好奇心旺盛なカルチャー女子へ向けて、6月に発売した新感覚ファッション・カルチャーマガジン『Maybe!(メイビー)vol.1』の書店イベント第二弾を、渋谷HMV&BOOKS TOKYO(渋谷区神南1-21-3 渋谷モディ6F)で開催致しました。

Maybe! vol.1の特集テーマ「恋愛ってなんだ?」に関連して、11月5日公開の小松菜奈・菅田将暉出演の映画『溺れるナイフ』で飛躍が約束されている映画監督山戸結希氏と、『ゴットタン』をはじめとした多くのヒット番組を持つテレビ東京プロデューサーの佐久間宣行氏が、恋愛と作品づくりの関連性について対談しました。

『Maybe!』はクリエイター志望の読者が多い雑誌。
山戸氏、佐久間氏のような一流クリエイターはどんな恋愛をしてきた&していて今があるのか?それはおふたりが生み出す作品の高いクオリティと密接に関係があるのか?つまり一流クリエイターになるには恋愛する必要があるのか?そして、おふたりのような一流クリエイターとつきあえるのはどんな人なのか?ということについて、赤裸々にお話しいただきました。

Maybe!(以下M):本日はお二人に、Maybe!について、そして恋愛についてたっぷりお話しいただこうと思っております。まず今回創刊いたしましたMaybe!についてお聞かせください。
【〝捨てられない雑誌〟Maybe!について】
佐久間(以下佐):すごいよかったです。〝持ってる〟雑誌だなと思うのが、(巻頭で小説を書き下ろしている)村田沙耶香さんが(このタイミングで)芥川賞とりましたよね。
山戸(以下 山):本当ですね!
佐:本当に素晴らしい。しかもこのど頭の小説もすごい面白いんですよね。
山:(村田沙耶香さんの)最新作ですからね。
佐:芥川賞受賞作家の最新作がメイビーに載ってるんだもんね。
山:すごいですよね(笑)。 狙ってできることじゃない。
佐:村田さんの作品って、読んでいると、その文章をずっと読み続けたくなる。止まらない。特に男の僕からするとこの短編は、読んでいてすごくひりひりする感じがあります。
山;(会場に溢れ、二重三重に立ち見の、すごい数のお客様を見て)本当にメイビーの注目度はすごいですね。やっぱり雑誌の名前変わったから!?(笑)
M:こんなに満杯です(笑)
山:最初、私と佐久間さんにこの企画が来たとき、二人とも「なんで自分なんだろう」って(笑)
佐:そうなんですよね。これだけは先に言っておきますけど、僕と山戸さんで恋愛トークするっていうのは、企画した人すごいなっていう(笑)。
M:すみません(笑)
山:Maybe!がどれだけ気が狂った雑誌かっていうのを表していますね(笑)。
M:すみません(笑)
佐:笑っちゃったのが、濱谷さんからメールもらった時に、恋愛がテーマなんですって、クリエーターの恋愛っていうのがテーマんですって書いてあって。そのあと送られてきたのが、佐久間さんとか山戸さんみたいなクリエーター恋愛する方法でもいいですって送られてきて(笑) いや、それはもうどういうトークなんだっていう(笑)
山:Maybe!もThis!(※Maybe!の前身のムック)もそうですけど、この雑誌はクリエーターほいほいというか、ものすごい大物食いなんですよね。いつも魅力的なラインナップなんです。今回そのメイビーのやり方の一端を見たのは、最初は、「佐久間さんとトークしませんか?」ってお誘いをいただき、それは是非となり、で、また間をおいて、「今回、雑誌のテーマが恋愛なので佐久間さんと恋愛についてトークしませんか」となって、そしてギリギリになって「佐久間さんと山戸さんのような一流クリエータと恋愛するにはどうすればいいのか」ってテーマが送られてきていました(笑)
佐:テーマのずらし方がすごい(笑)
山:三段階できて、しかもその最後の企画書がめちゃくちゃ長くってすごい熱量なんですよ。それが来た時に…いや、なんかちょっととはもう言えない、もうよろしくお願いしますってなる (笑)
佐:経済ヤクザのやり方ですよね(笑)
山;はい。ほんとに編集ヤクザの皆さんが作ってる雑誌ですね(笑)
M:ありがとうございます(笑)
佐:でも僕、この雑誌、感想書いたんですけど、呪いみたいな雑誌だなって思って。
