このたび、オール外国人キャスト、全編フランス語で撮りあげた黒沢清監督初の海外進出作品となる、
最新作『ダゲレオタイプの女』が10月15日(土)からヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテほか全国公開となります。
本作の公開を記念し、9月3日(土)に黒沢清監督×浅野忠信さん(俳優)のトークイベントを開催致しました! 
事前予約制だった当イベントは、予約開始から瞬く間に定員に達し、当日もお二人の姿が一目見たいと集まった方々で超満員、立ち見の人が現れるほどの大盛況の中でのイベント開催となりました!

【イベント概要】
■イベントタイトル:世界を舞台に活躍する表現者になろう
■日時:9月3日(土)12:00〜13:00 
■場所:アップル 銀座 (東京都中央区銀座3-5-12サヱグサビル本館3F) 
■登壇:黒沢清監督、浅野忠信さん MC:松崎健夫さん(映画評論家)

世界で活躍する二人の夢の対談が実現!
黒沢清監督の最新作にして初の海外進出作品『ダゲレオタイプの女』。黒沢清監督といえば、浅野忠信さん主演『岸辺の旅』で2015年カンヌ国際映画祭ある視点部門監督賞受賞、本年度のベルリン国際映画祭『クリーピー 偽りの隣人』正式出品、また、今年6月には米アカデミー会員にも選出されるなど、世界で高い評価を受けています。
本作では、世界最古の写真撮影方法“ダゲレオタイプ”を軸に、芸術と愛情を混同した写真家の父の犠牲になる娘と、“撮影”を目撃しながらも娘に心を奪われていく男の、美しくも儚い愛と悲劇の物語を描き出しました。

これまで、第56回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に正式出品された黒沢清監督の『アカルイミライ』(03)、
そして国内外の賞で数々の賞を受賞した『岸辺の旅』(14)で主演を務めてきた浅野忠信さん。確かな演技力で、日本国内にとどまらず、海外にも活躍の場を広げ『マイティ・ソー』(ケネス・ブラナー監督)でハリウッドデビューを果たすと『バトルシップ』(ピーター・バーグ監督)、『47RONIN』(カール・リンシュ監督)など数々の海外作品に出演、国際派俳優の地位を確立。
本年のカンヌでも最新主演作『淵に立つ』(深田晃司監督)がある視点部門で審査員賞を受賞しています。

日本を飛び出し、世界で活躍するクリエイター同士の稀有なトークイベントがこの度、実現いたしました。

<イベント内容>
■お互いの新作『ダゲレオタイプの女』『淵に立つ』について
浅野忠信さん:(『ダゲレオタイプの女』を観て)
映画の撮影でも、ときにとんでもなく動いちゃいけない状態があるんです。しかし、この(ダゲレオタイプの写真)撮影はすごいですね!
体を固定されて長時間そのポーズでいる……映画もそうですが、だからこそ、俳優やモデルの感情が画面に映りこむんだと思いました。

黒沢清監督:(『淵に立つ』を観て)
これもホラーですね(笑)。浅野さんがすごい。出ているシーンもすごいし、出ていないところでもすごい。
画面に映っていてもいなくても、浅野忠信が映画を支配している。恐ろしい底知れない役を何度かやってきていると思うが、今回は決定打でした。

浅野さん:深田監督は現場でよくいじられていたんですが、とにかく映画が大好きで、いじられることも楽しんでいました(笑)
好きなことをやっていると監督になれる、と思いました。是非、『淵に立つ』もご覧ください。

黒沢監督:『ダゲレオタイプの女』は色々な要素の入った映画になりましたが、基本は娯楽映画です。
気取ったフランス映画、黒沢の作家性の強い作品、などの先入観は捨てて、「フランスの娯楽映画」と思って見ていただけると嬉しいです。

■『アカルイミライ』、『岸辺の旅』、そして『淵に立つ』
……カンヌ国際映画祭ってどんなところ?
浅野さん:日本で笑いが生まれないところで笑いが生まれることに驚きますね。
黒沢監督:カンヌはバタバタと人が出て行くなどブーイング起こることも多いと聞きます。楽しもうとする人もいるけれど、
欠点を見つけて席を立ってやるという人も多い。エキサイティングな映画祭ですね。

■日本と海外の撮影の違い——

浅野さん:撮影自体は変わらない。でも、取り組み方が違う。特にアメリカはお金にも、俳優にもシビア。
「あなたは雇われているんだから、きちんとした英語を喋って。体鍛えて」というようなリクエストがすごい。そのために何が必要だといえば与えてくれる、
その分返さなきゃいけない。とても勉強になりますね。

黒沢監督:フランスは監督がやりたいことを実現しようと俳優もスタッフも話を熱心に聞いてくれました。
でも、文化的な違いはある。俳優から100個くらい質問攻めにあって、僕は絶望して、断られるんだろうな、と思うのですが、
フランスではそれがやる気のある証拠だそうです。日本は「質問あるか?」と聞くと俳優さんはみな「ない」と答えます。(深くうなずく浅野さん)
でも始まると、日本人は結局5個くらいある。フランス人はやる前はいろいろ言ってるんだけど、整理すると聞きたいことは5個くらい。結局同じなんですよね。

浅野さん:確かに、向こうでは主張しないといけないんだ、と学びましたね。でも、日本では主張して怒られたことも若いときはありました。
ある作品の時に事前に会う時間を頂いて、「脚本のここはこうしたほうがいいんじゃないか、これはどうしてなのか」といろいろ聞いたんです。
そしたら、向こうから来たオファーなのに断られたことがありました(笑)。

■海外で活躍したい人へのアドバイス
黒沢監督:映画の言語が世界共通なのは100パーセント間違いない。 
「こういう映画作りたい」という欲望を磨いていけば絶対に世界に通用する、と思います。

浅野さん:日本でない国で、違うやり方を学ぶのは面白いし、刺激になる。
「何をやりたいか」を掘り下げると面白いし、自分が盛り上がれるんです。

そのほか、各作品がどのように生まれたのか、原作とオリジナル作品のアプローチの違いについて、
黒沢監督、深田監督のスタッフやキャストの共通項について、お客様からのQ&Aで浅野さんの幼少期についてや
『ダゲレオタイプの女』の撮影秘話が飛び出すなど終始盛りあがったトークイベントでした。

『ダゲレオタイプの女』
10月15日(土)より、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテほか全国公開!

『淵に立つ』
10月8日(土)より、有楽町スバル座ほか全国ロードショー