3人は、14:30からTIFF Bell Lightboxで行われた公式会見に参加。海外メディアからの質疑応答に答えました。李監督作品に出演することに対して渡辺は「李監督は日本映画業界の宝物。一緒に仕事を出来たことを誇りに思っています。いつでも素晴らしく、俳優・女優はみんな彼を信頼しています。たぶん、また何度でも彼の作品に挑戦すると思います。」とコメント。李監督は本作の信じるというテーマについて聞かれると「この作品は、日本の社会の隅にいる人たちの物語ですが、同じようなことがたぶん世界でも起きていると思います。我々は知らない人たち、改めて知り合う新しい人たちをどれだけ信頼できるか、信頼することがいかに難しいか、信頼することによって失うこと、疑うことによって、失うことがどれだけあるのかは、今まさに世界で同じように起きていることだと認識しています。」とコメント。本作に参加したことがスペシャルだと話す宮崎は「自分にとって今までしたことがない挑戦になる役だなという気持ちで現場にはいりました。現場では毎日監督と話をして、感情を監督と共有しながら愛子を一緒に作っていった気がしています。また、渡辺さんと初めてご一緒させていただいて、現場でのたたずまいやスタッフへの対応、私たち役者への接し方など、すべてをそばで見れたことが幸せでしたし、自分にとって存在的にも大きな方です。」と想いを語りました。
プレミア上映会場となったのは、1913年に建てられた歴史ある映画館「エルギンシアター」。
17:30から行われた上映前のカーペットアライバルには、10代からシニア層まで約500人もの観客が劇場前に詰めかけ、渡辺、宮崎は大きな声援に包まれた。二人はサインや写真の求めに応じていました。
18:00から行われた上映は映画祭最大級のキャパシティを誇る劇場を埋め尽くす1400人もの観客が来場。場内満席の大盛況の中、上映前の舞台に登壇した渡辺、宮崎、李はそれぞれ流暢な英語でご挨拶。
上映中、ラストシーンでは感嘆の声とすすり泣く声が聞こえました。
本編上映後は、約10分に渡って観客総立ちの拍手喝采が鳴り止まりませんでした。
観客からの拍手を受けた渡辺の眼にはうっすらと涙が。宮崎、李監督も興奮した観客の余韻に浸りながら、上映後舞台挨拶に登壇しました。
トロント国際映画祭を終えた感想
≪渡辺謙コメント≫
一緒に上映を見ていて、お客様がすごく素直に笑えるところは笑って、楽しんでもらえているな、と感じました。今回自分は2回目の鑑賞なので、疲れましたね(笑)。1回目に観たときよりも、ものすごい温かいものを感じたんです。この監督は本当にやさしい人なんだ、温かいものを届けたい人なんだ、とすごく感じました。終わってからしゃべるのって難しいですよ。ただ泣けるとかではなく、本当に心の芯をつかまれているそんな作品だと思います。最後には心から温かい拍手を受け取りました。
≪宮崎あおいコメント≫
皆さんと一緒に見れる機会をいただけたということを光栄に思います。上映中に笑い声が聞こえたのは、海外ならではと思いましたし、今回私は本作を見るのが2回目だったのですが、やっぱり前回とは違うところで感情を動かされました。謙さんとご一緒に取材をさせていただく中で、お父ちゃんがどんな気持ちで私(愛子)を見ていたのかを聞いたりして、それを聞いているせいか、お父ちゃんの気持ちになってしまって、こんなに自分のことを思ってくれているのに、、その気持ちにものすごく心が打たれて、お父ちゃんの顔にぐっときてしまいました。1回目とは違う観方ができたかなと思います。
≪李相日監督コメント≫
観客と一緒に観るっていうのは、僕にとっては試練です。厳しい試練を乗り越えた達成感です(笑)。ピエールさんのシーンが、こんなに笑いをとるのが驚きでもあり、楽しくもあり。物語が進むにつれて、僕はどうしても観客の後頭部をずっと見てしまうんですが、映画が進むにつれて笑ったり、ゆるく観ていたのが、どんどん皆が皆スクリーンにまっすぐに向いていくのを感じました。何かしら圧力がスクリーンから観客に放たれていたのかなと思います。