山:確かに。
佐:ほんとに呪いみたいにいろんな思いが詰まってて、簡単に読み飛ばせるページがないっていう恐ろしさ(笑)。 バーッて読んでて、あ、漫画だ、ちょっとホッとできるかなって思ったら、漫画もホント呪いみたいな漫画が入ってるから(笑)。鳥飼さんの作品とか(笑)
山:ずっと、捨てられないですよね。
佐:そうそう、それ思います。
山:これからも後で読み返そうって思わせてくれる、反復性がある雑誌。
佐:そうだと思いますよ。This!の時も思いました。憧れの100人の企画の中でテレビの職業のこと書いたの、僕と藤井健太郎なんで。テレビ界で一番性格の悪い二人をもってくるあたり。藤井健太郎って『水曜日のダウンタウン』やってる人で。おもしろいんだけど日本一性格の悪い番組作ってる、そんな天才なんですけど藤井君は。
山:映画界から、このThis…、痛っ!(マイクを歯にぶつける)
M;大丈夫ですか?(笑)
佐:山戸さんいっつもこうですから(笑)
山:This!がVol.1で掲載している映画監督も、濱口竜介監督と私なので、すごく濃いチョイスで。私、This!ってめっちゃいいタイトルだなあと思っていたんですが。大人の事情でMaybe!にタイトルが変更になっちゃったって、うっかりしてて可愛いですよね (笑)。でもこの雑誌、ほんとに続いて行って、(作っている人たちが)それこそ昔で言う『宝島』に関わった編集者みたいな、伝説の編集者のような存在になる気がします。
佐:だってこれ作ってらっしゃる、濱谷さんと、金城さんと小林編集長とは、もともと一緒に一つの雑誌をつくってた訳ではないんですよね。
山:それぞれ違う部署の方が有志で作ってらっしゃるんですよね。
M:そうです。有志で作ってるんです。
山:だから、依頼の時も、「もうなんかそんな風に言われたら、Maybe!に載るものが自分の最高傑作になるように書かなければ」って思わせるようなお手紙みたいなメールをくださるんです。きっとものすごい雑誌になっていくんだろうなって、リアルタイムで心から思わせてくれる。載っているのも、「社会にどう許容されるか」みたいな記事ではなくて、すべてのページが、個的な渇望がスタートになっている。編集者の方が、「私自身が読者だったら私がいちばん読みたい」っていう気持ちで作っていて、ZINEカルチャーの延長線上にあるとも言えるというか。その個人的な、私的な挑戦を、小学館から、本当に一流クリエーターを集めて熱を起こしている革命的な雑誌だと思いますね。次号もその次も、ずっと楽しみです。
濱:「君がポカリを飲む頃は」についてのお話をお願いします。
佐:山戸監督はほんとにこういう、片想いみたいな…さっきも呪いみたいなって言いましたけど、そういう思いを書かれたら素晴らしいですよね。僕も何回も読んでて…これはタイアップですか?
M:タイアップです。
佐:タイアップなのに、こんなに作品性があって読みたくなる。こんなタイアップ見たことないですからね。素晴らしいなと思いますよ。
山:ありがとうございます。後で堀越千史ちゃんが、朗読してくれますね。小野啓さんの写真も素晴らしかったです。こんなすごい方がいるのだなと。乃木坂46『ハルジオンが咲くころ』のジャケットを撮られている方なんですけれど。小野さんは凄まじい写真の力を持っている方でした。それと……後で朗読するとき、ロミオの台詞を、佐久間さんに読んでもらって大丈夫ですか?(笑)
佐:いやいやいや、山戸さん、編集ヤクザのやり方と同じですよ!(笑)
山:そうそう、『君がポカリを飲む頃は』の前にある、サカナクションの山口一郎さんのインタビューもすごく面白いんです。Maybe!の編集者さんが面白くて…山口さんはクラブは恋愛うんぬんじゃなくて芸術を味わう場所だってことをおっしゃっているのに、もう全くめげずに何度でも食い下がって…どんな返しに対しても、「でもやっぱり恋愛に関係ありますよね?」って(笑)
佐:そう、この記事はすごい面白かったですよ。あの山口一郎さんに「彼女にしてほしい服装は?」とか聞いてて(笑)。「彼氏の前で踊るのは抵抗があるって女性もいるんですが」とか。強引にテーマに持っていく(笑)。このインタビューは豪腕ですよ。ぜひ読んでください。