第68回カンヌ国際映画祭特別招待作品として上映され、高い評価を受け、『海よりもまだ深く』『団地』に続く【団地映画】の新たな金字塔との呼び声高い、映画『アスファルト』が、ヒューマントラストシネマ有楽町ほかにて全国公開しております。舞台はエレベーターの壊れたフランス、郊外のおんぼろ団地。不器用だが愛すべき6人の男女に突然舞い降りた思いがけない奇跡の出逢い——。公開されるや、各所で話題沸騰、共感と絶賛の声続々!

映画の大ヒット記念イベントとして9月10日(土)に、第69回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門で審査員賞を受賞し、『淵に立つ』の公開を控える、『アスファルト』が先行上映された2016年フランス映画祭では、団長として来日したイザベル・ユペールとのマスタークラスも行った深田晃司監督と、東京国際映画祭プログラミングディレクターの矢田部吉彦氏という映画のプロ達による本作の魅力を語り尽くす豪華対談が行われました。

<イベント概要>
深田晃司×矢田部吉彦 映画のプロが絶賛する
映画『アスファルト』とフランスを代表する女優イザベル・ユペールの魅力

日時:9月10日(土)初回終映(13:12)後
場所:ヒューマントラストシネマ有楽町(千代田区有楽町2-7-1有楽町イトシアプラザ4F)
トークゲスト:深田晃司監督、矢田部吉彦氏

矢田部さん深田監督は、フランス映画を好きな監督だと思いますが、監督からみて、イザベル・ユペールさんはいかがですか?
深田監督:イザベル・ユペールさんは前から好きで、お会いした時に120本ほど映画に出ているとお聞きして、本当にフランス映画を支えている女優さんなんだなぁと思いました。

矢田部さん:パッと見はゴージャスな女優さんではないですが、良いですよね。今、充実期に入っている女優さんですね。お会いになった時緊張されましたか?
深田監督:今年のフランス映画祭に出品された『アスファルト』と『愛と死の谷』の両方を直近に観ていたので、スクリーンから抜け出てきたみたいで不思議でしたね。彼女は、監督をとても信頼していて、我を通すよりは監督の演出を聞かれるそうです。イザベルさんもおそらく演技プランは出しているんでしょうけどね。自分を殺してから演技するというか。120本も出てるとその境地に立たれているのだと。監督の言う通りにやるというのとは違うんですよね。

矢田部さん:とても小柄で普通なのに、なんでこんなにスクリーンで輝くんだろうと思いますよね。不思議な感じで大女優というよりは、女の子という感じなのに、存在感があるというか。
深田監督:『アスファルト』に関しては、徹底して距離をとって描いている。とても現代的だなと思いました。感情の同化とよく言いますが、映画に共感させるのも良いですが、感動を抑えて描いているところが心地よかったですね。

矢田部さん:踏みとどまっている感じはありますよね。フランス映画は昨今、社会派の中にドラマを取り込むというタイプの映画が多いんですけど、この映画はちょっと浮遊感があって特徴的ですね。日本はどうしてもフランス映画というとヌーベルバーグの印象が強いですよね。その系譜をたどった作品の方が宣伝しやすいでしょうけど、どんどん新しい才能が出てきている。
深田監督:そういった意味でも、『アスファルト』が日本でも公開され、ヒットしていることがすごく嬉しいです。是非、多くのひとに観てもらいたいです。また、僕が監督した『渕に立つ』も間もなく公開となりますので、フランス映画好きな方にも気に入ってもらえると思いますので、是非ご覧ください。