ドキュメンタリー映画監督の森達也さんもステージに。

奥山さんは「大作ぞろいのなか、単館上映作品では『FAKE』が時代を変えたといっていい」と絶賛。実は『FAKE』を制作する際、奥山さんは森監督に「一緒にやらないか」と声をかけられたといいます。しかし、撮影するのが佐村河内守氏と聞き、断ってしまったというエピソードが明かされました。また、ドキュメンタリー映画の制作費などについて赤裸々に語る一幕も。最近、注目が集まっているドキュメンタリー映画ですが、森監督は「裏庭の、薄暗いところにある石をひっくり返すといろんな虫がくっついていますよね。ドキュメンタリーは、そういう分野。だから、きらびやかな場所は居心地が悪くて、今困っています」と苦笑い。「森達也特集」では、森監督のトークイベントも合わせて行われるとのことです。

続いて木村祐一も登壇。話題をさらった映画「ワレワレハワラワレタイ」の映画監督を務めた木村。「吉本所属芸人107組に3年強かけてインタビューを行い、そのなかから何組かを抜粋して上映するというので、インタビューを担当しました。前回も10組、上映させてもらいましたが、今回は一部編集を加え、新しいメンバーの上映もあります。仁鶴師匠からチュートリアルまで、テレビでは語られることのない、笑いに関しての悲喜こもごもを、100〜120分のインタビューを編集して上演します。ゲストを呼んでトークショーも行います」と紹介しました。

大阪芸術大学教授の太田米男さん、脚本家でもある、日本チャップリン協会会長の大野裕之さん、活動弁士の片岡一郎さんもステージに。
今回は「チャップリン特集」が行われるとのことで、太田さんは「チャップリンの作品を大スクリーンで見られる機会はなかなかないこと。ご覧になると、100年近く前にこんなことをやっていたのかと驚くような作品ばかりです」とのこと。また、小津安二郎作品では、「突貫小僧」の最長版が発見され、「今回、世界初上映します」とのことで期待に胸が膨らみます。

大野さんは、「今回、チャップリンの作品を久しぶりに大スクリーンで、それもデジタルリマスターされた鮮明な映像でもう一度観られるなんて、素晴らしい企画です」と喜びを語りました。
また、「チャップリンは完璧主義者やったんですが、NGテイクが400巻ぐらい残っています。そのなかで世界中、誰も観たことがない、NGテイクをご用意してご提供しようと思っています」とも。

片岡さんは、「サイレント映画を取り上げられる映画祭はありがたい」とし、「デジタルの世の中に、そのなかで人間が映画を語り、演奏を奏でるのが無声映画の力です。
そういった映画の魅力に人間の力が合わさって新しい魅力が提示されると思います。期待しています」と語りました。

続いて、「アート部門」の紹介です。
「アート部門」では京都市内のさまざまな会場にて、個性的なアート展示企画を予定しています。ここで、京都国際映画祭アートプランナーのおかけんたから、京都市内場所ごとのアート展示企画の説明が行なわれました。

「京都市役所前広場」での展示は、現実と非現実の世界を創り上げるとのこと。永井英男『B-PROJECT “へそで投げろ”』は、全長9メートルの巨大レスラーが、実物の自動車をバックドロップしているという驚きの作品。ほか、Yotta『金時 kintoki』も展示されます。
「元・立誠小学校」では、「よく学び、よく遊べ」をテーマに、蛭子能収の漫画とトークが楽しめる『えびすリアリズム』、東山堂『point 〜守破離〜』、吉本芸人のアート作品が並ぶ『よしもと美術館』、かんだ♡みのり『みのプリ〜withおじちゃんずver.〜』を展示。また、今年初めて京都府立盲学校の生徒さんの作品も展示します。
「西本願寺・伝道院」では、明和電機『ヒゲ博士とナンセンス★マシーン』、倉片俊輔『建築ミニチュアの世界展』、遠藤秀平『コンセプトモデル展』、河原シンスケ『Plante de Lapins うさぎの惑星』、ジャン=リュック・ヴィルムート『Dark science』、林勇気『image data』、トルステン・ブリンクマン『Gut Ding will es so 』と、数々の作品を出展。
「藤井大丸」では、Chocomoo『エントランス・マジック』、シャンプーハットこいで『こいちゃんパラダイス』、レイザーラモンRG『RG’s Collection 2016』が企画されます。

「アート部門」でもゲストが登壇しました。
まずはご存知、蛭子能収さん!
この日、大阪駅で降りようとしていたとのうっかりエピソードも飛び出すなどマイペースぶりを発揮。
「間に合えばいいんですが、ちょうど今、制作している作品がある」そうで、もしかしたら映画祭で初お披露目になるかもしれません。

続いて建築家・遠藤秀平さんが登壇。西本願寺・伝道院で「コンセプトモデル展」を実施する遠藤さんは、「建築は残念ながら持ち歩きできないので、アイデアやエッセンスを模型にして皆さんに観てもらおうと思っています。
日本では建築ミニチュアが少ないんですが、建築の愛の結晶であるミニチュアに興味を持ってもらいたい。伝道院のユニークな空間の中で観られますので楽しみにしていてください」と語りました。

続いては「クリエイターズ・ファクトリー」の紹介です。「第5回沖縄国際映画祭」より創設されたクリエイターズ・ファクトリー。
「京都国際映画祭」では映像分野だけでなく、アート分野からも幅広いジャンルのクリエイターの皆様の参加を募ることとなりました。

さっそく審査員の方々からご挨拶が。「エンターテインメント映像部門」審査員・春日太一様、「アート部門」審査員・江村耕一様が登壇しました。
春日さんは「今年も面白い映画が集まってくれたらいいなと思います」と意気込みを。江村さんは「ジャンルもノンジャンルなのでそれを楽しみにしているんですが、
そこで選ばなくてはいけない難しさもあり、緊張しています。あと、子ども部門もありまして、世代の違う作品がどんな風な場を作るのかも楽しみです」と語りました。