平素は大変お世話になっております。日本から唯一の長編実写映画として第73回ベネチア国際映画祭オリゾンティ・コンペティション部門でワールドプレミアとなる正式上映が決定し、話題となっている映画『愚行録』が2017年2月18日(土)に公開致します。

 本作は、ミステリー文学界の魔術師・貫井徳郎による直木賞候補作の同名小説を原作とし、主人公・週刊誌の記者である田中役を妻夫木聡、田中の妹・光子役を満島ひかりが務めたほか、小出恵介、臼田あさ美、市川由衣、松本若菜、中村倫也、眞島秀和など超豪華実力派勢揃いのキャストが出演しています。監督を務めたのは、ロマン・ポランスキーなどを輩出した名門・ポーランド国立映画大学で演出を学んだ異色の経歴を持ち、本作で長編映画監督デビューを飾った石川慶。
 人間関係における秘められた羨望、嫉妬、駆け引き、日常的に積み重ねられた無意識の【愚行】(=愚かな行為)が複雑に絡み合い、見る者の人間性が極限まで試される戦慄の群像劇。予想を覆す展開に圧倒的な衝撃が走る新たなる傑作ミステリーが誕生しました。

 このたび、石川慶監督と、本作で秘密を持った妹・田中光子を演じている満島ひかりが、9月6日(火)に第73回ベネチア国際映画祭に初めて出席しました!
 まずは、石川慶監督、満島ひかりさん、撮影のピオトル・ニエミイスキさん、オフィス北野のプロデューサー 加倉井誠人さんが記者会見(現地時間13:30〜/日本時間20:30)に登場。
 満島ひかりさんは、ピンク地にゴールドの花があしらわれた華やかなPRADAのドレスで登場しました! その後に行われたフォトコールでは、そのドレスでプレスを魅了し、気軽にバックショットにも応じました。また、レッドカーペットイベント(※現地時間17:00直前/日本時間AM0:00直前)に参加し、サインに応じました。最後、ワールドプレミアは、約700名が世界で初めて鑑賞し、上映が終わると満島さんと石川監督は5分間の拍手喝采を浴びました!!

【日時】9月6日(火) ベネチア国際映画祭公式上映概要  (現地時間/日本時間で表記)
①公式記者会見(会場:CASINO 3F)  現地13:30〜/日本20:30〜
②フォトコール(会場:CASINO 3F) 現地14:00〜/日本21:00〜
③公式上映 ※直前にレッドカーペットあり (会場:SALA DARSENA) 現地17:00〜/日本7日(水)AM0:00〜
【登壇者】満島ひかり、石川慶監督※記者会見のみピオトル・ニエミイスキ(撮影)、加倉井誠人(製作)も参加

※記者会見登壇者:満島ひかり、石川慶監督、ピオトル・ニエミイスキ(撮影)、加倉井誠人(製作)

Q:監督をすることになった経緯?
監督:まず小説を読ませていただいた時に、この小説自体が日本の縮図という感じがしました。実際、映画化するにあたっては告白のスタイルで、各人物がチャプターに分かれていて一人称で語っていくスタイルなのでチャレンジでしたが、映画化することには意味があると思いまして、お受けしました。
 
Q:色に興味を持ちました。ストーリーは暗い話ですが、とても色彩が美しいと思いました。色彩設計はどのように決められましたか?
ピオトル:ストーリーが暗いので、全体的に暗めに作りました。照明を少なくして撮影しましたが、過去と現在とを分けて撮るようにしました。過去の映像のライティングはフルで入れて、それぞれの人生を楽しんでいる状態を光で表すようにしました。

監督:ピオトルは学生時代からの知り合いで、これは日本の映画ですが、ポーランドらしい冷たいカラーを出せるんじゃないかと思ってピオトルにお願いしました。

Q:階級というテーマもあると思いますが、どのように解釈しましたか?
監督:階級の話でいうと、ヨーロッパでは苗字が違ったり、地域が違ったり、目に見える形で壁がありますが、日本の場合はその壁が見えないというか、隣にいる人が“そういう”人かもしれない。作り始める時に小説を読んで、僕の解釈ですが、日本の階級があるとしたら日本で起こり得る「グレート・ギャツビー」みたいな話なのではと説明をしました。

満島:若い世代は、個人で主張するのが苦手な人が多いように感じます。学校の中でカテゴリーを作って生きていく、みたいなことは、他の国と比べてどうか分かりませんが、大学生にはあるのかなあという気がします。生まれた環境によってあるんじゃないですか。愛をもらえなかった子供は、他の場所にそういうものを求めるような気がします。そんな感じでこの作品に参加しました。
 
Q:どのように届けたいか?
加倉井:この作品をどのように解釈するのか、我々の方としましては大きな意味ではミステリーであって、娯楽性を秘めた作品になると思っています。娯楽性の中に隠れたテーマ性、目に見えない階級社会とか無意識なものをどう感じてもらえるのかが楽しみです。見ているうちに引きこまれていくこの作品を、日本のお客様には届けていきたいと思います。
 
Q:(ピオトルさんへ)日本でのスタッフや俳優たちに囲まれての撮影は初めてだったと思いますが、いかがでしたか?
ピオトル:これまでの経験とは全く別でした。今回は原作のある脚本で、監督は作品に対してより近く接することができ楽だったと思います。素晴らしいプロデューサーがいましたので、インディペンデント映画の撮影と比べたらやりやすかったのではないでしょうか。スケジュールがとてもタイトでしたが、スタッフのメンバーがすごく協力的で、他の制作の体制と比べると随分違う経験でした。お互いに強力的でしたし、同じセットの中では家族のようで、約50人のスタッフが助けあって、戦いながらもいいものを作っていく。そういうところが良い体験で、僕にとっての喜びでした。
 
Q:演じられて、いかがでしたか?
満島:ピオトルが撮る画もそうですが、美しさの中から悲しさが出てくればいいなと思って演じていました。
 
Q:(監督へ)インスパイアされた映画はありますか?
監督:脚本の段階から僕が出していたのは、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の「灼熱の魂」でした。コンセプトとしても近いものを感じましたし、ビジュアルもインスピレーションを受けました。ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督は本当に好きで、(映画祭で上映予定の)「アライバル(原題)」も観たいと思っています(笑)

(映画体験について)
監督:もうちょっと大人になってからですが、(クシシュトフ・)キェシロフスキの映画もポーランドでしたし、よく観ましたね。

【満島さんインタビュー】
Q.ベネチアの印象はどいかがですか?
船に乗っている時から雰囲気が違うと感じました。住んでみたいと思いました。

Q.この映画の出演のきっかけは?
長編を初めてとる石川監督の誠実さにひかれました。難しい題材なので、ディスカッションができる監督じゃなきゃ難しいのではと思いました。石川監督はディスカッションができる監督でした。ピオトルの画に複雑な内容が救われていると思います。

Q.今回、ご覧になる方にどう思ってほしいですか?
とても日本的な題材をあつかっているので、どこまで伝わるかなと思っています。

Q.公開を楽しみにしている、日本の方への一言
どういう風に感じるか本当に楽しみです。映画を作っている側でこういう風になってほしいという気持ちがなくて、どう感じてもらえるのかが楽しみです。原作が人それぞれとらえる形が違ったので、映画の公開が楽しみです。